外注管理の業務手順書テンプレート(製造業)
外注管理は、加工・組立・めっきなどの工程を外部の会社に委託し、品質・納期・費用と取引の適正さを管理する業務です。手順書にしておくと、外注先の品質のばらつきや支給材の管理漏れのほか、取適法で禁止される支払遅延・減額・不当な返品を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 外注先と公正な取引を続けながら、品質と納期を安定させます。
- 範囲
- 外注先の選定から、発注・支給材の管理・受領と検査・支払・取引記録・年次評価まで。
- 始まるきっかけ
- 社内の能力が足りない工程や、自社にない加工(めっき・熱処理など)を外部に出すとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日の発注(1日5〜30件)と、年1回の外注先評価
- 使う書類・システム
- 外注管理台帳、取引基本契約書、発注書(取適法の明示事項つき)、支給材の受払簿、受入検査記録、サプライヤ評価表
担当と役割
外注担当(購買)
外注先の選定、発注、納期フォロー、支給材の管理
品質保証
外注先の品質監査、受入検査、品質の評価
経理
支払期日の管理と支払
購買課長
新規外注先の承認、年次評価の承認
手順(14ステップ)
- 選定外注担当・目安 1〜2週間
1. 新規外注先の候補を調べ、評価する
設備・技術・品質体制・納期・価格・財務状況を、見学や調査票で確かめます。
- 確かめること
- 品質の仕組み(検査の方法・記録)が自社の要求を満たすか
- できあがるもの
- 新規外注先の評価表
- 承認購買課長・目安 1〜2週間
2. 新規外注先の取引を承認し、基本契約を結ぶ
取引基本契約書と品質保証協定書を取り交わします。
- 確かめること
- 取適法の対象となる取引か(資本金・従業員数の基準)を確かめたか
- できあがるもの
- 契約書・承認記録
3. 外注管理台帳に登録する
取引先コード・委託の種類・取適法の対象区分・支払条件・インボイスの登録番号を入れます。
- 確かめること
- 登録番号を国税庁の公表サイトで確かめたか
- できあがるもの
- 台帳の登録
4. 取適法の明示事項を満たした発注書を出す
委託内容・数量・単価・納期・納入場所・検査完了日・支払期日・支払方法・支給材の内容を書きます。
- 確かめること
- 明示事項に漏れがないか。単価が決まっていない場合、決める予定日を書いたか
- できあがるもの
- 発注書
5. 材料を支給し、受払簿に記録する
無償支給・有償支給の区分、数量、ロットを記録します。
- 確かめること
- 有償支給材の代金を、その材料を使った製品の代金の支払日より前に相殺していないか
- できあがるもの
- 支給材の受払簿
- フォロー外注担当・目安 10分
6. 納期の数日前に進み具合を確かめる
外注先に加工の進み具合を確認し、遅れがあれば生産管理に知らせます。
- 確かめること
- 遅れの理由が自社都合(図面の遅れ・支給材の遅れ)でないか
- できあがるもの
- 納期確認の記録
7. 納品を受け取り、受領日を記録する
納品書と発注書を照らし合わせ、受け取った日を記録します。
- 確かめること
- 受領日を検査日と混同していないか
- できあがるもの
- 受領の記録
- 検査品質保証・目安 30分
8. 受入検査を行い、結果を記録する
検査規格に沿って検査し、合格・不合格を記録します。不合格の場合は理由を具体的に書きます。
- 確かめること
- 検査をせずに後から返品していないか
- できあがるもの
- 受入検査記録
- 不合格対応外注担当・目安 15分
9. 不合格品の返品・やり直しを依頼する
不合格の根拠を示し、外注先の責任による不良に限って返品・やり直しを求めます。
- 確かめること
- 自社の指示の誤りによる不良を外注先に負担させていないか
- できあがるもの
- 不合格連絡
- 支払経理・目安 15分
10. 受領日から60日以内の支払期日に支払う
支払予定表で期日を確かめ、現金(振込)で支払います。振込手数料は自社で負担します。
- 確かめること
- 手形・期日までに現金化できない支払方法を使っていないか
- できあがるもの
- 支払記録
11. 取引記録を作り、2年間保存する
給付の内容・受領日・検査結果・代金・支払日などを取引記録台帳に記録します。
- 確かめること
- 取適法の記録事項が全てそろっているか
- できあがるもの
- 取引記録
- 価格協議購買課長・目安 60分
12. 価格改定の申し入れに応じて協議する
外注先から材料費・労務費の上昇による値上げの申し入れがあれば、協議の場を設け、結果を記録します。
- 確かめること
- 協議に応じずに価格を据え置いていないか
- できあがるもの
- 価格協議の記録
- 評価品質保証・目安 1社30分
13. 年1回、外注先を評価する
品質(不良率)・納期遵守率・対応力を点数にし、取引継続・改善要請を決めます。
- 確かめること
- 評価結果を外注先に伝えたか
- できあがるもの
- サプライヤ評価表
- 改善外注担当・目安 30分
14. 評価の低い外注先に改善を依頼する
改善計画の提出を求め、品質保証が監査で確かめます。
- 確かめること
- 改善の期限と確認方法が決まっているか
- できあがるもの
- 改善要請書
締めのチェックリスト
- 外注先ごとに取適法の対象区分を決めている
- 発注書に明示事項(支払期日・支払方法・検査完了日など)がある
- 単価未定の発注に決める予定日を書いた
- 支給材の受払を記録している
- 受領日を検査日と分けて記録した
- 不合格の根拠を記録した
- 支払期日が受領日から60日以内である
- 手形を使わず、振込手数料を差し引いていない
- 取引記録を2年間保存している
- 価格改定の申し入れに協議で応じた
よくあるミスと防ぎ方
受領日でなく検収日から支払期日を数える
取適法では受領日から60日以内に支払う必要があります。検査に時間がかかっても期日は動きません。
口頭の追加作業を発注書に反映しない
後から代金でもめます。追加・変更は変更発注書を出してから作業してもらいます。
有償支給材の代金を早く相殺する
製品代金の支払より前に材料代金を差し引くことは禁止されています。相殺は製品代金の支払日に行います。
測っておきたい指標
- 外注先別の不良率
- 外注先別の納期遵守率
- 支払期日の超過件数
- 価格協議の実施件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
取適法(中小受託取引適正化法)
2026年1月施行(旧下請法)。発注内容の明示(4条)、取引記録の作成・2年保存(7条)、受領日から60日以内の支払、手形払いの禁止、受領拒否・減額・不当返品・買いたたきの禁止、価格協議に応じない一方的な代金決定の禁止などが関わります。
インボイス制度
外注先が適格請求書発行事業者かを確かめ、登録番号を台帳に記録します。
ISO 9001
8.4(外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理)に関わり、外部提供者の評価・選択・再評価の基準と記録が求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「外注管理」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- 外注先から値上げの申し入れがありました。どうすればよいですか。
- 取適法では、中小受託事業者から価格の協議を求められたのに応じず、一方的に代金を決めることが禁止されています。協議の場を設け、根拠を確かめ、結果を記録に残してください。
- 取引記録の作成が負担です。
- 発注・受領・検査・支払のデータを1つの台帳にまとめると、記録事項がそろいやすくなります。ジンベイ GenApp で台帳と発注書の出力を仕組みにできます。
- 外注先の評価はどんな項目で行いますか。
- 品質(受入不良率・クレーム件数)、納期(遵守率)、価格、対応力(異常時の報告の早さ)が基本です。点数の基準を決めて毎年同じ方法で評価します。