受注処理の業務手順書テンプレート(製造業)
製造業の受注処理は、注文書を受け付けたあと、図面の版や仕様を確かめ、在庫を引き当てるか生産を手配し、納期を回答するまでの流れです。手順書にしておくと、図面の版違いでの作り直しや、確認しないまま出した納期回答による遅れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 受注担当が替わっても、注文の内容・図面の版・納期を同じ基準で確かめ、生産手配と納期回答まで漏れなく進められるようにします。
- 範囲
- 顧客から注文書・注文データを受け取ってから、受注を登録し、生産または出荷の手配と納期回答を終えるまで。見積・契約交渉と出荷後の請求は含みません。
- 始まるきっかけ
- 得意先から注文書がFAX・メール・EDI・Web発注で届いたとき。内示(フォーキャスト)が確定注文に切り替わったときも含みます。
- 頻度・量の目安
- 毎日。1日10〜60件(量産品のEDI注文が多い会社では数百行)
- 使う書類・システム
- 注文書(FAX・メール・EDI・Web発注)、見積書(番号・有効期限つき)、得意先マスタ・品目マスタ(単価・標準リードタイム)、図面管理台帳(最新版の番号)、在庫照会画面・生産計画表、受注管理表
担当と役割
受注担当(営業事務)
注文書の受付、受注登録、注文請書の発行、納期回答
営業担当
仕様・価格・納期の顧客との調整、特急品の判断
生産管理
在庫・負荷を見て生産手配と納期の可否を判断
技術・設計
図面の版・特殊仕様の確認
手順(14ステップ)
1. 届いた注文書に受付番号を振り、受付日時を記録する
FAXは受信日時、メールは受信時刻、EDIは取込日時を受注管理表に記録します。同じ注文の重複送付(FAXとメールの両方)がないかも見ます。
- 確かめること
- 同じ注文番号がすでに登録されていないか
- できあがるもの
- 受注管理表の受付行
2. 注文書の必須項目を確かめる
得意先名、注文番号、品番・品名、図面番号と版、数量、単価、希望納期、納入場所の8項目を見ます。欠けていれば受付保留にします。
- 確かめること
- 8項目がそろっているか。手書きの数量・納期が読み取れるか
- できあがるもの
- 確認済みの注文書
- 内容確認受注担当・目安 3分
3. 見積書と単価・数量・条件を照らし合わせる
見積番号を探し、単価・ロット・有効期限・支払条件・荷姿が同じか比べます。
- 確かめること
- 単価の差が1円でもあれば営業担当に確認。見積の有効期限が切れていないか
- できあがるもの
- 照合済みのチェック印
- 内容確認受注担当・目安 2分
4. 図面番号と版を図面管理台帳と比べる
注文書に書かれた図面の版と、台帳の最新版が同じか確かめます。
- 確かめること
- 版が古い・新しい場合は技術に回し、顧客に確認するまで手配しない
- できあがるもの
- 版の確認記録
- 内容確認技術・設計・目安 10〜30分
5. 新規品・特殊仕様の製作可否を確かめる
材質・表面処理・公差・検査成績書の要否など、通常品と違う指定がある注文だけ回します。
- 確かめること
- 自社の設備・外注で対応できるか。成績書や材料証明(ミルシート)が必要か
- できあがるもの
- 製作可否のコメント
6. 受注を基幹システムに登録する
注文書の内容を受注入力画面に入力し、受注番号を発行します。顧客の注文番号は必ず「客先注番」欄に入れます。
- 確かめること
- 入力後の金額合計が注文書の合計と一致するか
- できあがるもの
- 受注番号
- 引当生産管理・目安 3分
7. 在庫照会で完成品・仕掛品の在庫を引き当てる
在庫照会画面で品番ごとの有効在庫(在庫−引当済み)を見て、足りる分を引き当てます。
- 確かめること
- 有効在庫で全数を出せるか。品質保留中の在庫を数えていないか
- できあがるもの
- 在庫引当の結果
- 生産手配生産管理・目安 10分
8. 不足分の生産を手配する
不足数と標準リードタイムから着手日を決め、製造指示書を出します。材料が足りなければ購買に発注依頼を出します。
- 確かめること
- ロットまとめで余る数量は在庫にしてよい品目か
- できあがるもの
- 製造指示書・購買依頼
- 納期判断生産管理・目安 5分
9. 生産計画表の負荷を見て納期を判断する
該当工程の負荷(予定工数÷能力)が100%を超えないか見ます。外注工程がある場合は外注先の納期も確かめます。
