入金消込の業務手順書テンプレート(卸売業)
入金消込は、銀行に入った得意先からの入金を、どの請求に対する支払かを特定して売掛金から消していく業務です。手順書にしておくと、振込名義が違う入金の取り違え、差額の放置、未入金の督促漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 入金を正しい得意先・請求に結びつけ、差額と未入金をすぐに見つけて対応できるようにします。
- 範囲
- 入金データの取り込みから、消込・差額の処理・未入金の督促・月次の売掛金の確認まで。
- 始まるきっかけ
- 毎日の入金の確認時。特に月末・5日・10日・25日などの入金が集中する日。
- 頻度・量の目安
- 毎日。入金は月100〜1,000件
- 使う書類・システム
- 銀行の入金明細(データ)、売掛金の台帳・請求データ、得意先マスタ(振込名義・名義の別名)、得意先の支払明細書(支払通知書)、売掛金の年齢表
担当と役割
入金担当(経理)
入金データの取り込み、消込、差額の確認
営業担当
差額の理由の確認、未入金の督促
経理課長
差額の処理の承認、月次の売掛金の確認
手順(13ステップ)
1. 銀行の入金明細を取り込む
インターネットバンキングから当日分の入金データを取り出し、会計・販売システムに取り込みます。
- 確かめること
- 前日分との重複や漏れがないか
- できあがるもの
- 入金データ
2. 振込名義から得意先を特定する
得意先マスタの振込名義(カナ)と比べます。親会社・代理人の名義での支払は、名義の別名として登録しておきます。
- 確かめること
- 名義が一致しない入金を保留にしたか
- できあがるもの
- 得意先が特定された入金
3. 入金額と請求額を突き合わせる
今回の請求額、または請求書単位の金額と比べて一致するものから消し込みます。
- 確かめること
- 一致したもの・差額があるもの・特定できないものに分けたか
- できあがるもの
- 消込結果
4. 得意先の支払明細書で内訳を確かめる
合算の支払や一部の支払は、得意先から届く支払明細書で、どの請求書に対する支払かを確かめます。
- 確かめること
- 支払明細書と請求書の番号が対応するか
- できあがるもの
- 内訳の確認
- 差額入金担当・目安 15分
5. 差額の理由を分ける
振込手数料・値引き・返品・協賛金の差し引き・支払漏れ・二重払いのどれかに分けます。
- 確かめること
- 差額の理由を確かめずに消していないか
- できあがるもの
- 差額の分類
- 差額営業担当・目安 30分
6. 理由の分からない差額を得意先に確かめる
差し引きの理由と根拠を得意先の経理担当に確かめます。
- 確かめること
- 取り決めのない差し引きでないか
- できあがるもの
- 差額の確認結果
7. 差額の処理を承認する
手数料の自社負担・値引き・次回請求での調整などの処理を承認します。
- 確かめること
- 社内の基準の範囲内か
- できあがるもの
- 差額処理の承認
- 保留入金担当・目安 10分
8. 特定できない入金を仮受金にする
得意先が特定できない入金は仮受金にして、営業担当に照会します。
- 確かめること
- 仮受金が1か月以上残っていないか
- できあがるもの
- 仮受金の一覧
9. 入金予定日を過ぎた請求を一覧にする
売掛金の台帳から、入金予定日を過ぎても入金のない請求を抽出します。
- 確かめること
- 期日の翌営業日に抽出したか
- できあがるもの
- 未入金の一覧
- 督促営業担当・目安 15分
10. 未入金の得意先に連絡する
まず電話で支払予定を確かめ、次に書面で督促します。
- 確かめること
- 支払予定日を記録したか。与信管理に知らせたか
- できあがるもの
- 督促の記録
- 督促経理課長・目安 15分
11. 長期の未入金に対応を決める
30日を超える未入金は出荷の停止を含めて与信管理と対応を決めます。
- 確かめること
- 内容証明郵便など書面での請求を検討したか
- できあがるもの
- 対応方針
- 確認経理課長・目安 30分
12. 月末に売掛金の年齢表を確かめる
期日超過の残高、仮受金、差額の未処理を確かめます。
- 確かめること
- 未処理の差額・仮受金が月末に残っていないか
- できあがるもの
- 月次の売掛金の確認
- 残高確認入金担当・目安 1〜2週間
13. 年1回、主な得意先に残高確認をする
決算時などに得意先に売掛残高の確認書を送り、相手の買掛残高と合うか確かめます。
- 確かめること
- 差がある場合に原因を調べたか
- できあがるもの
- 残高確認の結果
締めのチェックリスト
- 当日分の入金を漏れなく取り込んだ
- 名義の違う入金を保留にした
- 差額の理由を分類した
- 取り決めのない差し引きを得意先に確かめた
- 差額の処理に承認がある
- 仮受金に照会をかけた
- 期日の翌営業日に未入金を抽出した
- 未入金の得意先に連絡し、支払予定を記録した
- 月末に未処理の差額・仮受金が残っていない
- 売掛金の年齢表を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
金額が近い別の請求に消し込む
合算払いや一部払いで起きます。支払明細書で請求書番号を確かめてから消し込みます。
振込手数料の差し引きを放置する
少額の差額が毎月残り、売掛金が合わなくなります。取引条件で手数料の負担を決め、基準以下の差額の処理方法を決めます。
督促が遅れる
期日から時間がたつほど回収が難しくなります。期日の翌営業日に未入金を抽出します。
測っておきたい指標
- 消込にかかる時間
- 未処理の差額の件数
- 期日超過の売掛残高
- 仮受金の残高
関係する法令・規格
民法(債権の消滅時効)
売掛金は、権利を行使できることを知った時から5年で時効になります(2020年4月以降に生じた債権)。長期の未回収は書面での請求などで時効を管理します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「入金消込」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち6つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順1:銀行の入金明細を取り込む
- 手順2:振込名義から得意先を特定する
- 手順3:入金額と請求額を突き合わせる
- 手順9:入金予定日を過ぎた請求を一覧にする
よくある質問
- 振込手数料を差し引かれた場合はどうしますか。
- 取引条件で手数料を得意先の負担としている場合は、差額として得意先に確かめます。少額の差額をどう処理するか(自社負担にする金額の上限など)を社内で決めておきます。
- 入金消込を自動にできますか。
- 入金データの取り込み、名義と金額による照合、未入金の抽出は ジンベイ GenRPA で自動化できます。紙で届く支払明細書は ジンベイ GenOCR で読み取れます。
- 名義が違う入金はどうやって特定しますか。
- 入金日と金額から候補の請求を探し、営業担当に得意先へ確かめてもらいます。特定できたら、その名義を得意先マスタに別名として登録し、次から自動で照合できるようにします。