返品処理の業務手順書テンプレート(業種共通)
顧客から返品の申し出を受けたら、理由を確認して承認し、現品を受け取って検品し、売上の取り消し(赤伝票)と請求の調整を行います。手順書にしておくと、承認のない返品の受け入れや、請求の調整漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 返品を決まったルールで受け、在庫と売上・請求を正しく直すことを目的にします。
- 範囲
- 返品の申し出の受付から、理由の確認、承認、返品の受け取り、検品、在庫の処理、赤伝票、請求の調整、仕入先への請求まで。
- 始まるきっかけ
- 顧客から返品・交換の申し出があったとき
- 頻度・量の目安
- 随時(月数件〜数十件)
- 使う書類・システム
- 返品申請書、売上データ・納品書、取引基本契約(返品の条件)、返品・クレームの記録表
担当と役割
営業事務
受付、記録、赤伝票、請求の調整
営業担当
理由の確認、顧客との調整
倉庫・品質担当
現品の検品、在庫の処理
営業責任者
返品の承認
手順(10ステップ)
1. 返品の申し出を受け、品名・数量・ロット・納品日・理由を記録する
納品書の番号で、元の売上を特定する。
- 確かめること
- 元の売上を特定したか
- できあがるもの
- 返品の受付記録
- 理由営業担当・目安 15分
2. 理由を確認する(品質の不良・誤出荷・数量違い・顧客の都合)
不良の場合は写真や状態の説明をもらう。
- 確かめること
- 理由を分類したか
- できあがるもの
- 理由の記録
- 条件営業担当・目安 10分
3. 取引基本契約の返品の条件(期間・対象・費用の負担)を確認する
商人間の売買では、受け取った側が検査し、不具合をすぐに知らせる決まりがある。
- 確かめること
- 契約の条件に合うか
- できあがるもの
- 条件の確認
4. 返品を受けるか、交換・値引きで対応するかを決めて承認する
顧客の都合の返品は、手数料や受け入れの可否を契約に沿って判断する。
- 確かめること
- 承認の記録があるか
- できあがるもの
- 承認記録
- 受取倉庫・品質担当・目安 15分
5. 返品の現品を受け取り、品名・数量・ロット・状態を検品する
受付記録と照合し、違いがあれば営業事務に伝える。
- 確かめること
- 受付記録と一致するか
- できあがるもの
- 検品記録
- 在庫倉庫・品質担当・目安 10分
6. 再販できるもの・できないものを分け、在庫に戻すか廃棄・仕入先返品にする
不良品は良品の在庫と分けて保管する。
- 確かめること
- 良品と不良品を分けたか
- できあがるもの
- 在庫の処理
7. 元の売上に対する赤伝票(売上の取り消し)を入力する
元の売上番号と結びつける。
- 確かめること
- 金額が承認どおりか
- できあがるもの
- 赤伝票
- 請求営業事務・目安 5分
8. 締め後の返品は、翌月の請求でマイナスにするか、返還インボイスを出す
1万円未満の返品などは返還インボイスの交付が不要になる。
- 確かめること
- 請求の調整方法を決めたか
- できあがるもの
- 請求の調整
- 仕入先営業事務・目安 15分
9. 仕入先の不良が原因なら、仕入先に返品・費用の請求をする
取適法の対象取引で自社が委託側の場合、受け取った後の返品は、受託側の責任がある場合などに限られる。
- 確かめること
- 仕入先に請求したか
- できあがるもの
- 仕入先への請求
- 分析営業責任者・目安 30分
10. 月1回、返品の件数・理由を集計し、再発を防ぐ
誤出荷が多いなら出荷検品、不良が多いなら仕入先・工程を見直す。
- 確かめること
- 原因別の対策を決めたか
- できあがるもの
- 月次の集計
締めのチェックリスト
- 元の売上を特定した
- 理由を分類した
- 契約の返品条件を確認した
- 承認の記録がある
- 現品を受付記録と照合した
- 良品と不良品を分けた
- 赤伝票を元の売上と結びつけた
- 請求の調整方法を決めた
- 仕入先への請求を行った
- 月次で原因を分析した
よくあるミスと防ぎ方
承認のない返品を倉庫が受け取る
顧客から直接送られてきた品物をそのまま受けると、売上と在庫の処理が混乱します。承認番号のない返品は保留にします。
赤伝票を入れ忘れて請求が過大になる
返品の検品が終わったら、その日のうちに赤伝票を入力するルールにします。
仕入先への請求を忘れる
仕入先の不良が原因の場合、費用を自社でかぶることになります。理由が仕入先側なら請求までを手順に入れます。
測っておきたい指標
- 返品の件数と金額
- 返品の受付から赤伝票までの日数
- 理由別の件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
受け取った商品を検査し、不具合はすぐに通知する(すぐに見つからないものは6か月以内)
種類・品質の不適合は、知った時から1年以内に通知
取適法(中小受託取引適正化法・2026年1月施行、旧下請法)
委託先への支払は受領日から60日以内。手形払い・振込手数料の差し引きは禁止
請求書に登録番号・税率ごとの対価の額と消費税額などの記載が必要
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「返品処理」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち3つは、自動化の候補です
ジンベイ GenApp
台帳・申請・承認の仕組み化
- 手順1:返品の申し出を受け、品名・数量・ロット・納品日・理由を記録する
- 手順4:返品を受けるか、交換・値引きで対応するかを決めて承認する
よくある質問
- 顧客の都合の返品は受けなければいけませんか?
- 契約で決めていなければ、受ける義務はありません。受ける場合の条件(期間・手数料)を取引基本契約に書いておきます。
- 返還インボイスは必ず必要ですか?
- 返品・値引きの金額が税込1万円未満なら交付が不要です。それ以上は、返還インボイスを交付するか、請求書に返品の内容を書いて兼ねることができます。
- 仕入先に返品してよいのはどんな場合ですか?
- 取適法の対象取引では、受託側に責任がある不良などに限られます。受け取ってから長期間たってからの返品などは禁止されています。