リベートの計算・精算の業務手順書テンプレート(卸売業)
リベートの計算・精算は、仕入先から受け取る仕入割戻しと、得意先に支払う売上割戻しを、取り決めた条件と実績から計算し、請求・支払・相殺するまでの業務です。手順書にしておくと、条件の読み違いによる請求漏れや、支払リベートの二重計上、インボイスの書類の不足を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 受取・支払のリベートを条件どおりに計算し、取りこぼしと払いすぎをなくします。
- 範囲
- リベート条件の登録から、実績の集計・計算・仕入先への請求・得意先への支払または相殺・会計処理まで。
- 始まるきっかけ
- 四半期・半期・年度などリベートの対象期間が終わったとき。新しい条件の通知を受けたとき。
- 頻度・量の目安
- 月次・四半期・年1回。条件は仕入先・得意先合わせて数十〜数百件
- 使う書類・システム
- リベートの条件書(覚書・通知)、仕入実績・販売実績のデータ、リベート条件の一覧(対象品目・期間・率・達成基準)、リベート請求書・支払通知書、適格返還請求書
担当と役割
仕入担当
仕入先リベートの条件の登録と請求
営業担当
得意先リベートの条件の取り決め
リベート管理担当(営業管理)
実績の集計と計算
経理
会計処理と相殺・支払の確認
手順(13ステップ)
1. 仕入先のリベート条件を一覧に登録する
対象品目・対象期間・計算の基準(数量・金額)・率や単価・達成の段階・精算の方法(請求・相殺)・期限を入れます。
- 確かめること
- 条件書の原本と一字一句照らし合わせたか
- できあがるもの
- リベート条件の一覧
2. 得意先のリベート条件を一覧に登録する
得意先と取り決めた条件を同じ形で登録し、条件書を保存します。
- 確かめること
- 口約束の条件が残っていないか
- できあがるもの
- リベート条件の一覧
3. 月次で達成の見込みを確かめる
期間の途中で、実績と達成基準の差を出し、営業・仕入担当に知らせます。
- 確かめること
- あと少しで次の段階に届く条件はないか
- できあがるもの
- 達成見込みの一覧
4. 対象期間の実績を集計する
条件ごとに、対象品目・対象期間の仕入数量(金額)または販売数量(金額)を集計します。
- 確かめること
- 返品を差し引いた純額で集計しているか(条件の定めどおり)
- できあがるもの
- 実績の集計表
- 計算リベート管理担当・目安 1時間
5. 受取リベートの金額を計算する
実績に率や単価を掛け、段階制の場合は達成した段階の率を使います。
- 確かめること
- 段階の境界の扱い(以上・超)が条件どおりか
- できあがるもの
- 受取リベートの計算書
- 請求仕入担当・目安 15分
6. 仕入先にリベートを請求する
計算書と実績の明細を付けて請求します。仕入先の計算と違う場合は明細で照らし合わせます。
- 確かめること
- 請求期限を過ぎていないか
- できあがるもの
- リベート請求書
7. 仕入先から返還インボイスを受け取る
仕入割戻しは、仕入先が適格返還請求書を交付します。相殺の場合も記載事項を満たす書類を受け取ります。
- 確かめること
- 登録番号・税率別の金額があるか
- できあがるもの
- 適格返還請求書(受領)
- 計算リベート管理担当・目安 1時間
8. 支払リベートの金額を計算する
得意先ごとの販売実績から、条件どおりに計算します。
- 確かめること
- 前回の精算分と期間が重なっていないか
- できあがるもの
- 支払リベートの計算書
- 承認営業担当・目安 15分
9. 支払リベートを確かめ、上長の承認を受ける
得意先との条件と計算書を照らし合わせ、承認を受けます。
- 確かめること
- 条件書のない支払がないか
- できあがるもの
- 承認記録
- 支払経理・目安 15分
10. 得意先へ支払うか売掛金と相殺する
支払通知書を送り、振込または売掛金との相殺をします。
- 確かめること
- 相殺の場合、得意先の同意と記録があるか
- できあがるもの
- 支払通知書
- インボイス経理・目安 10分
11. 得意先に返還インボイスを交付する
売上割戻しは適格返還請求書を交付します。税込1万円未満は交付が不要です。
- 確かめること
- 返還の対象期間と税率別の金額を書いたか
- できあがるもの
- 適格返還請求書(交付)
- 会計経理・目安 30分
12. リベートを会計処理する
受取は仕入割戻し、支払は売上割戻しとして計上します。期末をまたぐ分は見込みで計上します。
- 確かめること
- 期末に未精算のリベートの見込み額を計上したか
- できあがるもの
- 会計の仕訳
- 照合リベート管理担当・目安 30分
13. 精算の状況を一覧で確かめる
条件ごとに、計算・請求・入金(支払)・インボイスの受け渡しが終わったか確かめます。
- 確かめること
- 請求したのに入金のない受取リベートがないか
- できあがるもの
- 精算状況の一覧
締めのチェックリスト
- 全ての条件を条件書と照らし合わせて登録した
- 口約束の条件がない
- 返品を差し引くか条件どおりに集計した
- 段階の境界の扱いが条件どおりである
- 受取リベートを期限内に請求した
- 仕入先から返還インボイスを受け取った
- 支払リベートに承認がある
- 相殺に得意先の同意がある
- 得意先に返還インボイスを交付した
- 期末に未精算の見込み額を計上した
よくあるミスと防ぎ方
条件書を見ずに前年の方法で計算する
条件が変わっていることに気づかず、請求漏れや払いすぎが起きます。毎期、条件の一覧を条件書と照らし合わせてから計算します。
受取リベートの請求を忘れる
仕入先からは請求しない限り支払われないことがあります。条件ごとに請求期限を一覧に入れます。
返品分を差し引かずに計算する
条件が純額の場合、返品を含めると払いすぎ・取りすぎになります。集計の条件を一覧に書きます。
測っておきたい指標
- 受取リベートの請求漏れ件数
- リベートの精算までの日数
- 支払リベートの計算誤り件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
インボイス制度
リベート(割戻し)は対価の返還にあたり、返還する側が適格返還請求書を交付します。税込1万円未満は交付義務が免除されます。
法人税法(売上割戻しの計上時期)
売上割戻しは、算定基準が契約で明らかにされている場合、販売した日の属する事業年度に計上できます。期末の計上の考え方を税理士と確かめておきます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「リベートの計算・精算」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- リベートの条件はどう管理すればよいですか。
- 条件書ごとに、対象品目・期間・計算の基準・率・段階・精算の方法・期限を1行にまとめた一覧を作ります。ジンベイ GenApp で条件の一覧と期限の通知を仕組みにできます。
- 実績の集計に時間がかかります。
- 条件ごとの対象品目と期間で販売・仕入データを集計する作業は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- リベートを請求書の中で差し引いてもよいですか。
- 差し引くことはできますが、適格返還請求書の記載事項を満たす必要があります。請求書の中で返還の金額と税率を分けて書けば、1枚で兼ねられます。