受入検査の業務手順書テンプレート(製造業)
受入検査は、仕入先から届いた材料・部品が、発注どおりの品物・数量・品質かを確かめてから工程に流す業務です。手順書にしておくと、規格外の材料が工程に入って大量の不良を出す事態や、合否の判断が人によってぶれることを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 届いた材料・部品を同じ基準で検査し、合格品だけを在庫・工程に入れ、不合格品を確実に分けられるようにします。
- 範囲
- 納品物の荷受けから、書類照合・外観検査・寸法検査・合否判定・入庫または返品の手配まで。仕入先への是正要求の詳細は不適合品処置の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 仕入先・外注先から材料・部品・加工品が納品されたとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。1日10〜50ロット
- 使う書類・システム
- 納品書、発注書・発注残一覧、ミルシート・検査成績書(仕入先発行)、受入検査規格書(品目別の検査項目・抜取数)、計測器(ノギス・マイクロメータ等・校正済み)、受入検査記録表
担当と役割
受入担当(資材)
荷受け、納品書と発注の照合、現品表示の確認
受入検査員(品質保証)
検査規格に沿った検査と合否判定
品質保証課長
特別採用(条件付き合格)の判断
購買担当
不合格品の返品・再納入の手配
手順(14ステップ)
- 荷受け受入担当・目安 3分
1. 荷姿の破損・濡れを確かめて荷を受け取る
運送会社の前で外装を確かめ、破損があれば受領書に書き込んでから受け取ります。
- 確かめること
- 箱のへこみ・濡れ・封の開きがないか
- できあがるもの
- 受領サイン済みの送り状
2. 納品書と発注残を照らし合わせる
発注番号・品番・数量・納期を発注残一覧と比べます。
- 確かめること
- 品番・数量が発注と同じか。発注のない納品ではないか
- できあがるもの
- 照合済みの納品書
- 照合受入担当・目安 3分
3. 現品票・ラベルと納品書を照らし合わせる
箱ごとのラベルの品番・ロット番号・数量を納品書と比べます。
- 確かめること
- ラベルのロット番号が納品書と一致するか
- できあがるもの
- ロット番号の記録
4. ミルシート・検査成績書を確かめる
材質記号、化学成分・機械的性質の値が規格の範囲内か、ロット(チャージ番号)が現品と一致するかを見ます。
- 確かめること
- 規格値を外れる項目がないか。成績書の添付が必要な品目に付いているか
- できあがるもの
- ミルシートの確認印
- 受付受入担当・目安 2分
5. 検査待ちの置き場に置き、検査待ち表示をつける
検査待ちエリアに置き、「検査待ち」の札をつけます。
- 確かめること
- 検査前の品物が工程に持ち出せない場所にあるか
- できあがるもの
- 検査待ちの表示
- 準備受入検査員・目安 3分
6. 受入検査規格書で検査項目と抜取数を確かめる
品目ごとの規格書で、外観・寸法・数量の検査項目と、ロットの大きさに応じた抜取数を確かめます。
- 確かめること
- 規格書が最新版か。使う計測器の校正期限内か
- できあがるもの
- 検査項目と抜取数
- 検査受入検査員・目安 5〜15分
7. 外観を検査する
キズ・打痕・さび・バリ・異物・色違いを、限度見本と比べて見ます。
- 確かめること
- 限度見本を超える欠点がないか
- できあがるもの
- 外観の検査結果
- 検査受入検査員・目安 10〜30分
8. 寸法を測定する
図面の重要寸法(規格書で指定された寸法)を、抜取数分測ります。
- 確かめること
- 測定値が公差内か。公差の端に偏っていないか
- できあがるもの
- 寸法の測定値
- 検査受入検査員・目安 5分
9. 数量を確かめる
全数を数えるか、重量換算で数量を確かめます。
- 確かめること
- 納品書の数量と差がないか
- できあがるもの
- 数量の確認結果
10. 合否を判定し、受入検査記録表に記入する
全項目が規格内なら合格、1項目でも外れれば不合格とし、測定値と判定を記録します。
- 確かめること
- 判定者の名前と日付を書いたか
- できあがるもの
- 受入検査記録
11. 合格品に合格表示をして入庫する
合格ラベルを貼り、所定の棚に入れ、在庫に計上します。
- 確かめること
- ロット番号を在庫データに入れたか(トレーサビリティ)
- できあがるもの
- 入庫記録
- 不合格処理受入検査員・目安 3分
12. 不合格品に赤札をつけて隔離する
不合格品置き場に移し、不合格の理由を書いた赤札をつけます。
- 確かめること
- 合格品と混ざらない場所にあるか
- できあがるもの
- 隔離の記録
- 不合格処理品質保証課長・目安 15分
13. 特別採用か返品かを決める
生産への影響と品質リスクを見て、手直し・選別・特別採用・返品のどれかを決めます。特別採用は顧客の了承が必要な場合があります。
- 確かめること
- 顧客との取り決めで特別採用が認められているか
- できあがるもの
- 処置の決定
- 連絡購買担当・目安 10分
14. 仕入先に不合格を連絡し、返品・再納入を手配する
不合格の内容・数量・写真を送り、再納入日と是正の回答を依頼します。
- 確かめること
- 再納入日が生産計画に間に合うか
- できあがるもの
- 不合格連絡票
締めのチェックリスト
- 納品書と発注残が一致した
- ラベルのロット番号を記録した
- ミルシート・成績書の値が規格内である
- 検査前の品物を検査待ちエリアに置いた
- 規格書が最新版である
- 計測器が校正期限内である
- 測定値と判定を記録した
- 合格品のロット番号を在庫データに入れた
- 不合格品に赤札をつけて隔離した
- 仕入先に不合格を連絡した
よくあるミスと防ぎ方
検査前の材料が工程に持ち出される
急ぎの材料ほど起きます。検査待ちエリアを区切り、合格ラベルのない品物は払い出さない決まりにします。
ミルシートのロットを現品と照合しない
別ロットの成績書が付いてくることがあります。チャージ番号を現品の刻印・ラベルと照合します。
校正切れの計測器で測る
測定値が信用できなくなります。計測器に校正期限のラベルを貼り、検査前に確かめます。
合否の判断が人によって違う
外観の基準があいまいだと起きます。限度見本を用意し、規格書に写真を付けます。
測っておきたい指標
- 受入不合格率(仕入先別)
- 受入検査のリードタイム
- 工程に流出した受入不良の件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
ISO 9001
8.4(外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理)と8.6(製品及びサービスのリリース)に関わり、受入時の検証と記録が求められます。
取適法(中小受託取引適正化法)
製造委託した部品の場合、受領後に不当に受領を拒んだり返品したりすることは禁止されています。不合格の根拠(検査規格と結果)を記録に残します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「受入検査」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 全数検査と抜取検査はどう使い分けますか。
- 重要保安部品や不良の多い仕入先は全数、実績が安定した品目は抜取にします。抜取数はJIS Z 9015などの抜取検査方式を参考に規格書で決めます。
- ミルシートの確認に時間がかかります。
- ジンベイ GenOCR でミルシートの成分値・機械的性質を読み取り、規格値と自動で比べられます。
- 不合格品を仕入先に返品してもよいですか。
- 受入検査で規格を満たさないことが確認できた場合は返品できます。ただし取適法の対象取引では、受領から長期間たってからの返品や、検査をしていない返品は問題になります。