仕入発注の業務手順書テンプレート(卸売業)
卸売業の仕入発注は、倉庫の在庫が発注点を下回った商品や、得意先の注文で足りない商品を、仕入先に発注して切らさないようにする業務です。手順書にしておくと、欠品による売り逃しと、発注しすぎによる滞留在庫の両方を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 欠品と過剰在庫を同時に抑え、必要な量を必要な時期に仕入れられるようにします。
- 範囲
- 在庫と需要の確認から、発注数量の決定・発注・納期回答の確認・入荷予定の管理まで。入荷検品は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 毎日の発注時刻(仕入先ごとの発注締め時刻の前)、または受注で欠品が出たとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。発注明細は1日50〜500行、仕入先は数十社
- 使う書類・システム
- 在庫照会画面(倉庫別・ロット別)、発注点・安全在庫の設定、過去の出荷実績、仕入先マスタ(リードタイム・最小発注単位・発注締め時刻)、仕入単価表、発注残一覧
担当と役割
仕入担当(バイヤー・発注担当)
在庫の確認、発注数量の決定、発注
営業担当
特売・大口案件・新規採用の情報提供
仕入課長
大口発注・新規品の承認
倉庫担当
入荷の受け入れと在庫の報告
手順(13ステップ)
1. 発注点を下回った商品を一覧にする
在庫照会画面で、有効在庫+発注残が発注点を下回った商品を抽出します。
- 確かめること
- 発注残を足して判断しているか(二重発注を防ぐ)
- できあがるもの
- 発注候補の一覧
- 確認仕入担当・目安 10分
2. 受注で欠品になった商品を加える
当日の受注で欠品・入荷待ちになった商品と数量を加えます。
- 確かめること
- 得意先に約束した入荷予定日があるか
- できあがるもの
- 欠品分の発注候補
- 見込み営業担当・目安 随時
3. 特売・大口案件・季節の需要を伝える
得意先の特売の予定、工事・イベントなどの大口案件、季節品の立ち上がりを仕入担当に伝えます。
- 確かめること
- 数量と時期が具体的か
- できあがるもの
- 需要の情報
- 数量決定仕入担当・目安 20分
4. 発注数量を決める
(リードタイム中の出荷見込+安全在庫)−(有効在庫+発注残)を基本に、最小発注単位(ケース・パレット)に切り上げます。
- 確かめること
- 在庫月数が社内の上限を超えないか
- できあがるもの
- 発注数量
- 数量決定仕入担当・目安 10分
5. 賞味期限・季節の残りを考えて数量を調整する
賞味期限の短い商品、季節の終わりが近い商品は少なめにします。
- 確かめること
- 得意先の納品期限(3分の1ルールなど)に間に合う鮮度か
- できあがるもの
- 調整後の発注数量
- 単価仕入担当・目安 5分
6. 仕入単価と条件を確かめる
単価表の単価・数量割引・運賃の条件(一定数量以上で送料無料など)を確かめます。
- 確かめること
- 単価の有効期限内か
- できあがるもの
- 単価の確認
7. 大口・新規品の発注を承認する
社内の基準額を超える発注や、初めて扱う商品の発注を承認します。
- 確かめること
- 在庫月数と販売見込の根拠があるか
- できあがるもの
- 承認記録
8. 仕入先ごとに発注書を送る
EDI・受発注サイト・FAXで、品番・数量・納品日・納品先倉庫を送ります。
- 確かめること
- 仕入先の発注締め時刻に間に合ったか
- できあがるもの
- 発注書・発注データ
9. 仕入先からの納期回答を確かめる
回答の納品日と数量が発注どおりか確かめ、欠品・分納の回答は営業に知らせます。
- 確かめること
- 回答がない仕入先に催促したか
- できあがるもの
- 納期回答の記録
- 予定登録仕入担当・目安 10分
10. 入荷予定を登録し、倉庫に知らせる
入荷予定日・数量・荷姿(パレット数)を入荷予定表に入れます。
- 確かめること
- 倉庫の受け入れ能力を超える日がないか
- できあがるもの
- 入荷予定表
11. 入荷予定日を過ぎた発注残を確かめる
発注残一覧で予定日を過ぎたものを抽出し、仕入先に確かめます。
- 確かめること
- 欠品待ちの得意先に新しい予定日を伝えたか
- できあがるもの
- 遅延の確認記録
- 見直し仕入担当・目安 1時間
12. 月1回、発注点と安全在庫を見直す
直近3か月の出荷実績とリードタイムから、発注点を設定し直します。
- 確かめること
- 出荷が止まった商品の発注点を下げたか
- できあがるもの
- 発注点の更新
- 報告仕入課長・目安 30分
13. 月次で欠品率と在庫月数を確かめる
商品分類別に欠品率と在庫月数を見て、発注の基準を調整します。
- 確かめること
- 在庫月数が上限を超える分類はないか
- できあがるもの
- 月次の在庫報告
締めのチェックリスト
- 発注残を含めて発注点を判断した
- 受注の欠品分を加えた
- 営業から特売・大口の情報を受け取った
- 最小発注単位に切り上げた
- 賞味期限・季節の残りを考えた
- 単価の有効期限内である
- 大口・新規品は承認を受けた
- 仕入先の発注締め時刻に間に合った
- 納期回答を全件確かめた
- 予定日を過ぎた発注残を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
発注残を見ずに二重発注する
前日発注した分がまだ入っていないのに再発注すると在庫が膨らみます。有効在庫に発注残を足して判断します。
特売の情報が仕入担当に届かない
得意先の特売で急に出荷が増え、欠品します。営業から仕入へ伝える期限(例: 特売の3週間前)を決めます。
送料無料の数量に合わせて買いすぎる
運賃は下がっても滞留在庫が増えます。在庫月数の上限を超える場合は運賃を払ってでも少なく発注します。
測っておきたい指標
- 欠品率
- 在庫月数(在庫回転日数)
- 発注残の遅延件数
- 滞留在庫の金額
関係する法令・規格
取適法(中小受託取引適正化法)
自社ブランド(PB)商品を製造委託する場合や、発荷主として運送を委託する場合(特定運送委託)は取適法の対象になります。通常の商品の仕入れ(売買)は対象外のことが多いです。
電子帳簿保存法
EDI・受発注サイトでやり取りした発注データは電子取引データとして保存します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「仕入発注」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち5つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順1:発注点を下回った商品を一覧にする
- 手順8:仕入先ごとに発注書を送る
- 手順11:入荷予定日を過ぎた発注残を確かめる
よくある質問
- 発注点はどう計算しますか。
- 1日の平均出荷数×リードタイムの日数+安全在庫が基本です。安全在庫は出荷のばらつきと、欠品をどこまで許すかで決めます。
- 3分の1ルールとは何ですか。
- 食品の流通で、製造日から賞味期限までの期間の3分の1までに小売へ納品する慣行です。近年は2分の1に緩める動きもあります。得意先ごとの納品期限を商品マスタで管理します。
- 発注の作業を自動化できますか。
- 発注点を下回った商品の抽出と、受発注サイトへの入力は ジンベイ GenRPA で自動化できます。FAXで届く納期回答は ジンベイ GenOCR で読み取れます。