下請への発注の業務手順書テンプレート(建設業)
協力会社を選び、十分な見積期間をとって見積を受け、条件を決めて注文書・請書(下請契約書)を取り交わすまでの流れです。手順書にしておくと、契約書面なしの着工、許可業種の確認漏れ、不当に低い代金での発注を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 建設業法に沿った下請契約を、着工前に書面で結ぶための手順です。
- 範囲
- 協力会社の選定から、見積・契約の締結・台帳登録・施工体制台帳への反映まで。
- 始まるきっかけ
- 実行予算が決まり、工種ごとの発注時期になったとき
- 頻度・量の目安
- 1現場あたり5〜30件
- 使う書類・システム
- 実行予算書、見積依頼書(図面・数量・工期・条件)、協力会社の見積書、下請基本契約書・注文書・請書、協力会社台帳(許可・保険)
担当と役割
現場代理人
発注範囲の決定、見積依頼、条件の調整
工事部長・購買担当
協力会社の選定、発注金額の承認
工務・契約担当
注文書・請書の作成と確認、保管
協力会社
見積の提出、請書の返送
手順(11ステップ)
- 範囲決定現場代理人・目安 30分
1. 発注範囲(材工共か手間請けか、支給材)を決める
実行予算の工種ごとに、材料の支給・機械の負担・仮設の負担を決めます。
- 確かめること
- 範囲の境界(どこまでが誰の工事か)が図で分かるか
- できあがるもの
- 発注範囲表
2. 協力会社を選び、許可と保険を確認する
建設業許可の業種・有効期限、社会保険の加入、過去の実績を見ます。
- 確かめること
- 軽微な工事(500万円未満、建築一式は1,500万円未満等)を超える場合に該当業種の許可があるか
- できあがるもの
- 候補リスト
- 見積依頼現場代理人・目安 30分
3. 同じ条件で見積を依頼し、見積期間を設ける
工事内容・工期・支払条件・支給材を書いた見積依頼書を送ります。
- 確かめること
- 施行令の見積期間(下請予定額500万円以上5,000万円未満なら10日以上など)を取ったか
- できあがるもの
- 見積依頼書
4. 見積を比べ、条件の違いをそろえる
見積比較表で、範囲・諸経費・法定福利費の内訳を確認します。
- 確かめること
- 法定福利費が内訳に明示されているか
- できあがるもの
- 見積比較表
- 交渉現場代理人・目安 随時
5. 金額と条件を調整する
根拠を示して交渉し、指値で一方的に決めないようにします。
- 確かめること
- 通常必要な原価を下回る金額を押しつけていないか
- できあがるもの
- 交渉記録
6. 発注金額と条件を承認する
実行予算との差額と理由を確認します。
- 確かめること
- 予算超過の場合の理由と対策があるか
- できあがるもの
- 承認済み発注稟議
- 契約工務・契約担当・目安 30分
7. 注文書・請書(または下請契約書)を作る
建設業法19条の記載事項(工事内容、代金、工期、支払の時期と方法、変更時の扱い、検査・引渡しの時期など)を書き、基本契約約款を添付します。
- 確かめること
- 記載事項チェック表がすべて埋まったか
- できあがるもの
- 注文書・請書
- 契約工務・契約担当・目安 1〜3日
8. 着工前に注文書を送り、請書を回収する
電子契約の場合は相手方の承諾を得て締結します。
- 確かめること
- 請書の回収日が着工日より前か
- できあがるもの
- 締結済み請書
- 確認現場代理人・目安 10分
9. 一括下請負になっていないか確かめる
元請として施工計画・工程管理・品質管理・安全管理に実質的に関与する体制かを確認します。
- 確かめること
- 丸投げ(一括下請負)に当たらないか
- できあがるもの
- 確認記録
10. 発注台帳と施工体制台帳に反映する
発注番号・金額・工期を台帳に登録し、再下請負通知書の提出を依頼します。
- 確かめること
- 下請総額が施工体制台帳の作成要件に達したか
- できあがるもの
- 発注台帳・施工体制台帳
- 変更現場代理人・目安 20分
11. 追加・変更は着手前に変更注文書を出す
数量増や仕様変更は、金額と工期の変更を書面にしてから着手してもらいます。
- 確かめること
- 口頭指示のまま施工させていないか
- できあがるもの
- 変更注文書
締めのチェックリスト
- 発注範囲の境界を明確にしたか
- 許可の業種と期限を確認したか
- 見積期間を施行令どおり取ったか
- 法定福利費が内訳にあるか
- 一方的な指値になっていないか
- 承認を得たか
- 19条の記載事項を満たしたか
- 着工前に請書を回収したか
- 一括下請負に当たらないか
- 台帳と施工体制台帳に反映したか
よくあるミスと防ぎ方
注文書だけ送って請書を回収しない
双方の合意を示す書面がないと、代金や範囲でもめます。請書の回収日を台帳で管理します。
無許可業者への500万円以上の発注
軽微な工事を超える工事は許可が必要です。発注前に許可の業種と有効期限を確認します。
追加工事の口頭指示
建設業法上も書面化が必要です。変更注文書を出してから着手してもらいます。
測っておきたい指標
- 着工前の請書回収率
- 発注の予算差額
- 変更注文書の発行漏れ件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
建設業法19条(契約の内容)
下請契約でも、工事内容・代金・工期などの記載事項を書面にして相互に交付します。
建設業法20条(見積期間)
下請契約の前に、工事内容を示し、施行令で定める見積期間を設けます。
建設業法19条の3・22条
不当に低い請負代金の禁止、一括下請負の禁止(民間の共同住宅の新築以外は発注者の書面承諾があれば可、公共工事は全面禁止)が定められています。
取適法(旧下請法)との関係
建設工事の請負は取適法の対象外で、建設業法で規律されます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(建設・14業務)
- 「下請への発注」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 注文書と請書の代わりに基本契約を結べばよいですか
- 基本契約で共通条件を決め、工事ごとに注文書・請書で工事内容・代金・工期を決める形が一般的です。合わせて19条の記載事項を満たします。
- 手間請け(労務のみ)でも契約書は要りますか
- 建設工事の請負であれば、手間請けでも書面による契約が必要です。
- 協力会社の見積比較を早くするには
- 見積書をジンベイ GenOCRで読み取って比較表に並べると、法定福利費の有無や範囲の違いを素早く確認できます。