受注処理の業務手順書テンプレート(卸売業)
卸売業の受注処理は、得意先からのFAX・電話・EDIの注文を受け、得意先別の売価と与信枠を確かめ、在庫を引き当てて出荷を指示するまでの流れです。手順書にしておくと、売価の誤り、与信枠を超えた出荷、欠品の連絡漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 担当者が替わっても、注文の受付から出荷指示までを同じ基準で、当日の出荷締めに間に合うように処理できるようにします。
- 範囲
- 注文の受付から、売価・与信・在庫の確認、欠品連絡、出荷指示(直送の場合は仕入先への手配)まで。請求と入金は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 得意先からFAX・電話・メール・EDI・受発注サイトで注文が届いたとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。1日50〜300件(明細で数百〜数千行)。出荷締めは午後の決まった時刻
- 使う書類・システム
- 注文書(FAX・メール)・EDIデータ、得意先マスタ(締め日・配送ルート・与信枠)、得意先別の売価表、在庫照会画面(倉庫別)、受注・出荷指示書
担当と役割
受注担当(営業事務)
注文の受付・入力、欠品連絡、出荷指示
営業担当
特値・新規品の確認、得意先との調整
与信管理(経理・営業管理)
与信枠超過時の判断
物流担当(倉庫)
出荷指示を受けてピッキング・出荷
手順(14ステップ)
- 受付受注担当・目安 1分
1. 届いた注文に受付印と時刻を記録する
FAXは受信時刻、電話は受けた時刻を記録します。出荷締め時刻を過ぎた注文は翌日扱いと分けます。
- 確かめること
- 締め時刻前か後か
- できあがるもの
- 受付記録
2. 注文書の得意先・品番・数量・納品日を確かめる
手書きの数字(1と7、ケースとバラの単位)を特に確かめます。品番がない場合は品名とJANコードから特定します。
- 確かめること
- 単位(ケース・ボール・バラ)が明記されているか
- できあがるもの
- 確認済みの注文書
- 得意先確認受注担当・目安 1分
3. 得意先マスタで締め日・納品先・配送ルートを確かめる
本店と支店、店舗ごとの納品先の違いを確かめます。
- 確かめること
- 納品先コードが正しいか
- できあがるもの
- 納品先の確定
4. 受注入力画面に登録する
得意先コード・納品先・品番・数量・納品日を入れ、受注番号を発行します。
- 確かめること
- 入力後の行数と数量合計が注文書と一致するか
- できあがるもの
- 受注データ
- 売価確認受注担当・目安 2分
5. 得意先別の売価が適用されているか確かめる
売価表の掛率・特値・有効期限と、画面に出た単価を比べます。特値の期限切れに注意します。
- 確かめること
- 粗利がマイナスや異常に低い明細がないか
- できあがるもの
- 売価の確認
- 売価確認営業担当・目安 5分
6. 売価表にない品目・特値の依頼を判断する
仕入値と目標粗利率から売価を決め、売価表に登録します。
- 確かめること
- 社内の値決め権限の範囲内か
- できあがるもの
- 売価の決定
- 与信確認受注担当・目安 1分
7. 与信枠の残高を確かめる
売掛残+受注残+今回の金額が与信枠に収まるか画面で確かめます。
- 確かめること
- 与信枠を超える場合、出荷を保留にしたか
- できあがるもの
- 与信の確認
8. 与信枠超過の注文を判断する
入金予定・支払の遅れの有無を見て、出荷可・一部出荷・前金・保留を決めます。
- 確かめること
- 判断理由を記録したか
- できあがるもの
- 与信判断の記録
- 在庫引当受注担当・目安 2分
9. 倉庫別の在庫を引き当てる
有効在庫(在庫−引当済み)を見て引き当てます。足りない場合は他の倉庫からの移動も検討します。
- 確かめること
- 賞味期限・ロットの指定がある得意先の条件を満たすか
- できあがるもの
- 引当結果
- 欠品対応受注担当・目安 5分
10. 欠品・入荷待ちを得意先に連絡する
欠品の品目、入荷予定日、代替品の提案を電話かFAXで伝え、分納・取消・代替のどれにするかを聞きます。
- 確かめること
- 連絡した日時と回答を記録したか
- できあがるもの
- 欠品連絡の記録
11. 直送品は仕入先に発注し、納品先を伝える
仕入先から得意先へ直接届ける品目は、仕入先に発注書を出し、納品先・納品日・伝票の扱い(自社名の伝票)を伝えます。
- 確かめること
- 直送先の住所と納品日を仕入先に正しく伝えたか
- できあがるもの
- 直送の発注書
- 出荷指示受注担当・目安 5分
12. 出荷締め時刻までに出荷指示を出す
倉庫に出荷指示書を送ります。配送ルートごとにまとめます。
- 確かめること
- 締め時刻までに全件を指示したか
- できあがるもの
- 受注・出荷指示書
- 確定受注担当・目安 3分
13. 出荷実績を受けて売上を確定する
倉庫の出荷実績(欠品の発生を含む)を受注データに反映します。
- 確かめること
- 指示数と出荷数の差を得意先に連絡したか
- できあがるもの
- 売上データ
- 保存受注担当・目安 1分
14. 注文書を受注番号で保存する
紙のFAXはスキャンし、メール・EDIの注文は電子のまま保存します。
- 確かめること
- 電子取引のデータを電子のまま保存したか
- できあがるもの
- 保存済みの注文書
締めのチェックリスト
- 締め時刻後の注文を翌日扱いに分けた
- 単位(ケース・バラ)を確かめた
- 納品先コードが正しい
- 入力後の数量合計が注文書と一致した
- 特値の有効期限を確かめた
- 粗利がマイナスの明細がない
- 与信枠を超える注文を保留・判断した
- 欠品を得意先に連絡し、回答を記録した
- 直送品を仕入先に手配した
- 締め時刻までに出荷指示を出した
よくあるミスと防ぎ方
ケースとバラを取り違える
入数12の品をバラ12で入力するなどの誤りです。注文書の単位欄を確かめ、入力画面で単位を選ばせます。
特値の期限切れに気づかない
キャンペーン価格のまま請求し、後で赤伝が必要になります。売価表に有効期限を持たせ、期限切れの単価は画面で警告します。
欠品を連絡しないまま出荷する
得意先は届くと思って売場や現場を準備しています。欠品は出荷前に必ず連絡します。
測っておきたい指標
- 受注入力のリードタイム
- 受注入力の誤り件数(赤伝の件数)
- 欠品率
- 締め時刻後の受注の割合
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
電子帳簿保存法
メール・EDI・受発注サイトで受けた注文書は電子取引データとして電子のまま保存します。
インボイス制度
受注の金額は請求時の適格請求書の基礎になります。税率(8%・10%)の区分を品目マスタで正しく持ちます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「受注処理」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- FAX注文の入力を減らす方法はありますか。
- ジンベイ GenOCR で手書きを含むFAX注文書を読み取り、品番・数量をデータにできます。受注入力画面への転記は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 帳合とは何ですか。
- 商品の流れとは別に、伝票と代金のやり取りを特定の卸を通す取引の形です。物は仕入先から得意先へ直送されても、請求は自社が行うことがあります。受注時に直送・帳合の区分を記録しておくと請求の誤りが減ります。
- 与信枠を超えた注文はすべて断るべきですか。
- 一律に断る必要はありません。入金予定や過去の支払状況を見て、一部出荷や前金での出荷など、与信管理の担当が判断します。判断の理由を記録しておきます。