4M変更の業務手順書テンプレート(製造業)
4M変更は、人(Man)・設備(Machine)・材料(Material)・方法(Method)のいずれかを変えるときに、品質への影響を評価し、必要に応じて顧客の承認を得てから切り替える業務です。手順書にしておくと、無断変更による顧客の信頼の低下や、切り替え直後の不良の見逃しを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 4Mの変更を事前に申請・評価・承認する流れを決め、変更による不具合を顧客に流さないようにします。
- 範囲
- 変更の申請から、影響評価、顧客への申請、試作・評価、切り替え、初期流動管理の解除まで。製品の設計そのものの変更は図面の出図・改訂の手順と合わせて扱います。
- 始まるきっかけ
- 作業者の交代・設備の移設や更新・材料や仕入先の変更・工程順や加工条件の変更を計画したとき。仕入先から4M変更の連絡を受けたときも含みます。
- 頻度・量の目安
- 随時。月2〜15件
- 使う書類・システム
- 4M変更申請書、4M変更の管理台帳、QC工程表・作業標準書、顧客との品質保証協定書(変更の届出基準)、評価計画書・試作の検査記録
担当と役割
変更の申請者(製造・生産技術・購買)
4M変更申請書の作成、試作の実施
品質保証
影響評価、顧客への申請、初期流動管理
品質保証課長・工場長
社内の承認、切り替えの判断
営業
顧客との窓口、承認の進み具合の確認
手順(14ステップ)
- 申請申請者・目安 30分
1. 4M変更申請書を作る
変更の区分(人・設備・材料・方法)、対象品番、変更前後の内容、理由、希望の切り替え時期を書きます。
- 確かめること
- 変更前と変更後の違いが具体的に書かれているか
- できあがるもの
- 4M変更申請書
2. 申請を受け付け、管理台帳に登録する
管理番号を振り、対象品番と顧客を一覧にします。
- 確かめること
- 同じ品番で進行中の変更と重なっていないか
- できあがるもの
- 台帳の1行
- 判定品質保証・目安 15分
3. 顧客への届出・承認が必要か判定する
品質保証協定書の届出基準と照らし合わせ、「届出不要・事前届出・事前承認」のどれかに分けます。
- 確かめること
- 基準があいまいな場合は営業経由で顧客に確かめたか
- できあがるもの
- 届出区分の判定
- 影響評価品質保証・目安 60分
4. 品質への影響を評価する
寸法・強度・外観・機能など、変更で影響しうる特性を洗い出し、FMEAやQC工程表を見直します。
- 確かめること
- 影響しうる特性と確かめ方が決まっているか
- できあがるもの
- 影響評価の結果
- 計画品質保証・目安 30分
5. 評価計画を決める
試作数、測定する項目、工程能力の確認方法、信頼性試験の要否を決めます。
- 確かめること
- 合否の基準が数値で決まっているか
- できあがるもの
- 評価計画書
- 社内承認品質保証課長・目安 15分
6. 変更の実施と評価計画を承認する
費用・日程・リスクを見て承認します。
- 確かめること
- 承認者と承認日を台帳に記録したか
- できあがるもの
- 社内承認
- 顧客申請営業・目安 30分
7. 届出・承認が必要な変更を顧客に申請する
顧客指定の様式で、変更内容と評価計画を出します。
- 確かめること
- 顧客の承認前に量産品を切り替えていないか
- できあがるもの
- 顧客への申請書
- 試作申請者・目安 1日〜
8. 変更後の条件で試作する
評価計画どおりの数を作り、変更前の条件と区別できるよう表示します。
- 確かめること
- 試作品と量産品が混ざっていないか
- できあがるもの
- 試作品
- 評価品質保証・目安 1日〜
9. 試作品を評価し、結果をまとめる
測定値・工程能力(Cpk)・試験結果を評価計画の基準と比べます。
- 確かめること
- 全項目が基準を満たしたか
- できあがるもの
- 評価報告書
- 顧客承認営業・目安 1〜4週間
10. 評価結果を顧客に出し、承認を受ける
必要に応じて初品サンプルを送り、承認書を受け取ります。
- 確かめること
- 承認書の対象品番・条件が申請と同じか
- できあがるもの
- 顧客の承認書
- 切り替え品質保証・目安 15分
11. 切り替えロットを決め、関係部署に知らせる
切り替え日・最初のロット番号を決め、作業標準書・QC工程表を改訂して配ります。
- 確かめること
- 変更前後のロットを区別して記録できるか
- できあがるもの
- 切り替え通知
- 初期流動品質保証・目安 期間中
12. 切り替え後の初期流動管理を行う
決めた期間(例: 3ロットまたは1か月)、検査の頻度を上げ、工程能力を確かめます。
- 確かめること
- 不良や傾向の変化が出ていないか
- できあがるもの
- 初期流動管理の記録
- 解除品質保証課長・目安 10分
13. 初期流動管理を解除し、台帳を完了にする
結果を確かめて通常の管理に戻します。
- 確かめること
- 解除の判断と根拠を記録したか
- できあがるもの
- 完了記録
- 仕入先管理購買担当・目安 15分
14. 仕入先の4M変更も同じ手順で受け付ける
仕入先には事前連絡を義務づけ、届いた連絡は台帳に登録して品質保証が評価します。
- 確かめること
- 仕入先の変更が自社の顧客への届出に当たらないか
- できあがるもの
- 仕入先変更の登録
締めのチェックリスト
- 申請書に変更前後の内容が具体的に書かれている
- 管理番号を振って台帳に登録した
- 顧客への届出区分を協定書で判定した
- 影響しうる特性と確かめ方を決めた
- 合否の基準が数値で決まっている
- 社内承認を受けた
- 顧客の承認前に切り替えていない
- 切り替えロット番号を記録した
- 作業標準書・QC工程表を改訂した
- 初期流動管理の結果を確かめて解除した
よくあるミスと防ぎ方
小さな変更だと思って届けない
工具メーカーの変更や置き場の移動でも、顧客の基準では届出の対象のことがあります。迷ったら申請書を出し、品質保証が判定します。
顧客の承認前に切り替える
日程が押して先に切り替えると、承認されなかった場合に出荷できなくなります。承認書の受領を切り替えの条件にします。
切り替えロットが分からない
変更前後の製品の区別ができず、不具合の追跡ができません。切り替え時のロット番号を台帳に記録します。
測っておきたい指標
- 4M変更の申請件数と無届の件数
- 顧客承認までの日数
- 切り替え後3か月の不良率
関係する法令・規格
ISO 9001
8.5.6(変更の管理)に関わり、変更の内容・レビューの結果・承認者を記録することが求められます。
顧客との品質保証協定書
届出・承認が必要な変更の範囲は顧客ごとの取り決めで決まります。自動車部品では IATF 16949 に沿った顧客の要求がある場合があります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「4M変更」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 作業者が替わるだけでも申請が要りますか。
- 特殊工程(溶接・熱処理など)や、資格・認定が必要な工程の作業者交代は申請の対象にする会社が多いです。顧客との取り決めを確かめて社内の基準を決めます。
- 4M変更の進み具合が分からなくなります。
- 管理台帳で、申請・評価・顧客承認・切り替え・初期流動の段階を管理します。ジンベイ GenApp で台帳と承認の流れを作ると、止まっている案件を見つけやすくなります。
- 初期流動管理の期間はどう決めますか。
- 変更の大きさに応じて決めます。材料や設備の変更なら3ロット以上、作業者の交代なら1〜2週間など、社内の基準を表にしておくと判断がそろいます。