建退共の手続きの業務手順書テンプレート(建設業)
建退共に加入し、対象の労働者に共済手帳を交付して就労日数に応じた掛金を納め、元請として下請の就労状況を把握して報告するまでの流れです。手順書にしておくと、掛金の納付漏れや、公共工事での収納書の提出遅れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 建設現場で働く人の退職金の掛金を、就労日数どおり正しく納めるための手順です。
- 範囲
- 事業主の加入から、手帳の交付、掛金の納付(証紙方式・電子申請方式)、元請としての報告まで。
- 始まるきっかけ
- 建退共に加入するとき、新しく対象の労働者を雇い入れたとき、公共工事を受注したとき
- 頻度・量の目安
- 毎月(就労日数の集計と掛金の納付)
- 使う書類・システム
- 共済契約申込書、共済手帳・被共済者の名簿、出勤簿・作業日報(就労日数)、掛金収納書(公共工事)、建退共の電子申請システム
担当と役割
総務・労務担当
加入手続き、共済手帳の申込み、掛金の納付
現場代理人
下請の加入状況・就労状況の把握、標識の掲示
経理担当
掛金の購入・支払処理
協力会社の事務担当
自社労働者の就労日数の報告
手順(11ステップ)
- 加入総務・労務担当・目安 1〜2週間
1. 建退共に共済契約を申し込む
都道府県の建退共支部に申込書を出し、共済契約者証をもらいます。
- 確かめること
- 対象となる事業主か(建設業を営む事業主)
- できあがるもの
- 共済契約者証
2. 対象の労働者を名簿にし、共済手帳を申し込む
現場で働く人を雇い入れたら、本人の同意を得て手帳を申し込みます。すでに手帳がある人は番号を確認します。
- 確かめること
- 手帳の二重申込みになっていないか
- できあがるもの
- 被共済者の名簿
- 受注現場代理人・目安 1時間
3. 公共工事の受注時に、掛金の購入と収納書の提出を行う
工事の規模に応じた掛金を購入(電子申請方式ではポイントの購入)し、掛金収納書を発注者に提出します。
- 確かめること
- 発注者が定める期限(原則として契約締結後1か月以内など)に提出したか
- できあがるもの
- 掛金収納書
- 掲示現場代理人・目安 10分
4. 現場に「建設業退職金共済制度適用事業主工事現場」の標識を掲示する
詰所や入口の見やすい場所に掲示します。
- 確かめること
- 掲示を写真で記録したか
- できあがるもの
- 標識の掲示写真
- 把握現場代理人・目安 30分
5. 協力会社の加入状況を確認する
再下請負通知書や作業員名簿で加入状況を確認し、未加入の会社には加入を勧めます。
- 確かめること
- 下請の対象労働者の手帳の有無を把握したか
- できあがるもの
- 下請の加入状況一覧
6. 毎月、労働者ごとの就労日数を集計して報告する
出勤簿や日報から、現場ごとの就労日数を数えます。
- 確かめること
- 出勤簿の日数と一致するか
- できあがるもの
- 就労日数の報告
7. 自社の労働者の就労日数を集計する
現場ごとに労働者と日数を集計します。
- 確かめること
- 休業・雨天中止の日を除いたか
- できあがるもの
- 就労日数の集計表
8. 電子申請方式では、就労実績を報告して掛金を充当する
電子申請システムに就労実績を登録し、購入済みのポイントから掛金を充当します。証紙方式では手帳に証紙を貼り、消印します。
- 確かめること
- 充当日数と就労日数が一致しているか
- できあがるもの
- 就労実績報告・証紙の貼付
- 下請分現場代理人・目安 30分
9. 下請の掛金の扱いを確認する
元請が購入した掛金を下請に交付する、または下請分の就労実績を元請が報告するなど、決めた方法どおりに処理されているか確認します。
- 確かめること
- 下請への交付・充当の記録があるか
- できあがるもの
- 交付・充当の記録
- 完了現場代理人・目安 1時間
10. 工事完了時に掛金の充当実績をまとめ、発注者へ報告する
発注者が求める場合、掛金充当実績総括表などで報告します。
- 確かめること
- 購入額と充当額の差を説明できるか
- できあがるもの
- 充当実績の報告書
- 退職総務・労務担当・目安 15分
11. 労働者が建設業をやめたときなどに退職金の請求を案内する
本人または遺族が請求できることを伝え、手帳の返却や必要書類を案内します。
- 確かめること
- 手帳を本人に返したか
- できあがるもの
- 退職時の案内記録
締めのチェックリスト
- 共済契約者証を保管しているか
- 対象労働者の名簿が最新か
- 手帳の二重申込みがないか
- 公共工事の収納書を期限内に出したか
- 現場に標識を掲示したか
- 下請の加入状況を把握したか
- 就労日数を出勤簿と照合したか
- 掛金を就労日数どおり充当したか
- 下請分の交付・充当を記録したか
- 完了時に充当実績をまとめたか
よくあるミスと防ぎ方
掛金を買ったが充当していない
収納書を出しても、労働者の手帳に掛金が入らなければ退職金になりません。毎月の就労実績で充当します。
下請の労働者が対象外になっている
一人親方や下請の労働者の扱いを確認しないまま進めがちです。名簿で加入状況を把握します。
就労日数の数え違い
雨天中止日を入れてしまうなどの誤りがあります。出勤簿と照合します。
測っておきたい指標
- 掛金の充当率(購入額に対する充当額)
- 収納書の提出遅れ件数
- 下請の加入率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
中小企業退職金共済法(建設業退職金共済制度)
建設業の事業主が共済契約を結び、労働者の就労日数に応じた掛金を納め、退職時に退職金が支払われる制度です。2020年度から電子申請方式が本格運用されています。
公共工事の発注者の取扱い
国・自治体の公共工事では、建退共の掛金収納書の提出や、標識の掲示を求める発注者が多くあります。発注者の要領で期限を確認します。
経営事項審査
建退共への加入と履行は、経営事項審査の評価項目の一つです。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(建設・14業務)
- 「建退共の手続き」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 証紙方式と電子申請方式の違いは
- 証紙方式は共済証紙を手帳に貼る方法、電子申請方式は掛金をポイントで購入し、就労実績をシステムで報告して充当する方法です。どちらも就労日数に応じて掛金を納めます。
- 一人親方も対象ですか
- 任意組合に加入している一人親方などは、組合を事業主として加入できる場合があります。詳しくは建退共の支部に確認します。
- 就労日数の集計を楽にするには
- 出勤簿や作業日報の日数をジンベイ GenRPAで電子申請システムへ転記する、または集計をジンベイ GenAppで仕組み化すると、手入力を減らせます。