生産計画の業務手順書テンプレート(製造業)
生産計画は、受注残と内示から作る数量を決め、材料と工程の能力を確かめて、日ごとの作業予定に落とし込む業務です。手順書にしておくと、担当者の勘に頼った計画による残業の偏りや、材料の欠品によるライン停止を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 毎週・毎日の生産計画を同じ手順で作り、負荷と材料の確認を漏らさず、現場に無理のない計画を出せるようにします。
- 範囲
- 受注残・内示の集計から、月次の大日程、週次の中日程、日次の作業計画(小日程)の作成と、進捗のずれへの対応まで。設備保全の年間計画は含みません。
- 始まるきっかけ
- 毎月の内示受領時(月次計画)と、毎週の計画会議の前(週次計画)。急な受注・設備故障で計画を組み替えるときも含みます。
- 頻度・量の目安
- 月次1回・週次1回・日次の見直し。対象品目は50〜500品目
- 使う書類・システム
- 受注管理表(受注残)、顧客の内示・フォーキャスト、部品表(BOM)、在庫照会画面、工程別の能力表(設備台数・稼働時間・人員)、生産計画表
担当と役割
生産管理(計画担当)
受注・内示の集計、所要量計算、日程計画の作成
製造課長
工程の能力・人員配置の確認、計画の承認
購買担当
材料・部品の手配と入荷予定の回答
品質保証
検査工程の能力と、品質保留品の情報提供
手順(14ステップ)
1. 受注残と内示を品目別・納期別に集計する
受注管理表から未出荷の受注残を、内示データから向こう3か月分を取り出し、品目×週の表にまとめます。
- 確かめること
- 確定注文と内示を分けて集計しているか
- できあがるもの
- 品目別の必要数一覧
- 集計生産管理・目安 20分
2. 完成品在庫と安全在庫を差し引いて生産数量を決める
必要数から有効在庫を引き、安全在庫に足りない分を足します。ロットサイズに切り上げます。
- 確かめること
- 品質保留品を有効在庫に数えていないか
- できあがるもの
- 品目別の生産数量
3. 部品表で材料・部品の所要量を計算する
生産数量に部品表の員数を掛け、歩留まり分を上乗せします。在庫と発注残を引いて不足を出します。
- 確かめること
- 部品表が最新の版か(設計変更が反映済みか)
- できあがるもの
- 材料・部品の不足一覧
- 所要量購買担当・目安 1日
4. 不足する材料・部品の入荷予定日を回答する
仕入先の標準リードタイムと発注残を見て、いつ入荷できるかを生産管理に返します。
- 確かめること
- 入荷予定日が着手予定日に間に合うか
- できあがるもの
- 入荷予定の回答
- 負荷計算生産管理・目安 30分
5. 工程ごとの負荷を計算する
生産数量に工程別の標準時間を掛けて必要工数を出し、週ごとの能力(台数×稼働時間×稼働率)と比べます。
- 確かめること
- 負荷率が100%を超える工程はないか
- できあがるもの
- 工程別の負荷表
- 負荷調整生産管理・目安 30分
6. 負荷が超える工程を平準化する
前倒し生産、残業・休日出勤、外注、段取り順の変更のどれで対応するかを案にします。
- 確かめること
- 残業時間が36協定の上限を超えない範囲か
- できあがるもの
- 負荷調整案
- 大日程製造課長・目安 60分
7. 月次の大日程を確認・承認する
生産会議で品目別の月間生産数量と、残業・外注の方針を決めます。
- 確かめること
- 人員配置と設備保全の予定と重なっていないか
- できあがるもの
- 承認済みの月次計画
- 中日程生産管理・目安 45分
8. 週次の中日程を作る
品目ごとの着手日・完了日を工程順に並べ、前の工程の完了と次の工程の着手がつながるように組みます。
- 確かめること
- 材料の入荷予定日より前に着手していないか
- できあがるもの
- 週次の工程表
- 小日程生産管理・目安 30分
9. 設備別の日次作業計画を作る
設備ごとに作業順を決めます。同じ材料・金型の品目を続けて段取り替えを減らします。
- 確かめること
- 納期の早い順を守りつつ段取り回数を減らせているか
- できあがるもの
- 日次の作業計画(設備別)
10. 製造指示書を発行し現場に配る
指示番号・品番・数量・着手日・完了予定日・図面の版を書いた製造指示書を出します。
- 確かめること
- 図面の版と材料のロットが指示書に入っているか
- できあがるもの
- 製造指示書
11. 作業日報で実績を確認する
毎日、作業日報の完成数・不良数・停止時間を計画と比べます。
- 確かめること
- 計画に対して遅れが半日以上ある品目はないか
- できあがるもの
- 進捗の記録
- 組み替え生産管理・目安 30分
12. 遅れ・設備故障・急な注文で計画を組み替える
影響を受ける品目と納期を洗い出し、優先順位を営業と決め直します。
- 確かめること
- 納期に影響する場合、営業に当日中に連絡したか
- できあがるもの
- 修正した日次計画
- 連絡生産管理・目安 10分
13. 納期に影響する変更を営業と購買に知らせる
変更した品目・新しい完了予定日・理由を一覧で送ります。
- 確かめること
- 顧客への連絡が必要な注文に印をつけたか
- できあがるもの
- 変更連絡
- 振り返り生産管理・目安 30分
14. 週次で計画達成率を集計する
計画数量に対する完成数量の割合と、遅れの理由(材料・設備・人員・品質)を集計します。
- 確かめること
- 遅れの理由が分類されているか
- できあがるもの
- 計画達成率の週報
締めのチェックリスト
- 受注残と内示を分けて集計した
- 有効在庫から品質保留品を除いた
- 部品表が最新版である
- 不足材料の入荷予定日を購買から受け取った
- 工程別の負荷率を計算した
- 100%を超える工程の対策を決めた
- 残業計画が36協定の範囲内である
- 製造指示書に図面の版と材料ロットが入っている
- 作業日報の実績を毎日計画と比べた
- 納期に影響する変更を営業に連絡した
よくあるミスと防ぎ方
負荷を見ずに受注順で並べる
特定の工程に作業が集中し、残業が偏ります。工程別の負荷率を出してから日程を組みます。
設計変更前の部品表で所要量を出す
旧部品を発注してしまいます。所要量計算の前に設計変更の反映状況を確かめます。
材料の入荷日を確認せずに着手日を決める
当日に材料がなくラインが止まります。購買の入荷予定回答を受けてから中日程を確定します。
測っておきたい指標
- 計画達成率(週)
- 納期遵守率
- 工程別の負荷率
- 段取り替え回数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
労働基準法(36協定)
残業・休日出勤で負荷を吸収する場合、時間外労働の上限(原則 月45時間・年360時間)の範囲で計画します。
ISO 9001
8.5.1(製造及びサービス提供の管理)に関わり、製造指示や作業手順を管理された状態で出すことが求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「生産計画」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 計画は何日先まで固定すべきですか。
- 多くの工場では、直近1週間を固定(凍結)し、その先は毎週見直します。固定期間内の変更は課長の承認を要すると決めると、現場の混乱が減ります。
- 作業日報の集計に時間がかかります。
- 手書きの日報は ジンベイ GenOCR で読み取ってデータにできます。実績を計画表と自動で突き合わせる仕組みは ジンベイ GenApp で作れます。
- 内示が大きく外れる顧客にはどう対応しますか。
- 内示と確定の差を品目別に記録し、差が大きい品目は安全在庫を増やすか、材料だけ先に手配して加工は確定後にする、といった方針を決めます。