期日・期限の管理の業務手順書テンプレート(士業事務所)
裁判所の期日、準備書面の提出期限、控訴などの上訴期限、時効の完成日を記録し、期限の前に必ず気づける仕組みにする流れです。手順書にすると、取り返しのつかない期限の徒過を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 期日と期限を一か所で管理し、担当弁護士と事務職員の二人で確かめられるようにします。
- 範囲
- 期日・期限が発生してから、その期日が終わる、または期限内に手続きを終えるまでです。
- 始まるきっかけ
- 裁判所から期日の呼出し・判決書の送達を受けたとき、期日で次回の期日が決まったとき
- 頻度・量の目安
- 毎日・事務所全体で1日5〜30件
- 使う書類・システム
- 期日呼出状・期日請書、判決書・決定書(送達日)、期日管理表(事務所のカレンダー)、事件記録
担当と役割
事務職員
期日・期限の登録、期限の計算、前日の確認
弁護士
期限の最終確認、書面の作成と提出、依頼者への報告
事務局長
期日管理表の全体点検
手順(11ステップ)
1. 期日を期日管理表に入れる
事件番号、裁判所、係属部、期日の種類(口頭弁論・弁論準備・和解など)、日時、法廷・場所を入れます。
- 確かめること
- 期日請書の内容と一致しているか確かめる。
- できあがるもの
- 期日管理表の1行
2. 書面の提出期限を入れる
準備書面・証拠の提出期限を、期日の何日前と決められた日で入れます。
- 確かめること
- 提出期限の3営業日前を「下書き期限」として別に入れる。
- できあがるもの
- 提出期限の登録
- 送達事務職員・目安 3分
3. 判決書・決定書の送達日を記録する
送達を受けた日を、送達報告書や受領の記録で確かめて事件記録に入れます。
- 確かめること
- 事務所で受け取った日と送達の日が一致しているか確かめる。
- できあがるもの
- 送達日の記録
- 計算事務職員・目安 5分
4. 上訴期限を計算する
民事の控訴・上告は判決書の送達を受けた日から2週間、即時抗告は告知を受けた日から1週間です。
- 確かめること
- 期間の末日が土日祝・年末年始なら翌日になる。計算式と結果を記録する。
- できあがるもの
- 上訴期限の登録
- 二重確認弁護士・目安 5分
5. 期限の計算を確かめる
事務職員が計算した上訴期限・時効の完成日を、担当弁護士が別に計算して照合します。
- 確かめること
- 照合した日と弁護士名を記録する。
- できあがるもの
- 確認記録
- 報告弁護士・目安 20分
6. 依頼者に判決と上訴の期限を伝える
判決の内容、上訴するかどうかの判断の期限を書面またはメールで伝えます。
- 確かめること
- 依頼者の判断の期限を、上訴期限の数日前に設定する。
- できあがるもの
- 報告の記録
7. 期限の前に担当弁護士へ知らせる
期日管理表から、7日前・3日前・前日に担当弁護士へ通知します。
- 確かめること
- 通知に事件番号・期限の種類・残り日数を入れる。
- できあがるもの
- 通知記録
- 提出弁護士・目安 案件による
8. 書面を作成して提出する
準備書面・控訴状などを作成し、裁判所に提出します。
- 確かめること
- 提出の記録(受付印・電子提出の受付通知)を事件記録に保存する。
- できあがるもの
- 提出控え
9. 期日の結果と次回期日を記録する
期日で決まった次回期日・宿題(提出期限)を、弁護士からの報告で入れます。
- 確かめること
- 期日の当日中に入れる。
- できあがるもの
- 期日結果の記録
10. 週1回、期日管理表を点検する
向こう2週間の期日・期限の一覧を出し、担当の割り当てと準備状況を確かめます。
- 確かめること
- 担当弁護士が不在の日に期限がないか確かめる。
- できあがるもの
- 週次の点検記録
- 完了事務職員・目安 2分
11. 終わった期日・期限を完了にする
期日が終わった、または期限内に手続きを終えたものに完了印をつけます。
- 確かめること
- 完了の根拠(提出控えなど)がある。
- できあがるもの
- 完了の記録
締めのチェックリスト
- 期日を期日請書の内容と照合して登録した
- 書面の提出期限と下書き期限を入れた
- 判決書の送達日を記録した
- 上訴期限を計算し、末日が休日なら翌日にした
- 弁護士が期限の計算を別に確かめた
- 依頼者に上訴の判断の期限を伝えた
- 7日前・3日前・前日に通知した
- 期日の結果と次回期日を当日中に入れた
- 週1回、向こう2週間を点検した
- 完了の根拠を事件記録に保存した
よくあるミスと防ぎ方
送達日を事務所の受領日と取り違える
上訴期限は送達を受けた日から数えます。送達報告書などで日付を確かめ、事件記録に入れます。
期限の計算を一人だけで行う
計算の誤りに気づけません。事務職員と弁護士がそれぞれ計算して照合します。
担当弁護士の不在日に期限が来る
出張・休暇中の期限に気づかないことがあります。週次の点検で、担当の予定と期限を重ねて確かめます。
測っておきたい指標
- 期限の二重確認の実施率(100%が基準)
- 期限直前(前日以降)に提出した件数
- 期日結果の当日入力率
関係する法令・規格
民事訴訟法
控訴期間(判決書の送達を受けた日から2週間)、上告期間、即時抗告の期間(1週間)、期日の指定に関わります。
民法
消滅時効の期間と完成猶予・更新に関わります。
刑事訴訟法
刑事事件の控訴期間(14日)などに関わります。
弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会)
事件の処理の遅滞の禁止と、依頼者への報告に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(士業・10業務)
- 「期日・期限の管理」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち5つは、自動化の候補です
ジンベイ GenApp
台帳・申請・承認の仕組み化
- 手順2:書面の提出期限を入れる
- 手順7:期限の前に担当弁護士へ知らせる
- 手順9:期日の結果と次回期日を記録する
- 手順10:週1回、期日管理表を点検する
よくある質問
- 期間の末日が土曜日の場合は。
- 民事訴訟の期間の末日が日曜日・土曜日・国民の祝日・年末年始(12月29日〜1月3日)に当たるときは、その翌日に満了します。
- 期日管理は紙の手帳ではだめですか。
- 一人だけが持つ手帳では、不在時に他の人が確かめられません。事務所で共有するカレンダーや管理表で、通知の仕組みを使います。
- 依頼者が上訴を迷っている場合は。
- 上訴期限は延びないため、判断の期限を早めに決めて伝えます。期限までに連絡がない場合の扱いも事前に合意しておきます。