支払処理の業務手順書テンプレート(業種共通)
支払予定表から当月の支払を確定し、振込データを作って二人以上で確認し、銀行に送信して記帳します。手順書にしておくと、支払漏れ・二重払い・振込先の誤り・取適法の期日違反を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 決まった支払日に、正しい相手へ、正しい金額を払うことを目的にします。
- 範囲
- 支払予定の確定から、振込データの送信、支払の記帳、支払通知の送付まで。請求書の受領と照合は別の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 毎月の支払日(例: 月末・翌月10日)の5営業日前
- 頻度・量の目安
- 月1〜2回・振込30〜200件
- 使う書類・システム
- 支払予定表、承認済みの請求書、仕入先マスタ(振込先口座)、インターネットバンキング、資金繰り表
担当と役割
経理担当
支払予定の確定、振込データの作成
経理責任者
支払一覧と振込データの承認
出納責任者(社長・役員)
インターネットバンキングでの最終承認
手順(11ステップ)
- 確定経理担当・目安 30分
1. 支払予定表から当月支払分を抽出し、承認済みの請求書と1件ずつ照合する
承認が済んでいない請求書は支払対象に入れない。
- 確かめること
- 支払一覧の件数と承認済み請求書の件数が一致するか
- できあがるもの
- 当月の支払一覧
- 確定経理担当・目安 20分
2. 取適法の対象取引(製造委託・役務委託など)の支払期日を確認する
受領日(役務は提供を受けた日)から60日以内に支払う。締め日・支払日の組み合わせで超えないかを見る。
- 確かめること
- 60日を超える取引がないか
- できあがるもの
- 期日確認済みの一覧
- 確定経理担当・目安 15分
3. 資金繰り表で支払日の残高が足りるか確認する
大口入金の予定がずれた場合は責任者に相談する。
- 確かめること
- 支払後の残高が最低保有額を下回らないか
- できあがるもの
- 資金確認の記録
4. 仕入先マスタの口座で振込データ(全銀形式など)を作る
口座はマスタから取り込み、手入力しない。
- 確かめること
- 件数・合計金額が支払一覧と一致するか
- できあがるもの
- 振込データ
- 作成経理担当・目安 10分
5. 振込手数料の負担を確認する
取適法の対象取引で、手数料を差し引いて払うのは禁止。それ以外の取引も契約の定めに従う。
- 確かめること
- 差引額が0円になっているか(取適法対象)
- できあがるもの
- 手数料確認済み
- 口座変更経理担当・目安 10分
6. 振込先口座の変更依頼があった場合、登録済みの電話番号に電話して本人確認する
メールだけの変更依頼はなりすましの可能性がある。確認者と確認日時を記録する。
- 確かめること
- 電話で確認した記録があるか
- できあがるもの
- 口座変更の記録
7. 支払一覧と振込データの合計・件数・新規口座を確認し承認する
初めて振り込む口座と、前月から金額が大きく変わった先を重点的に見る。
- 確かめること
- 新規口座の根拠書類(変更依頼書)があるか
- できあがるもの
- 承認記録
- 送信出納責任者・目安 10分
8. インターネットバンキングで振込データを最終承認し送信する
作成者と承認者を別のIDにし、同じ人が作成と承認をしない。
- 確かめること
- 送信件数・合計額が承認済みの一覧と一致するか
- できあがるもの
- 送信完了の画面記録
9. 翌営業日に振込結果を確認し、組戻し・エラーがあれば対応する
口座相違で戻った振込は仕入先に連絡し、口座を確認してから再振込する。
- 確かめること
- エラー0件か
- できあがるもの
- 振込結果の記録
10. 支払の仕訳を入れ、買掛金・未払金の残高を消し込む
支払一覧と仕訳の合計を照合する。
- 確かめること
- 買掛金の残高が支払後の予定額と一致するか
- できあがるもの
- 仕訳・残高
- 通知経理担当・目安 15分
11. 必要な仕入先に支払通知書を送る
差引がある場合(相殺など)は内訳を書いて送る。
- 確かめること
- 支払通知の送付先に漏れがないか
- できあがるもの
- 支払通知書
締めのチェックリスト
- 承認済みの請求書だけを支払対象にした
- 取適法の対象取引が60日以内に収まる
- 振込手数料を差し引いていない(取適法対象)
- 支払後の残高が足りる
- 振込先口座をマスタから取り込んだ
- 口座変更は電話で本人確認した
- 作成者と承認者が別の人である
- 振込結果のエラーを確認した
- 買掛金・未払金を消し込んだ
よくあるミスと防ぎ方
偽の口座変更メールで振り込んでしまう
取引先を名乗るメールで口座変更を求める詐欺があります。変更は必ず登録済みの電話番号で確認します。
締め日と支払日の組み合わせで60日を超える
「月末締め翌々月末払い」は最長で約90日になり取適法違反になります。対象取引の支払条件を見直します。
同じ請求を二度振り込む
前月に払った請求書が再び一覧に入ることがあります。請求番号で支払済みかを検索します。
測っておきたい指標
- 支払漏れ・誤振込の件数
- 取適法の期日を超えた支払の件数
- 支払日の5営業日前までに確定できた割合
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
取適法(中小受託取引適正化法・2026年1月施行、旧下請法)
委託先への支払は受領日から60日以内。手形払い・振込手数料の差し引きは禁止
インターネットバンキングの振込明細も取引の記録として保存する
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「支払処理」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順4:仕入先マスタの口座で振込データ(全銀形式など)を作る
- 手順9:翌営業日に振込結果を確認し、組戻し・エラーがあれば対応する
- 手順10:支払の仕訳を入れ、買掛金・未払金の残高を消し込む
よくある質問
- 手形で払ってもよいですか?
- 取適法の対象取引では手形払いは禁止です。電子記録債権やファクタリングも、支払期日までに満額の現金化が難しいものは使えません。
- 振込手数料を相手負担にする契約は有効ですか?
- 取適法の対象取引では、手数料を差し引くことは減額にあたり禁止です。対象外の取引は契約で決めた負担に従います。
- 支払日が銀行の休日の場合は?
- 取適法の対象取引では、前倒しで払うのが安全です。後ろにずらす場合は、60日を超えないことと事前の合意が必要です。