工程内検査の業務手順書テンプレート(製造業)
工程内検査は、加工・組立の途中で、決まったタイミングに製品を測り、品質が規格内に保たれているかを確かめる業務です。手順書にしておくと、刃具の摩耗や設定のずれに気づかず不良を作り続けることや、異常時にどこまで遡って確かめるかの判断のぶれを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 工程の途中で不良を見つけて止め、後工程や顧客に不良を流さないようにします。
- 範囲
- 段取り替え後の初物確認から、定時の抜取測定、異常時の処置、ロットの終物確認まで。最終の出荷検査は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 段取り替え・刃具交換・始業時・ロットの切り替わりのとき、および決められた時間・個数ごと。
- 頻度・量の目安
- 毎日。設備ごとに1日4〜10回
- 使う書類・システム
- 工程内検査チェックシート(工程別の検査項目・頻度)、図面・QC工程表、限度見本、計測器・ゲージ(校正済み)、製造指示書
担当と役割
作業者
初物・定時・終物の測定と記録、異常時の停止
班長
初物の承認、異常時の処置の判断
品質保証
検査基準の作成、管理図の分析、是正の確認
手順(13ステップ)
- 準備作業者・目安 3分
1. QC工程表で検査項目・頻度・測定方法を確かめる
担当工程の管理項目(寸法・外観・トルク等)と、何個ごと・何時間ごとに測るかを確かめます。
- 確かめること
- QC工程表と図面の版が製造指示書と同じか
- できあがるもの
- 検査項目の確認
- 準備作業者・目安 3分
2. 使う計測器とゲージを点検する
ゼロ点、校正期限、ゲージの摩耗を確かめます。
- 確かめること
- 校正期限内か。ゼロ点が合っているか
- できあがるもの
- 点検済みの計測器
- 初物作業者・目安 10〜20分
3. 段取り後の初物を全項目測定する
段取り替えや刃具交換のあと、最初に加工した1〜3個を図面の全寸法または指定項目で測ります。
- 確かめること
- 全項目が公差内か
- できあがるもの
- 初物の測定値
- 初物班長・目安 5分
4. 初物を確認し、量産の開始を承認する
測定値と現物を確かめ、チェックシートに承認印を押します。
- 確かめること
- 承認前に量産を始めていないか
- できあがるもの
- 初物承認
- 定時検査作業者・目安 5分
5. 決められた間隔で抜き取って測定する
例: 50個ごとに5個、または1時間ごとに測ります。
- 確かめること
- 測定値が公差内か
- できあがるもの
- 定時の測定値
6. 測定値をチェックシートと管理図に記入する
測定値の平均と範囲を管理図に点で記入します。
- 確かめること
- 管理限界の外に出ていないか。同じ側に7点連続などの傾向がないか
- できあがるもの
- 管理図の記入
- 外観作業者・目安 2分
7. 外観を限度見本と比べて確かめる
キズ・バリ・欠け・汚れを見ます。
- 確かめること
- 限度見本を超える欠点がないか
- できあがるもの
- 外観の判定
- 異常対応作業者・目安 即時
8. 規格外または傾向の異常が出たら設備を止める
「止める・呼ぶ・待つ」を守り、班長を呼びます。異常品には赤札をつけて分けます。
- 確かめること
- 自分の判断で調整して続けていないか
- できあがるもの
- 異常の発生記録
- 異常対応班長・目安 15〜60分
9. 前回の合格確認時点まで遡って製品を確かめる
前回の定時検査で合格した時点以降に作った製品を全数または追加抜取で確かめます。
- 確かめること
- 遡り範囲の製品を全て特定したか
- できあがるもの
- 遡り確認の結果
- 異常対応班長・目安 15〜60分
10. 原因を調べて処置し、再開前に初物確認をする
刃具摩耗・材料・設定値・治具のずれなど原因を調べて直し、再び初物確認をしてから再開します。
- 確かめること
- 原因と処置を記録したか
- できあがるもの
- 異常処置の記録
- 終物作業者・目安 5分
11. ロットの最後の製品を測定する
ロットの最終品を測り、初物と比べて大きな変化がないか確かめます。
- 確かめること
- 終物が規格内か(規格外ならロット全体を遡り確認)
- できあがるもの
- 終物の測定値
- 引き渡し作業者・目安 2分
12. 合格品に工程の完了を表示して次工程に送る
現品票に工程完了の印と数量を書きます。
- 確かめること
- 不良品の数と良品の数の合計が投入数と合うか
- できあがるもの
- 現品票の記入
- 分析品質保証・目安 30分
13. 週次で管理図と異常記録を見直す
工程能力(Cpk)や異常の件数・原因を集計し、検査頻度や基準を見直します。
- 確かめること
- 工程能力が不足している工程はないか
- できあがるもの
- 週次の分析記録
締めのチェックリスト
- QC工程表と図面の版を確かめた
- 計測器の校正期限とゼロ点を確かめた
- 初物を全項目測定し、班長の承認を受けた
- 決められた間隔で定時検査をした
- 管理図に記入し、傾向を確かめた
- 異常時に設備を止めて班長を呼んだ
- 異常時に前回合格時点まで遡って確かめた
- 再開前に初物確認をした
- 終物を測定した
- 投入数と良品・不良品の数が合う
よくあるミスと防ぎ方
初物の承認前に量産を始める
段取りの誤りに気づかず大量の不良が出ます。承認印がないと次の材料を払い出さない運用にします。
規格内なので傾向を見逃す
公差の端に寄っていく変化は摩耗のサインです。管理図の傾向ルールを掲示して確かめます。
異常時の遡り範囲があいまい
どこから確かめればよいか分からなくなります。定時検査の時刻と通し番号を記録し、遡りの起点を明確にします。
測っておきたい指標
- 工程内不良率
- 後工程・出荷検査での流出件数
- 工程能力指数(Cpk)
関係する法令・規格
ISO 9001
8.5.1(製造及びサービス提供の管理)に関わり、適切な段階での監視・測定が求められます。
ISO 9001
7.1.5(監視及び測定のための資源)に関わり、計測器の校正と識別が求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「工程内検査」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 検査の頻度はどう決めますか。
- 過去の不良の発生状況、刃具の寿命、工程能力をもとに決めます。工程能力が十分に高い(Cpkが1.33以上など)工程は間隔を広げ、不足する工程は狭めます。
- 手書きのチェックシートを集計するのが大変です。
- ジンベイ GenOCR で手書きの測定値を読み取り、管理図用のデータにできます。タブレット入力にするなら ジンベイ GenApp で入力画面を作れます。
- 作業者が測定を省いてしまいます。
- 測定の時刻を記録させ、班長が1日1回チェックシートを確かめます。測定しやすい専用ゲージを用意すると省略が減ります。