売価・仕入単価の改定の業務手順書テンプレート(卸売業)
卸売業の価格改定は、仕入先の値上げを受けて仕入単価を更新し、得意先ごとの売価を見直して、案内・交渉・マスタの切り替えまで行う業務です。手順書にしておくと、仕入値だけ上がって売価を据え置いた粗利の目減りや、切り替え日のずれによる請求の誤りを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 仕入値の変化を売価に適切に反映し、得意先と合意した日に正しく切り替えられるようにします。
- 範囲
- 仕入先からの改定通知の受付から、影響の試算・売価の改定案・得意先への案内と交渉・単価マスタの切り替え・切り替え後の確認まで。
- 始まるきっかけ
- 仕入先から値上げ・値下げの通知が届いたとき。原材料や物流費の上昇で自社から売価の改定を申し入れるときも含みます。
- 頻度・量の目安
- 随時。多い時期は月に数十社から通知が届く
- 使う書類・システム
- 仕入先の価格改定通知(品番・新単価・適用日)、仕入単価表、得意先別の売価表(掛率・特値・有効期限)、品目別・得意先別の販売実績、価格改定の案内状
担当と役割
仕入担当
改定通知の受付、仕入先との交渉、仕入単価の更新
営業担当
得意先への案内と交渉
営業部長
売価の改定方針の承認
マスタ管理担当
単価マスタの切り替え
手順(14ステップ)
1. 改定通知を受け付け、内容を一覧にする
品番・旧単価・新単価・改定率・適用日(出荷分か受注分か)を一覧にします。
- 確かめること
- 適用日の基準(受注日・出荷日・納品日)が書かれているか
- できあがるもの
- 改定通知の一覧
- 交渉仕入担当・目安 1〜2週間
2. 改定の根拠を確かめ、必要なら仕入先と交渉する
原材料・物流費などの根拠、適用日の延期、在庫分の旧単価での仕入れを相談します。
- 確かめること
- 交渉の結果を書面で受け取ったか
- できあがるもの
- 仕入先との合意
3. 影響額を試算する
直近1年の販売数量に単価の差を掛け、年間の仕入の増加額を出します。
- 確かめること
- 影響の大きい品目を上位から並べたか
- できあがるもの
- 影響額の試算
- 改定案営業担当・目安 2時間
4. 得意先別の売価の改定案を作る
得意先ごとの掛率・特値を見て、目標の粗利率を保てる新売価を出します。
- 確かめること
- 特値・契約で価格を固定している得意先を確かめたか
- できあがるもの
- 得意先別の改定案
- 承認営業部長・目安 30分
5. 改定方針と改定案を承認する
転嫁する率、据え置く得意先、交渉の順番を決めます。
- 確かめること
- 粗利への影響と、得意先を失うおそれを比べたか
- できあがるもの
- 承認済みの改定方針
- 案内営業担当・目安 1日
6. 得意先に価格改定の案内状を出す
品番・新売価・適用日・改定の理由を書き、適用日の1〜2か月前に届けます。
- 確かめること
- 得意先の売価変更の手続きに間に合う時期か
- できあがるもの
- 案内状
- 交渉営業担当・目安 1〜4週間
7. 得意先と交渉し、合意を記録する
合意した売価と適用日、据え置きの期間を記録します。
- 確かめること
- 合意を書面(メール)で残したか
- できあがるもの
- 合意の記録
8. 新単価を適用日つきで登録する
仕入単価表と売価表に、新単価と適用開始日を登録します(旧単価は適用終了日を入れて残します)。
- 確かめること
- 適用日の前に新単価が使われない設定か
- できあがるもの
- 登録済みの新単価
- 確認仕入担当・目安 1時間
9. 登録内容を改定通知と二人で照合する
品番・新単価・適用日を通知と照らし合わせます。
- 確かめること
- 1件ずつ照合したか
- できあがるもの
- 照合の記録
- 受注残営業事務・目安 30分
10. 適用日をまたぐ受注残の単価を決める
適用日前の受注で適用日後に出荷するものは、取り決めに沿って旧単価か新単価かを決めます。
- 確かめること
- 得意先との取り決めどおりか
- できあがるもの
- 受注残の単価の扱い
- 切り替えマスタ管理担当・目安 15分
11. 適用日に切り替わったか確かめる
適用日の受注・出荷で新単価が使われているか、数件の伝票で確かめます。
- 確かめること
- 旧単価のまま出た伝票がないか
- できあがるもの
- 切り替えの確認
- 請求確認営業事務・目安 30分
12. 最初の締め請求で新売価を確かめる
改定した品目の請求明細を確かめます。
- 確かめること
- 得意先の発注単価と請求単価が一致するか
- できあがるもの
- 請求の確認
- 仕入確認仕入担当・目安 30分
13. 仕入先の請求の単価を確かめる
新単価の適用日どおりに請求されているか確かめます。
- 確かめること
- 適用日前の入荷分に新単価がついていないか
- できあがるもの
- 仕入請求の確認
- 振り返り営業部長・目安 30分
14. 改定後の粗利率を確かめる
改定後1〜3か月の品目別・得意先別の粗利率を見て、転嫁の状況を確かめます。
- 確かめること
- 転嫁できていない得意先への次の対応を決めたか
- できあがるもの
- 粗利率の確認
締めのチェックリスト
- 改定通知の適用日の基準を確かめた
- 影響額を品目別に試算した
- 特値・価格固定の得意先を確かめた
- 改定方針の承認を受けた
- 適用日の1〜2か月前に案内した
- 得意先との合意を書面で残した
- 新単価を適用日つきで登録した
- 登録内容を二人で照合した
- 適用日をまたぐ受注残の単価を決めた
- 最初の請求で新売価を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
仕入値だけ上げて売価を据え置く
気づかないうちに粗利が減ります。改定通知を受けたら、売価の見直しまでを1つの流れにします。
適用日の前に新単価に切り替える
旧単価の期間の取引に新単価がついて請求が誤ります。適用開始日つきで登録します。
特値の得意先を見落とす
特値の売価表が別にあると改定が漏れます。特値の一覧も同時に見直します。
測っておきたい指標
- 改定後の粗利率
- 価格転嫁率(仕入値の上昇分のうち売価に反映できた割合)
- 単価の登録誤りの件数
関係する法令・規格
取適法(中小受託取引適正化法)
自社が委託事業者としてPB商品の製造などを委託している場合、受託側からの価格協議の求めに応じず一方的に代金を決めることは禁止されています。
独占禁止法(再販売価格の拘束)
得意先(小売店など)が販売する価格を指定して守らせることは原則として禁止されています。案内するのは自社の売価であり、得意先の店頭価格ではありません。
無料ダウンロード
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- 「売価・仕入単価の改定」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- 得意先に値上げを受け入れてもらうには何を準備すればよいですか。
- 仕入先の改定通知、原材料や物流費の推移など、根拠を示せる資料を準備します。適用日まで十分な期間をとって案内すると、得意先も売価の変更に対応しやすくなります。
- 改定通知の入力が大変です。
- 紙・PDFの改定通知は ジンベイ GenOCR で読み取り、品番と新単価を一覧にできます。単価マスタへの登録は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 希望小売価格を変えたことを得意先に伝えてもよいですか。
- 参考として伝えることはできますが、その価格で売るよう求めることはできません。得意先が自由に価格を決められることを前提に案内します。