金型管理の業務手順書テンプレート(製造業)
金型管理は、金型ごとに所有者・保管場所・ショット数・メンテナンス履歴を記録し、使用前後に点検して、良い状態で使い続けられるようにする業務です。手順書にしておくと、メンテナンス時期を過ぎた金型によるバリ・寸法不良や、所有者があいまいな預かり型の保管トラブルを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 金型の状態と所有関係を台帳で一元管理し、成形不良と保管のトラブルを防ぎます。
- 範囲
- 金型の受入・台帳登録から、使用・点検・メンテナンス・保管・返却・廃棄まで。金型の設計・製作は含みません。
- 始まるきっかけ
- 新しい金型が届いたとき、成形の段取りの前後、ショット数がメンテナンス基準に達したとき、顧客から保管・廃棄の連絡があったとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日(段取りごと)。管理する金型は100〜2,000面
- 使う書類・システム
- 金型管理台帳、金型の図面・仕様書、成形日報(ショット数)、メンテナンス記録、金型の保管・廃棄に関する顧客との覚書
担当と役割
金型担当(保全)
台帳の管理、メンテナンス、保管場所の管理
成形作業者
使用前後の点検、ショット数の記録
生産管理
生産予定と金型の使用予定の調整
営業・購買
所有者(顧客・自社)との保管・廃棄の取り決め
手順(14ステップ)
- 受入金型担当・目安 20分
1. 新しい金型の外観と付属品を確かめる
型番の刻印、スライド・入子・冷却配管、付属品(エジェクタピン予備等)が仕様書どおりか確かめます。
- 確かめること
- 型番の刻印が仕様書と一致するか
- できあがるもの
- 受入確認の記録
2. 金型管理台帳に登録する
型番・品番・所有者(自社・顧客)・製作日・取り数・保管場所・メンテナンス周期(ショット数)を入れます。
- 確かめること
- 所有者の欄を空欄にしていないか
- できあがるもの
- 台帳の1行
- 登録金型担当・目安 5分
3. 金型に管理番号の表示をつける
管理番号と所有者を書いたプレートやラベルを型に取り付けます。
- 確かめること
- 台帳の管理番号と表示が同じか
- できあがるもの
- 管理番号の表示
- 使用前成形作業者・目安 10分
4. 段取り前に金型を点検する
パーティング面のキズ・さび、冷却水路の詰まり、エジェクタピンの動き、前回の不具合メモを確かめます。
- 確かめること
- 前回の使用後に「要修理」の記録がないか
- できあがるもの
- 使用前点検の記録
- 使用中成形作業者・目安 10分
5. 初物で成形品の寸法・外観を確かめる
バリ・ショート・ヒケが出ていないか、寸法が規格内かを確かめます。
- 確かめること
- 金型由来の不良(バリ・キズの転写)がないか
- できあがるもの
- 初物確認
6. ショット数を成形日報に記録する
成形機のショットカウンターの値を、開始時と終了時で書きます。
- 確かめること
- 開始と終了の差が生産数÷取り数と合うか
- できあがるもの
- ショット数の記録
- 使用後成形作業者・目安 15分
7. 使用後に清掃・防錆し、不具合を記録する
樹脂かす・ガスやけを取り、防錆剤を塗ります。気づいた不具合を金型の不具合メモに書きます。
- 確かめること
- 防錆処理をしたか
- できあがるもの
- 使用後点検の記録
8. 台帳の累計ショット数を更新する
成形日報のショット数を台帳に加算し、メンテナンス基準までの残りを出します。
- 確かめること
- 基準の90%を超えた金型はないか
- できあがるもの
- 累計ショット数
- メンテナンス金型担当・目安 15分
9. 基準に達した金型のメンテナンスを計画する
生産予定の空き時期に合わせて、分解清掃・部品交換・磨きの日程を決めます。
- 確かめること
- 次の生産予定までに終わるか
- できあがるもの
- メンテナンス計画
