経費精算の業務手順書テンプレート(業種共通)
社員が立て替えた経費を、領収書とあわせて申請し、上長と経理が確認して支払います。手順書にしておくと、私的な支出の混入、領収書の紛失、インボイスの確認漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 立て替えた経費を正しく早く払い戻し、税務上必要な書類をそろえることを目的にします。
- 範囲
- 社員の申請から、承認、経理の確認、支払、領収書の保存まで。法人カードの利用分も含めます。
- 始まるきっかけ
- 社員が交通費・出張費・接待費などを立て替えたとき
- 頻度・量の目安
- 月1回の締め(例: 月末締め翌月10日払い)・社員1人あたり月数件〜20件
- 使う書類・システム
- 経費精算規程(旅費規程を含む)、領収書・レシート(紙・電子)、交通系ICカードの利用履歴、経費精算システムまたは申請書
担当と役割
申請者(社員)
申請の作成、領収書の提出
上長
業務上必要な支出かの承認
経理担当
規程・税務の確認、仕訳、支払
経理責任者
規程外の支出の判断
手順(10ステップ)
- 申請申請者・目安 1件3分
1. 支出後、締め日までに申請書に日付・支払先・金額・目的・同席者を書いて申請する
接待費は相手の会社名・人数を書く。1人あたりの金額で税務上の扱いが変わる。
- 確かめること
- 目的と金額が領収書と一致するか
- できあがるもの
- 経費申請
2. 領収書を添付する。電子で受け取った領収書は電子のまま添付する
紙はスマートフォンで撮影して添付し、原本は規程に従い提出または保管する。
- 確かめること
- 日付・金額・支払先が読める画像か
- できあがるもの
- 添付済みの申請
3. 業務上必要な支出か、規程の上限を超えていないかを確認して承認する
承認は申請から3営業日以内に行う。
- 確かめること
- 規程の上限(例: 宿泊費の上限)を超えていないか
- できあがるもの
- 承認記録
4. 領収書の金額・日付と申請内容を照合する
同じ領収書の二重申請がないか、日付と金額で検索する。
- 確かめること
- 重複がないか
- できあがるもの
- 確認済みの申請
- 確認経理担当・目安 1件1分
5. インボイスかどうかと、帳簿のみ保存の特例に当たるかを確認する
3万円未満の公共交通機関の運賃、自動販売機での購入、出張旅費・日当などは特例で領収書がなくても控除できる。
- 確かめること
- 登録番号の有無で税区分を分けたか
- できあがるもの
- 税区分の判定
6. 交通費は経路と運賃を確認する
定期区間との重複がないか、通常の経路かを確認する。
- 確かめること
- 定期区間を含んでいないか
- できあがるもの
- 確認結果
- 差戻し経理担当・目安 1件2分
7. 不備があれば理由を書いて差し戻す
よくある不備(宛名・目的の記入漏れなど)は一覧にして社内に周知する。
- 確かめること
- 差戻し理由が具体的か
- できあがるもの
- 差戻し記録
8. 勘定科目・部門・税区分を入れて仕訳を作る
交際費と会議費は1人あたりの金額基準(社内規程・税法)で分ける。
- 確かめること
- 科目と税区分が規程どおりか
- できあがるもの
- 仕訳データ
- 支払経理担当・目安 20分
9. 締め後、支払日に申請者の口座へ一括で振り込む
振込データは支払処理と同じ承認を経る。
- 確かめること
- 振込合計が承認済みの精算額と一致するか
- できあがるもの
- 振込記録
- 保存経理担当・目安 15分
10. 領収書を電子帳簿保存法の要件に沿って保存する
電子で受け取ったものは電子のまま、紙をスキャンして捨てる場合はスキャナ保存の要件を守る。
- 確かめること
- 取引日・金額・取引先で検索できるか
- できあがるもの
- 保存済みの証憑
締めのチェックリスト
- 締め日までの申請が全件そろった
- 領収書の日付・金額と申請が一致する
- 二重申請がない
- 規程の上限を超えていない
- インボイスの有無で税区分を分けた
- 帳簿のみ保存の特例の対象を確認した
- 交通費に定期区間が含まれていない
- 振込額が承認済み精算額と一致する
- 電子の領収書を電子のまま保存した
よくあるミスと防ぎ方
同じ領収書を二度申請する
紙とスマートフォンの画像で二重に出されることがあります。日付と金額で検索してから処理します。
交際費と会議費の区分がぶれる
担当者で判断が分かれます。1人あたり金額の基準と「会議の実態」の書き方を規程に書いておきます。
電子の領収書を印刷して紙で出す
電子で受け取った領収書は電子データの保存が必要です。申請画面に電子のまま添付する手順にします。
測っておきたい指標
- 申請から支払までの日数
- 差戻しの割合
- 締め後の遅れ申請の件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
請求書に登録番号・税率ごとの対価の額と消費税額などの記載が必要
メール・Web・電子契約で受け取った請求書等は電子データのまま検索できる形で保存(2024年1月から義務)
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「経費精算」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- 領収書をなくした場合は?
- 支払先・日付・金額・目的を書いた支払証明書を作り、上長の承認を得ます。頻繁に起きないよう、受け取ったその日に撮影して申請する運用をすすめます。
- タクシー代にインボイスは必要ですか?
- タクシーは公共交通機関の特例の対象外のため、仕入税額控除にはインボイス(登録番号の入った領収書)が必要です。
- レシートの宛名がなくても大丈夫ですか?
- 小売業や飲食店などの簡易インボイスは、宛名の記載がなくても認められます。