出来高の査定と支払の業務手順書テンプレート(建設業)
協力会社から月ごとに届く出来高請求書を、現場の出来形と照合して査定し、承認・支払うまでの流れです。発注者への出来高請求との関係も扱います。手順書にしておくと、査定の根拠がない値引き、二重請求、支払遅延を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 協力会社の出来高を根拠のある方法で査定し、法令の期限内に支払うための手順です。
- 範囲
- 月末の請求受付から、出来高の確認、査定・承認、支払、発注者への出来高請求まで。
- 始まるきっかけ
- 毎月の締め日(例: 20日締め)に協力会社から出来高請求書が届いたとき
- 頻度・量の目安
- 毎月・1現場あたり協力会社5〜30社
- 使う書類・システム
- 出来高請求書・出来高内訳書、下請契約書・注文書(契約内訳)、出来高管理表、工程表・作業日報、工事写真
担当と役割
協力会社
出来高請求書(出来高内訳)の提出
現場代理人
出来形の確認と査定
工事部長
査定額の承認
経理担当
インボイスの確認と支払処理
手順(11ステップ)
1. 締め日に出来高請求書を受け付け、受付日を記録する
工事番号と協力会社ごとに受付簿に記録します。
- 確かめること
- 受付日(支払期限の起算に関わる)を記録したか
- できあがるもの
- 請求受付簿
2. 適格請求書の記載事項を確かめる
登録番号、取引年月日、税率ごとの対価と消費税額、交付先を確認します。
- 確かめること
- 登録番号が国税庁の公表サイトで有効か
- できあがるもの
- インボイス確認欄
- 照合現場代理人・目安 10分/件
3. 請求の出来高内訳を契約内訳と照合する
工種・数量・単価が契約内訳と一致しているか、契約外の項目がないかを見ます。
- 確かめること
- 前回までの累計出来高との差し引きが合っているか
- できあがるもの
- 照合済み内訳
- 確認現場代理人・目安 30分/件
4. 現場の出来形を確認する
工程表・日報・写真から、工種ごとの進捗率や数量を確認します。
- 確かめること
- 請求の進捗率が現場の実態より先行していないか
- できあがるもの
- 出来形確認記録
- 査定現場代理人・目安 15分/件
5. 出来高管理表で査定額を決める
工種ごとに査定率を入れ、請求額と査定額の差と理由を書きます。
- 確かめること
- 減額する場合、理由が数量・進捗で説明できるか
- できあがるもの
- 出来高管理表(査定欄)
- 査定現場代理人・目安 10分
6. 追加・変更工事の扱いを確かめる
書面で合意した追加・変更分だけを計上し、未合意分は別途協議にします。
- 確かめること
- 追加工事の注文書・変更契約があるか
- できあがるもの
- 追加変更の確認
7. 査定結果を承認する
実行予算と累計出来高を比べ、予算超過の見込みを確認します。
- 確かめること
- 予算に対する累計支払が工事の進捗を超えていないか
- できあがるもの
- 承認済み査定書
- 通知現場代理人・目安 5分/件
8. 査定結果を協力会社に伝える
減額した場合は理由を説明し、合意を得ます。
- 確かめること
- 一方的な減額になっていないか
- できあがるもの
- 査定通知
9. 支払予定に登録し、期限内に支払う
発注者から出来高払を受けた日から1か月以内、特定建設業者は引渡しの申出から50日以内など、期限の早い方を守ります。
- 確かめること
- 支払期限を過ぎる請求がないか
- できあがるもの
- 支払予定表・支払明細
- 請求現場代理人・目安 1時間
10. 発注者への出来高請求の資料をまとめる
契約の出来高払の条件に沿って、出来形調書・写真を添えて請求します。
- 確かめること
- 発注者の検査・確認を受けたか
- できあがるもの
- 出来高請求書(対発注者)
11. 支払結果と累計出来高を記録する
出来高管理表に今回支払額・累計・残額を記入します。
- 確かめること
- 契約額に対する残額がマイナスになっていないか
- できあがるもの
- 出来高管理表の更新
締めのチェックリスト
- 受付日を記録したか
- インボイスの登録番号を確かめたか
- 契約内訳と照合したか
- 前回累計との差し引きが合うか
- 現場の出来形と請求が合うか
- 減額の理由を書いたか
- 追加工事は書面の合意があるか
- 承認を得たか
- 支払期限を守れるか
- 累計と残額を記録したか
よくあるミスと防ぎ方
根拠のない一律の減額
査定率を一律に下げると、建設業法上の不当な減額と見られるおそれがあります。工種ごとの数量・進捗で説明できる査定にします。
追加工事の口約束
口頭で頼んだ追加工事が請求に入ってもめます。追加・変更は着手前に注文書を出します。
支払期限の見落とし
発注者から入金があったのに支払が翌々月になる例があります。入金日から1か月以内を支払予定表で管理します。
測っておきたい指標
- 請求受付から支払までの日数
- 査定での減額率と協議件数
- 支払期限超過の件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
建設業法24条の3(下請代金の支払)
元請負人は、注文者から出来形部分の支払や竣工払を受けたときは、その日から1か月以内かつできる限り短い期間内に、下請負人に相当する下請代金を支払います。
建設業法24条の6(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
特定建設業者は、一定の下請負人(資本金4,000万円未満の一般建設業者など)から引渡しの申出を受けた日から50日以内のできる限り短い期間内に支払います。
建設業法19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
取引上の地位を利用して原価に満たない金額にすることは禁止されています。
インボイス制度(消費税法)
仕入税額控除のため、適格請求書の記載事項と登録番号を確認して保存します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(建設・14業務)
- 「出来高の査定と支払」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- 建設工事の下請にも取適法(旧下請法)は適用されますか
- 建設工事の請負は取適法の対象外で、建設業法で規律されています。支払期限や不当な減額の禁止は建設業法の規定に従います。
- 出来高の査定率はどう決めますか
- 工種ごとに契約数量に対する完了数量、または工程の進捗率で決めるのが一般的です。根拠(写真・日報)を残します。
- 請求書の確認を早くするには
- 届いた請求書をジンベイ GenOCRで読み取り、契約内訳と自動で並べて差異だけを見る形にすると、確認時間を減らせます。