- メンテナンス金型担当・目安 数時間〜
10. メンテナンスを行い、記録する
実施内容・交換部品・費用・実施後のショット数を記録し、台帳のメンテナンス後ショット数をリセットします。
- 確かめること
- 実施後に試し打ちで成形品を確かめたか
- できあがるもの
- メンテナンス記録
- 保管金型担当・目安 5分
11. 決められた棚に保管し、保管場所を台帳に記録する
重い型は下段、長期保管の型は防錆を強化します。外部倉庫や外注先に置く型も場所を記録します。
- 確かめること
- 台帳の保管場所と実際の場所が同じか
- できあがるもの
- 保管場所の記録
- 預かり型営業・購買・目安 30分
12. 顧客の型・外注先に預けた型の保管条件を取り決める
保管期間、保管費用、量産終了後の返却・廃棄の方法を書面で決めます。
- 確かめること
- 無償で長期保管を求める(求められる)状態になっていないか
- できあがるもの
- 保管に関する覚書
- 棚卸金型担当・目安 1〜2日
13. 年1回、台帳と現物を照合する
全ての型の所在・状態を確かめ、使用予定のない型を一覧にします。
- 確かめること
- 最終使用日から1年以上使っていない型を洗い出したか
- できあがるもの
- 金型棚卸の結果
- 廃棄金型担当・目安 15分
14. 所有者の了承を得て廃棄・返却し、台帳を更新する
顧客所有の型は、顧客の書面による指示を受けてから廃棄・返却します。
- 確かめること
- 廃棄の承認書を保存したか
- できあがるもの
- 廃棄・返却の記録
締めのチェックリスト
- 全ての金型が台帳に登録され、所有者が入っている
- 管理番号の表示と台帳が一致している
- 使用前点検をしてから段取りした
- ショット数を開始・終了で記録した
- 使用後に清掃と防錆をした
- 累計ショット数を台帳に反映した
- 基準に近い金型のメンテナンス日程を決めた
- 保管場所が台帳と一致している
- 預かり型の保管条件を書面で取り決めた
- 廃棄は所有者の書面の指示を受けてから行った
よくあるミスと防ぎ方
ショット数を記録しない
メンテナンス時期が分からず、バリや寸法不良が出てから気づきます。成形日報にショット数の欄を設けて毎回書きます。
所有者があいまいな型が溜まる
量産終了後の扱いを決めていないと、保管場所と費用の問題になります。登録時に所有者を必ず記録し、量産終了時に返却・廃棄を確かめます。
不具合を次の担当に伝えない
前回の使用後に気づいたキズが放置されます。金型ごとの不具合メモを型と一緒に保管します。
測っておきたい指標
- 金型起因の不良件数
- メンテナンス基準の超過件数
- 使用予定のない金型の面数
- 金型の段取り時間
関係する法令・規格
取適法(中小受託取引適正化法)
委託事業者が、量産終了後も中小受託事業者に金型を無償で保管させることは、不当な経済上の利益の提供要請として問題になります。保管費用・期間・廃棄の方法を書面で取り決めます。
法人税法(減価償却)
自社所有の金型は工具として減価償却の対象です。廃棄したときは除却の処理をします。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「金型管理」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- メンテナンスの基準ショット数はどう決めますか。
- 金型メーカーの推奨値をもとに、樹脂の種類(ガラス入りは摩耗が早い)と過去の不具合の発生時期から決めます。最初は短めにし、実績を見て延ばします。
- 顧客から長期間の無償保管を求められています。
- 取適法の対象取引であれば、無償での長期保管の要請は問題になる場合があります。保管費用の負担や返却・廃棄の時期について、書面で協議を申し入れます。
- ショット数の集計を自動にできますか。
- 手書きの成形日報は ジンベイ GenOCR で読み取れます。台帳への加算とメンテナンス時期の通知は ジンベイ GenApp で仕組みにできます。