売掛金管理(督促・回収)の業務手順書テンプレート(業種共通)
売掛金を入金予定日からの経過日数で分け、段階ごとに督促します。手順書にしておくと、督促の遅れや担当ごとのばらつきをなくし、回収不能になる前に手が打てます。
この手順書の範囲
- 目的
- 売掛金を予定どおり回収し、長期の滞留や貸し倒れを減らすことを目的にします。
- 範囲
- 入金予定日を過ぎた売掛金の把握から、督促、回収、与信の見直しまで。日々の消込は入金消込の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 入金予定日を過ぎても入金がないとき、および毎月の月次締めのとき
- 頻度・量の目安
- 毎月1回の年齢調べ・督促は随時(月数件〜数十件)
- 使う書類・システム
- 売掛金台帳、未入金一覧、得意先マスタ(与信限度額)、督促記録
担当と役割
経理担当
年齢調べ、督促状の作成、記録
営業担当
得意先への電話連絡・訪問
経理責任者・営業責任者
長期滞留の判断、与信の見直し、法的手続きの判断
手順(10ステップ)
1. 月次締め後に売掛金を経過日数で分ける(年齢調べ)
予定日経過0〜30日・31〜60日・61〜90日・91日超の4区分にする。
- 確かめること
- 区分ごとの合計が売掛金残高と一致するか
- できあがるもの
- 売掛金年齢表
- 第1段階営業担当・目安 1件5分
2. 予定日を過ぎた翌営業日〜1週間以内に電話かメールで入金状況を確認する
請求書が届いているか、検収が済んでいるかを最初に確認する。行き違いのことも多い。
- 確かめること
- 相手の回答(支払予定日)を記録したか
- できあがるもの
- 督促記録の1行
- 第1段階経理担当・目安 10分
3. 請求書が届いていない・紛失したと言われた場合は再送する
再送分には「再発行」と明記し、二重払いを防ぐ。
- 確かめること
- 再送日を記録したか
- できあがるもの
- 再送記録
- 第2段階経理担当・目安 15分
4. 30日を過ぎても入金がない場合は書面で督促状を送る
支払期限を明記し、送付日を記録する。
- 確かめること
- 督促状に請求番号・金額・新しい支払期限が書いてあるか
- できあがるもの
- 督促状の控え
5. 新規の出荷・受注を止めるか責任者と相談する
与信限度額を超えている場合は出荷前に責任者の承認を取る。
- 確かめること
- 出荷停止の判断を記録したか
- できあがるもの
- 判断記録
- 第3段階経理責任者・営業責任者・目安 1時間
6. 60日を過ぎた得意先は訪問・支払計画の書面化を検討する
分割払いにする場合は「債務承認と分割弁済の合意書」を取り交わす。
- 確かめること
- 合意書に金額・回数・期日が書いてあるか
- できあがるもの
- 合意書
- 第4段階経理責任者・目安 1時間
7. 90日を過ぎた場合は内容証明郵便での請求や弁護士への相談を判断する
時効(5年)が近い債権は、債務承認を得るなど時効の完成を防ぐ手段を取る。
- 確かめること
- 判断の日付と理由を記録したか
- できあがるもの
- 法的対応の記録
8. 督促の経緯(日時・相手・内容・約束日)を得意先ごとに記録する
約束日を過ぎたら次の段階に進む。
- 確かめること
- 約束日が全件に入っているか
- できあがるもの
- 督促記録
- 与信経理責任者・営業責任者・目安 30分
9. 遅れが続く得意先の与信限度額と取引条件を見直す
前払い・保証金・取引縮小などを検討する。
- 確かめること
- 見直し結果を得意先マスタに反映したか
- できあがるもの
- 与信管理表の更新
- 報告経理担当・目安 20分
10. 月次会議で滞留債権の一覧と回収見込みを報告する
91日超の債権は貸倒引当金の検討材料にする。
- 確かめること
- 回収見込みの根拠が書いてあるか
- できあがるもの
- 滞留債権報告
締めのチェックリスト
- 売掛金年齢表を作り残高と一致させた
- 予定日経過後1週間以内に全件連絡した
- 請求書の未着・紛失を確認した
- 30日超に督促状を送った
- 与信限度額超えの出荷を止めるか判断した
- 約束日を記録した
- 時効が近い債権を確認した
- 与信の見直しを得意先マスタに反映した
よくあるミスと防ぎ方
督促を営業任せにして記録が残らない
担当が変わると経緯がわからなくなります。督促の記録欄を1か所にまとめ、経理と営業の両方が書きます。
出荷を止めずに未回収が膨らむ
与信限度額を超えても出荷が続くことがあります。受注入力の時点で限度額を確認する仕組みにします。
時効に気づかない
売掛金は原則5年で時効になります。長期の債権は年1回、時効の起点と残り期間を確認します。
測っておきたい指標
- 売掛金回転日数
- 91日超の滞留債権の金額
- 督促から入金までの日数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
債権は5年で時効。債務の承認で時効が更新される
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「売掛金管理(督促・回収)」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち3つは、自動化の候補です
ジンベイ GenApp
台帳・申請・承認の仕組み化
- 手順1:月次締め後に売掛金を経過日数で分ける(年齢調べ)
- 手順5:新規の出荷・受注を止めるか責任者と相談する
- 手順8:督促の経緯(日時・相手・内容・約束日)を得意先ごとに記録する
よくある質問
- 督促はいつから始めるべきですか?
- 入金予定日の翌営業日に未入金を確認し、1週間以内に最初の連絡をするのがおすすめです。早いほど行き違いの解決も早くなります。
- 分割払いを申し出られたら?
- 金額・回数・期日を書いた合意書を取り交わします。債務を認める書面になるため、時効の更新にもつながります。
- 貸し倒れとして処理できるのはいつですか?
- 法人税法上の貸倒損失は要件が細かく決まっています。顧問税理士に確認してから処理します。