返品処理の業務手順書テンプレート(卸売業)
卸売業の返品処理は、得意先から戻ってきた商品を受け付け、理由と状態を確かめて赤伝(マイナスの売上伝票)を出し、良品は在庫に戻し、不良品は仕入先へ返品・請求する業務です。手順書にしておくと、承認のない返品の受け入れ、赤伝の出し忘れ、仕入先への請求漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 返品を同じ基準で受け付けて処理し、売上・在庫・仕入先への請求を正しく合わせます。
- 範囲
- 得意先からの返品の申し出から、現品の確認・赤伝・在庫の戻し・仕入先への返品と請求まで。
- 始まるきっかけ
- 得意先から返品の申し出(品違い・数量違い・不良・季節品の返品など)があったとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。1日5〜30件
- 使う書類・システム
- 返品依頼書(得意先からの申し出)、返品・クレームの記録表、元の納品書・受注データ、仕入先の返品条件(返品可否・期限)、赤伝(売上の訂正伝票)
担当と役割
営業担当
返品の申し出の受付と承認
倉庫担当
現品の受け取りと状態の確認、区分
営業事務
赤伝の発行、仕入先への返品の手配
仕入担当
仕入先との返品・請求の交渉
手順(14ステップ)
1. 得意先から返品の理由・商品・数量を聞き取る
元の納品書番号・品番・数量・理由(品違い・数量違い・破損・不良・期限・注文間違い)を聞きます。
- 確かめること
- 元の納品書番号が分かるか
- できあがるもの
- 返品の受付記録
- 承認営業担当・目安 5分
2. 返品を受けるか判断する
理由が自社・仕入先・得意先のどれの責任かで、返品の可否と費用負担を決めます。得意先都合の返品は条件(手数料・期限)を確かめます。
- 確かめること
- 承認の基準どおりか。取引条件にない返品を受けていないか
- できあがるもの
- 返品の承認
- 連絡営業事務・目安 5分
3. 返品の方法を得意先と倉庫に知らせる
引き取り・得意先からの発送・次回配送時の回収のどれにするかを決め、倉庫に返品予定を伝えます。
- 確かめること
- 返品番号を得意先に伝えたか
- できあがるもの
- 返品予定の連絡
- 受け取り倉庫担当・目安 5分
4. 返品された現品を受け取り、返品番号と照らし合わせる
品番・数量・ロット・賞味期限を確かめます。
- 確かめること
- 申し出と現品が一致するか
- できあがるもの
- 受け取り記録
- 状態確認倉庫担当・目安 5分
5. 現品の状態を確かめて区分する
再販できる良品・仕入先へ返品する不良品・廃棄するものに分け、写真を撮ります。
- 確かめること
- 外箱の汚れ・開封・期限の残りで再販できるか
- できあがるもの
- 区分の結果
- 在庫倉庫担当・目安 3分
6. 良品を在庫に戻す
良品をロケーションに戻し、在庫に計上します。
- 確かめること
- 不良品を良品の棚に戻していないか
- できあがるもの
- 在庫の戻し
7. 赤伝を発行して売上を取り消す
元の納品書の単価で、返品の数量分のマイナス伝票を出します。
- 確かめること
- 元の単価と同じか。返品番号と元の納品書番号を書いたか
- できあがるもの
- 赤伝
- インボイス営業事務・目安 3分
8. 返還インボイスの要否を確かめる
返品による対価の返還は、適格返還請求書の交付が必要です。税込1万円未満の返還は交付が不要です。
- 確かめること
- 登録番号・返品日・税率別の金額を記載したか
- できあがるもの
- 適格返還請求書(または請求書での相殺記載)
- 仕入先返品仕入担当・目安 10分
9. 不良品を仕入先に返品する
仕入先の返品条件(期限・方法)を確かめ、返品依頼と写真を送ります。
- 確かめること
- 返品期限内か
- できあがるもの
- 仕入先への返品依頼
- 請求仕入担当・目安 10分
10. 仕入先に赤伝または費用の請求を求める
返品した商品の仕入の取り消し(赤伝)と、運賃などの費用の負担を決めます。
- 確かめること
- 仕入先から赤伝を受け取ったか
- できあがるもの
- 仕入の赤伝
- 廃棄倉庫担当・目安 10分
11. 廃棄品を処理する
廃棄の承認を受け、廃棄の記録(品番・数量・金額・理由)を残します。
- 確かめること
- 廃棄の承認があるか
- できあがるもの
- 廃棄記録
12. 返品・クレームの記録表を完了にする
赤伝番号・仕入先への請求の状況・完了日を入れます。
- 確かめること
- 仕入先への請求が終わっているか
- できあがるもの
- 記録表の完了
- 照合営業事務・目安 30分
13. 月末に返品と赤伝・仕入先の赤伝を照らし合わせる
返品番号ごとに、得意先への赤伝と仕入先からの赤伝がそろっているか確かめます。
- 確かめること
- 仕入先への請求漏れがないか
- できあがるもの
- 月末の照合表
- 分析営業担当・目安 30分
14. 月次で返品の理由を集計する
理由別・得意先別・商品別に集計し、受注入力の誤りや出荷の誤りの対策を決めます。
- 確かめること
- 自社の誤りによる返品が増えていないか
- できあがるもの
- 月次の返品集計
締めのチェックリスト
- 元の納品書番号を確かめた
- 返品の可否を基準どおり判断した
- 返品番号を得意先に伝えた
- 現品と申し出が一致した
- 良品・不良品・廃棄を区分した
- 赤伝を元の単価で出した
- 返還インボイスの要否を確かめた
- 仕入先への返品と請求を行った
- 廃棄に承認がある
- 月末に赤伝と仕入先の赤伝を照合した
よくあるミスと防ぎ方
赤伝を出し忘れる
得意先は返品分を差し引いて支払い、入金が合わなくなります。返品の受け取りと赤伝の発行を同じ日に行います。
仕入先への請求が漏れる
不良品を倉庫に置いたまま、仕入先の返品期限を過ぎます。返品記録表に仕入先への請求の欄を設けて追います。
元と違う単価で赤伝を出す
特値で売った商品を通常価格で取り消すと差額が出ます。元の納品書の単価を使います。
測っておきたい指標
- 返品率(売上に対する割合)
- 自社の誤りによる返品の件数
- 仕入先への請求の回収率
関係する法令・規格
インボイス制度
返品による対価の返還には適格返還請求書の交付が必要です。税込1万円未満の返還は交付義務が免除されます。
電子帳簿保存法
赤伝・返還請求書をメールやシステムで受け渡した場合は電子取引データとして保存します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「返品処理」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- 得意先都合の返品も受けなければいけませんか。
- 取引条件で決めた範囲で受けます。返品の期限や手数料を取引条件に明記しておくと、判断がぶれません。
- 返還インボイスは別の書類で出す必要がありますか。
- 請求書の中で、返品の金額をマイナスで記載し、必要な事項を満たせば、1枚で適格請求書と適格返還請求書を兼ねられます。
- 返品の管理を楽にしたいです。
- 返品の受付から赤伝・仕入先への請求までを1つの台帳で追うと漏れが減ります。ジンベイ GenApp で返品台帳を作れます。