社会保険の資格取得・喪失手続きの業務手順書テンプレート(士業事務所)
顧問先から入社・退社の連絡を受け、加入要件を判定し、健康保険・厚生年金・雇用保険の届出を期限内に出すまでの流れです。手順書にすると、届出の期限切れや、加入要件の判定の誤りを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 入退社の届出を、どの担当者でも期限内に同じ確認項目で行えるようにします。
- 範囲
- 顧問先からの入社・退社の連絡を受けてから、届出の完了と控え・資格確認書類の送付までです。
- 始まるきっかけ
- 顧問先から従業員の入社・退社の連絡があったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・顧問先数に応じて月10〜100件
- 使う書類・システム
- 入社連絡票(雇用契約書・労働条件通知書)、退職連絡票(退職日・退職理由)、マイナンバー・基礎年金番号、被扶養者の情報
担当と役割
担当者
入退社の連絡受付、加入要件の判定、届出の作成
事務スタッフ
電子申請の送信、控えの整理、顧問先への送付
社会保険労務士
判定に迷う加入要件の確認、届出内容の承認
手順(11ステップ)
1. 入社・退社の連絡を受け付ける
入社日または退職日、雇用形態、所定労働時間・日数、賃金を入社連絡票・退職連絡票で受け取ります。
- 確かめること
- 連絡を受けた日から届出の期限を計算し、期限管理表に入れる。
- できあがるもの
- 受付記録
- 判定担当者・目安 5分
2. 社会保険の加入要件を判定する
所定労働時間・日数が通常の従業員の4分の3以上か、短時間労働者の要件(週20時間以上など)と事業所の規模に当たるかを見ます。賃金要件・企業規模要件は2025年の法改正で段階的に見直されるため、判定のたびに日本年金機構の最新の案内で確かめます。
- 確かめること
- 2か月以内の有期契約でも、更新の見込みがあれば当初から加入となる場合がある。
- できあがるもの
- 加入判定の記録
- 判定担当者・目安 3分
3. 雇用保険の加入要件を判定する
週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるかを見ます。
- 確かめること
- 昼間学生など、適用除外に当たるかも確かめる。
- できあがるもの
- 加入判定の記録
- 判定社会保険労務士・目安 10分
4. 判定に迷うケースを確かめる
役員、複数の事業所で働く人、外国籍の従業員などを確かめます。
- 確かめること
- 判断の根拠(通知・Q&A)を記録する。
- できあがるもの
- 判定の確認記録
5. 資格取得届を作る
健康保険・厚生年金保険の資格取得届、雇用保険の資格取得届、被扶養者がいれば被扶養者(異動)届を作ります。
- 確かめること
- 報酬月額は通勤手当などを含めた見込み額で入れる。
- できあがるもの
- 届出書の案
6. 退職時は資格喪失届と離職証明書を作る
資格喪失届、本人が希望すれば雇用保険の離職証明書を作ります。
- 確かめること
- 離職理由は顧問先と本人の認識が一致しているか確かめる。
- できあがるもの
- 喪失届・離職証明書の案
- 承認社会保険労務士・目安 5分
7. 届出の内容を確かめる
期限、報酬月額、離職理由を確かめます。
- 確かめること
- 提出代行・事務代理の区分と、顧問先からの委任状を確かめる。
- できあがるもの
- 承認済みの届出
8. 電子申請で届出を出す
e-Gov などの電子申請で送信し、到達番号を記録します。
- 確かめること
- 社会保険の取得・喪失は事実発生から5日以内、雇用保険の取得は翌月10日まで、喪失は翌日から10日以内に出す。
- できあがるもの
- 到達番号の記録
9. 審査結果と公文書を受け取る
決定通知書・資格取得等確認通知書などの公文書をダウンロードします。
- 確かめること
- 返戻・補正の連絡があれば、その日のうちに担当者に回す。
- できあがるもの
- 公文書
- 送付事務スタッフ・目安 10分
10. 顧問先に控えと通知書を送る
決定通知書、被保険者証や資格確認に関する書類、離職票などを送ります。
- 確かめること
- 本人に渡す書類と、事業所で保管する書類を分けて案内する。
- できあがるもの
- 送付記録
11. 労働者名簿・顧問先管理台帳を更新する
取得日・喪失日、被保険者番号を記録します。
- 確かめること
- 顧問先の労働者名簿の更新を依頼する。
- できあがるもの
- 更新済みの台帳
締めのチェックリスト
- 届出の期限を期限管理表に入れた
- 社会保険の加入要件(4分の3・短時間労働者)を判定した
- 雇用保険の加入要件(週20時間・31日)を判定した
- 被扶養者の有無を確かめた
- 報酬月額に通勤手当を含めた
- 離職理由の認識が一致している
- 顧問先からの委任状がある
- 期限内に電子申請した
- 公文書を顧問先に送った
- 台帳を更新した
よくあるミスと防ぎ方
入社連絡が遅れて期限を過ぎる
顧問先からの連絡が入社後になることがあります。入社が決まった時点で連絡票を出してもらうよう、顧問契約時に依頼しておきます。
短時間労働者の加入漏れ
週の所定労働時間が短くても、事業所の規模などによって加入対象になります。加入判定を雇用契約書の所定時間・賃金で行います。
離職理由の食い違い
会社都合・自己都合の記載が本人の認識と違うと、手続きがやり直しになります。離職証明書は本人の確認を経て出します。
測っておきたい指標
- 届出の期限内提出率
- 返戻・補正の件数
- 連絡受付から提出までの日数
関係する法令・規格
健康保険法・厚生年金保険法
被保険者の資格取得・喪失の届出(5日以内)、被扶養者の届出、短時間労働者の適用に関わります。
雇用保険法
資格取得届(翌月10日まで)、資格喪失届(翌日から10日以内)、離職証明書に関わります。
社会保険労務士法
提出代行・事務代理などの業務の範囲と守秘義務に関わります。
番号法(マイナンバー法)
届出に使う個人番号の安全管理に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(士業・10業務)
- 「社会保険の資格取得・喪失手続き」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち6つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順5:資格取得届を作る
- 手順6:退職時は資格喪失届と離職証明書を作る
- 手順8:電子申請で届出を出す
- 手順9:審査結果と公文書を受け取る
よくある質問
- 社会保険の適用拡大の対象は。
- 短時間労働者の加入は、事業所の規模などの要件で決まります。法改正で対象が広がっていくため、顧問先ごとに最新の要件で判定します。
- 資格取得届を期限後に出したら。
- 遅れても届出は受け付けられますが、理由の説明を求められることがあります。遡って保険料が発生するため、顧問先に早めに伝えます。
- 電子申請は義務ですか。
- 資本金1億円超の法人などは、算定基礎届などの一部の届出で電子申請が義務です。それ以外の事業所でも電子申請を使えます。