源泉所得税の納付の業務手順書テンプレート(業種共通)
給与や士業・講師への報酬から源泉徴収した所得税を集計し、翌月10日までに納付します。手順書にしておくと、報酬の源泉漏れや納付の遅れによる加算税を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 預かった源泉所得税を正しい額で期限までに納めることを目的にします。
- 範囲
- 給与・賞与・退職金・報酬の源泉徴収額の集計から、納付書の作成、納付、記帳まで。年末調整は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 給与・報酬を支払った月の翌月初め
- 頻度・量の目安
- 毎月(納期の特例を受けている場合は年2回: 7月10日・1月20日)
- 使う書類・システム
- 賃金台帳、報酬の支払記録(請求書)、源泉徴収税額表、納付書(所得税徴収高計算書)・e-Tax
担当と役割
給与担当
給与・賞与の源泉徴収額の集計
経理担当
報酬の源泉徴収額の集計、納付書の作成、納付
経理責任者
納付額の確認
手順(10ステップ)
1. 前月に支払った給与・賞与の支給人数・支給額・源泉徴収額を集計する
支払日基準で集計する(支給対象期間ではない)。
- 確かめること
- 賃金台帳の合計と一致するか
- できあがるもの
- 給与分の集計
- 集計経理担当・目安 30分
2. 前月に支払った報酬のうち源泉徴収の対象を抜き出す
弁護士・税理士・社労士などの報酬、講演料・原稿料、デザイン料などが対象。法人への支払は原則対象外。
- 確かめること
- 個人への支払を漏れなく確認したか
- できあがるもの
- 報酬分の集計
- 確認経理担当・目安 1件5分
3. 新しい個人の支払先について、源泉徴収の対象か、住所・氏名・マイナンバーを取得しているかを確認する
支払調書の作成に必要なため、初回の支払前に取得する。
- 確かめること
- 初回の支払前に取得したか
- できあがるもの
- 支払先の情報
- 計算経理担当・目安 1件2分
4. 報酬の源泉徴収額を確認する
原則として支払額の10.21%(1回100万円を超える部分は20.42%)。消費税が区分されている場合は税抜額で計算できる。
- 確かめること
- 請求書の源泉額と自社の計算が一致するか
- できあがるもの
- 源泉額の確認
5. 納付書(所得税徴収高計算書)を区分ごとに作る
給与と報酬で様式が違う(給与所得・退職所得等用と報酬・料金等用)。
- 確かめること
- 様式と区分が正しいか
- できあがるもの
- 納付書
- 確認経理責任者・目安 10分
6. 納付額と会計の預り金残高を照合する
源泉の預り金勘定の残高が、前月分の納付額と一致するはず。
- 確かめること
- 預り金残高と納付額が一致するか
- できあがるもの
- 照合記録
7. 翌月10日までにe-Tax・インターネットバンキング・金融機関の窓口で納付する
10日が休日の場合は翌営業日が期限。
- 確かめること
- 期限内に納付したか
- できあがるもの
- 納付記録
- ゼロ納付経理担当・目安 5分
8. 支払がなかった月も、納期の特例でない場合はゼロの納付書を提出することが望ましい
所轄税務署の案内に従う。
- 確かめること
- 提出の要否を確認したか
- できあがるもの
- 提出記録
9. 納付の仕訳を入れ、預り金を消し込む
納付書の控えを保存する。
- 確かめること
- 預り金残高が0になったか
- できあがるもの
- 仕訳
10. 報酬の支払先ごとに年間の支払額と源泉額を記録する
翌年1月の支払調書・法定調書合計表の作成に使う。
- 確かめること
- 支払先ごとの年間合計を更新したか
- できあがるもの
- 支払調書用の記録
締めのチェックリスト
- 給与の源泉額が賃金台帳と一致した
- 個人への報酬を漏れなく抜き出した
- 報酬の源泉額の計算を確認した
- 納付書の様式と区分が正しい
- 預り金残高と納付額が一致した
- 期限内に納付した
- 納付書の控えを保存した
- 支払調書用の年間記録を更新した
よくあるミスと防ぎ方
個人への報酬で源泉徴収を忘れる
士業・講師・デザイナーなどへの支払で起きます。支払処理の時点で「個人か・源泉対象か」を確認する欄を設けます。
納期の特例の期限を勘違いする
特例は7月10日と1月20日です。毎月納付と混同しないよう、期限を年間カレンダーに入れます。
納付が遅れて加算税がかかる
期限を過ぎると不納付加算税と延滞税がかかります。毎月の締めのスケジュールに組み込みます。
測っておきたい指標
- 期限内納付率
- 源泉漏れの件数
- 預り金残高の差異
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
給与・報酬の支払者は源泉徴収し、原則として翌月10日までに納付
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「源泉所得税の納付」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち5つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順1:前月に支払った給与・賞与の支給人数・支給額・源泉徴収額を集計する
- 手順5:納付書(所得税徴収高計算書)を区分ごとに作る
- 手順7:翌月10日までにe-Tax・インターネットバンキング・金融機関の窓口で納付する
- 手順9:納付の仕訳を入れ、預り金を消し込む
よくある質問
- 納期の特例は誰が使えますか?
- 給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業者で、税務署に申請書を出して承認を受けた場合です。報酬のうち対象は一部に限られます。
- 法人に払う報酬も源泉徴収しますか?
- 原則として不要です。ただし馬主への賞金など一部の例外があります。
- 消費税込みの金額で源泉徴収してよいですか?
- 請求書で消費税が区分されていれば税抜額で計算できます。区分されていない場合は税込額で計算します。