- 確かめること
- 希望納期に間に合うか。間に合わない場合の最短日はいつか
- できあがるもの
- 回答納期
- 調整営業担当・目安 15分
10. 希望納期に間に合わない注文を顧客と調整する
分納・納期変更・代替品のどれで受けるかを顧客と決めます。特急対応で残業や外注を使う場合は費用負担も決めます。
- 確かめること
- 合意した内容を記録に残したか(口頭のみにしない)
- できあがるもの
- 調整結果の記録
11. 注文請書または納期回答を顧客に送る
受注番号・回答納期・分納の予定を書いた注文請書を、注文を受けた方法(FAX・メール・EDI)で返します。
- 確かめること
- 回答納期が生産管理の判断と同じか
- できあがるもの
- 注文請書(控え)
12. 注文書と請書を受注番号で保存する
紙の注文書はスキャンし、受注番号をファイル名にして保存します。メール・EDIで受けたものは電子データのまま保存します。
- 確かめること
- 電子で受け取った注文書を紙だけで保存していないか
- できあがるもの
- 保存済みファイル
13. 数量・納期の変更や取消を受けたら受注を修正する
変更連絡を受けたら受注番号を探し、変更前後の値と連絡日を記録してから修正し、生産管理に知らせます。
- 確かめること
- すでに着手済み・材料手配済みの分がないか
- できあがるもの
- 変更履歴
- 確認受注担当・目安 5分
14. 当日の受注残を受注管理表で見直す
当日分の受付が全て「登録済み」「回答済み」になっているか、保留が残っていないかを確かめます。
- 確かめること
- 保留の注文に次の対応日が入っているか
- できあがるもの
- 当日の受注残一覧
締めのチェックリスト
- その日に届いた注文書が全て受注管理表に登録されている
- 客先注番が全件入力されている
- 見積と単価・条件の違いが確認されている
- 図面の版が最新版と一致している(不一致は技術確認済み)
- 品質保留品を在庫引当に使っていない
- 不足分の製造指示書・購買依頼が出ている
- 全件に回答納期が入り、顧客に返信済み
- 分納・納期変更の合意が記録に残っている
- 変更・取消が履歴つきで反映されている
- 電子で受けた注文書を電子のまま保存している
よくあるミスと防ぎ方
図面の版違いで作り直す
注文書の版を見ずに前回の版で手配してしまうのが原因です。登録前に図面管理台帳と版を照合する手順を必ず入れます。
確認せずに納期を即答する
在庫や負荷を見ないまま営業が口頭で答えると遅れが出ます。納期回答は生産管理の判断を受けてから出すと決めます。
FAXとメールで二重登録する
同じ注文が2回届くことがあります。客先注番で重複を確かめてから登録します。
内示を確定注文として手配する
内示数量で材料を買いすぎることがあります。受注区分(内示・確定)を分けて登録します。
測っておきたい指標
- 受付から受注登録までの時間
- 納期回答までの日数
- 受注入力の修正件数(月)
- 納期遵守率
関係する法令・規格
電子帳簿保存法
メール・EDI・Webで受け取った注文書は電子取引データにあたり、電子のまま検索できる形で保存します。
取適法(中小受託取引適正化法)
自社が顧客から製造委託を受ける側の場合、顧客は発注時に取引内容を明示する義務があります。条件が不明な注文は書面での明示を求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「受注処理」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち6つは、自動化の候補です
よくある質問
- 内示と確定注文はどう分けて管理しますか。
- 受注区分の欄を設け、内示は生産計画の参考、確定注文だけを引当・手配の対象にします。内示から確定に変わったら同じ行を更新し、数量差を記録します。
- FAXの注文書を入力する手間を減らせますか。
- ジンベイ GenOCR で注文書を読み取り、品番・数量・納期をデータにできます。基幹システムへの入力は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 納期回答は誰が出すべきですか。
- 回答の送付は受注担当、納期の判断は生産管理と役割を分けます。営業担当が顧客と調整した結果も、生産管理の確認を通してから回答します。