締め請求の業務手順書テンプレート(卸売業)
卸売業の締め請求は、得意先ごとの締め日に1か月分の売上をまとめ、返品・値引きを差し引いて請求書を作り、送る業務です。手順書にしておくと、締め後の売上の計上漏れ、インボイスの記載事項の不足、得意先の支払明細との食い違いを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 得意先ごとの締め日に、正しい金額とインボイスの記載事項を満たした請求書を期日までに届けます。
- 範囲
- 締め日の売上の確定から、請求書の作成・確認・送付・請求残高の管理まで。入金の消込は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 得意先の締め日(10日・15日・20日・25日・月末など)が来たとき。
- 頻度・量の目安
- 締め日ごと。月末締めで得意先100〜1,000社
- 使う書類・システム
- 売上データ(締め日まで)、赤伝・値引きのデータ、得意先マスタ(締め日・請求書の送り方・様式)、請求書の様式(インボイスの記載事項つき)、前回の請求残高・入金データ
担当と役割
請求担当(営業事務・経理)
売上の確定、請求書の作成と送付
営業担当
得意先固有の値引き・協賛金の確認、請求内容の問い合わせ対応
経理課長
請求書の金額の最終確認
手順(13ステップ)
1. 締め日までの出荷が全て売上に計上されたか確かめる
出荷実績と売上データを比べ、出荷したのに売上になっていない伝票を探します。
- 確かめること
- 直送分の売上が計上されているか
- できあがるもの
- 売上の確定
- 確定請求担当・目安 20分
2. 赤伝・値引き・返品の計上を確かめる
返品記録表と赤伝を照らし合わせ、締め日までの分が入っているか確かめます。
- 確かめること
- 返品の受け取り済みで赤伝が出ていないものがないか
- できあがるもの
- 赤伝の確認
- 値引き営業担当・目安 15分
3. 得意先固有の値引き・協賛金を確かめる
特売の協賛金、センターフィー、販促費などの差し引きが取り決めどおりか確かめます。
- 確かめること
- 取り決めのない差し引きを受け入れていないか
- できあがるもの
- 値引きの確認
4. 請求書を作成する
前回請求額・入金額・繰越額・今回の売上・消費税・今回請求額を出します。
- 確かめること
- 繰越額が前回の請求残高と合うか
- できあがるもの
- 請求書(案)
- インボイス請求担当・目安 5分
5. インボイスの記載事項を確かめる
登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品はその旨)、税率ごとの合計額と消費税額、宛名を確かめます。
- 確かめること
- 8%と10%の区分ごとに消費税額があるか
- できあがるもの
- 記載事項の確認
- 確認経理課長・目安 30分
6. 金額の大きい得意先と前月との差を確かめる
前月比で大きく増減した得意先、マイナス請求の得意先を確かめます。
- 確かめること
- 増減の理由が説明できるか
- できあがるもの
- 確認印
7. 得意先指定の様式・明細を作る
得意先が指定する請求明細の様式(店舗別・部署別・発注番号別)で作ります。
- 確かめること
- 指定の様式で出したか
- できあがるもの
- 指定様式の請求明細
8. 決められた方法で請求書を送る
郵送・メール・請求書発行サービス・得意先の受付サイトのうち、得意先マスタの方法で送ります。
- 確かめること
- 送付期限(締め日から数日以内)に間に合うか
- できあがるもの
- 送付記録
- 保存請求担当・目安 5分
9. 発行した請求書の控えを保存する
控えを7年間保存します。電子で送ったものは電子のまま保存します。
- 確かめること
- 控えの保存場所が決まっているか
- できあがるもの
- 請求書の控え
- 問い合わせ営業担当・目安 15分
10. 得意先からの問い合わせに答える
金額の違いの問い合わせは、納品書番号ごとに照らし合わせて答えます。
- 確かめること
- 誤りがあれば次回請求で調整するか、再発行するかを決めたか
- できあがるもの
- 問い合わせの記録
- 再発行請求担当・目安 15分
11. 誤りがあった場合に請求書を修正・再発行する
修正版である旨を書いて再発行します。インボイスの記載に誤りがあれば修正したインボイスを交付します。
- 確かめること
- 前の版との区別がつくか
- できあがるもの
- 修正した請求書
- 残高請求担当・目安 15分
12. 請求残高を売掛金の台帳に反映する
今回請求額と入金予定日を売掛金の台帳に入れます。
- 確かめること
- 入金予定日が取引条件どおりか
- できあがるもの
- 売掛金の台帳
- 集計経理課長・目安 30分
13. 締めごとの請求金額を集計する
得意先別の請求額を集計し、売上の帳簿と一致するか確かめます。
- 確かめること
- 請求の合計と売上の帳簿が一致するか
- できあがるもの
- 締めの集計表
締めのチェックリスト
- 締め日までの出荷が全て売上になっている
- 直送分の売上が入っている
- 返品の赤伝が反映されている
- 取り決めのない差し引きがない
- 繰越額が前回の請求残高と一致する
- 登録番号と税率ごとの消費税額がある
- 前月比の大きな増減の理由を確かめた
- 得意先指定の様式で出した
- 送付期限に間に合った
- 請求の合計と売上の帳簿が一致する
よくあるミスと防ぎ方
締め後の出荷が請求に入らない
締め日の夕方の出荷が翌月に回ることがあります。締め日の出荷実績と売上を必ず比べます。
消費税の端数処理が得意先と違う
インボイス制度では、1枚の請求書で税率ごとに1回の端数処理が求められます。明細ごとに処理すると合計が合わなくなります。
取り決めのない差し引きを見逃す
得意先が一方的に協賛金や手数料を差し引くことがあります。取り決めの一覧と照らし合わせます。
測っておきたい指標
- 請求書の送付の遅れ件数
- 請求の誤りによる再発行件数
- 締め作業にかかる時間
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
インボイス制度
適格請求書の記載事項(登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとの対価の合計と消費税額・宛名)を満たします。消費税の端数処理は、1つの適格請求書につき税率ごとに1回です。控えは7年間保存します。
電子帳簿保存法
電子で送った請求書の控えは電子取引データとして保存します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(卸売・商社・12業務)
- 「締め請求」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち4つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順1:締め日までの出荷が全て売上に計上されたか確かめる
- 手順4:請求書を作成する
- 手順7:得意先指定の様式・明細を作る
- 手順8:決められた方法で請求書を送る
よくある質問
- 締め日が得意先ごとに違って大変です。
- 締め日別に請求の作業日を一覧にし、売上の確定・作成・送付の期限を決めます。請求書の作成と送付は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 得意先指定の請求明細はどう作りますか。
- 得意先ごとに必要な項目(店舗コード・発注番号など)を一覧にし、受注入力のときにその項目を入れておくと、締めのときに明細を作れます。
- 請求書を電子で送ってもよいですか。
- 得意先の同意があれば電子で送れます。電子で送った請求書の控えは、電子帳簿保存法に沿って電子のまま保存します。