法人決算・申告の業務手順書テンプレート(士業事務所)
顧問先の決算月が終わったら、決算資料を集めて決算整理を行い、法人税・地方税・消費税の申告書を作って電子申告し、納付を案内するまでの流れです。手順書にすると、資料の回収漏れや期限の見落とし、確認の抜けを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 決算から申告までを、期限から逆算した日程と同じ確認項目で進められるようにします。
- 範囲
- 決算月の翌月の資料回収から、申告書の提出・納付の案内・控えの返却までです。
- 始まるきっかけ
- 顧問先の事業年度が終わったとき(決算月の末日)
- 頻度・量の目安
- 毎月・担当者1人あたり月2〜6件
- 使う書類・システム
- 決算資料(残高証明書、棚卸表、固定資産の明細など)、月次の会計データ、前期の申告書、申告・届出の期限管理表
担当と役割
担当者
資料の回収、決算整理、申告書の作成
税理士
税務判断、申告書の審査、書面添付
事務スタッフ
電子申告の送信、控えの整理、納付書の準備
手順(12ステップ)
1. 申告期限を確かめて日程を組む
期限管理表で、申告期限(原則、事業年度終了の日の翌日から2か月)と延長の届出の有無を確かめます。
- 確かめること
- 延長の特例を受けている法人は延長後の期限、それでも納付期限は原則どおりであることを確かめる。
- できあがるもの
- 決算日程表
2. 決算資料の提出を依頼して回収する
預金の残高証明書、棚卸表、売掛金・買掛金の明細、借入金の返済予定表、固定資産の取得・除却の資料を依頼します。
- 確かめること
- 決算資料回収チェック表で、不足をその日のうちに伝える。
- できあがるもの
- 決算資料回収チェック表
- 決算整理担当者・目安 2〜4時間
3. 決算整理仕訳を入れる
棚卸の計上、減価償却、未払・前払の計上、引当金、未払法人税等を入れます。
- 確かめること
- 棚卸表の合計と会計の棚卸資産の残高が一致している。
- できあがるもの
- 決算整理後の試算表
4. 固定資産台帳を更新する
期中の取得・除却を反映し、耐用年数と償却方法を確かめます。
- 確かめること
- 少額減価償却資産の特例などを使う場合、要件と合計額の上限を確かめる。
- できあがるもの
- 更新済みの固定資産台帳
- 消費税担当者・目安 1時間
5. 消費税の集計と税区分を確かめる
課税・非課税・不課税の区分、インボイスの経過措置の区分を確かめ、簡易課税か本則かで計算します。
- 確かめること
- 課税売上高と納税義務の判定、簡易課税・2割特例の適用の可否を確かめる。
- できあがるもの
- 消費税の計算表
6. 法人税・地方税の申告書を作る
別表、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書、地方税の申告書を作ります。
- 確かめること
- 別表の数字と決算書の数字(利益・純資産)がつながっている。
- できあがるもの
- 申告書一式の案
- 審査税理士・目安 1時間
7. 申告書を審査する
役員給与、交際費、寄附金、租税公課、繰越欠損金など、論点ごとに確かめます。
- 確かめること
- 前期と比べて大きく変わった項目の理由を確かめる。
- できあがるもの
- 審査済みの申告書
- 書面添付税理士・目安 1時間
8. 書面添付を行う場合は添付書面を作る
計算・整理・相談に応じた事項を書面にまとめます。
- 確かめること
- 顧問先との約束で書面添付を行う法人を漏れなく確かめる。
- できあがるもの
- 添付書面
- 説明担当者・目安 30〜60分
9. 顧問先に決算と納税額を説明する
決算書、納税額、納付期限、次期の予定納税・中間申告を説明し、申告の承認をもらいます。
- 確かめること
- 代表者の確認日を記録する。
- できあがるもの
- 説明記録
10. 電子申告で送信する
国税は e-Tax、地方税は eLTAX で送信し、受信通知を保存します。
- 確かめること
- 資本金1億円超の法人などは電子申告が義務。受信通知の日付が期限内か確かめる。
- できあがるもの
- 受信通知
- 納付事務スタッフ・目安 10分
11. 納付の方法と期限を案内する
納付書またはダイレクト納付の手続き、金額、期限を顧問先に伝えます。
- 確かめること
- 納付期限を過ぎると延滞税がかかることを伝える。
- できあがるもの
- 納付案内
12. 控えを返却し、業務処理簿と期限管理表を更新する
申告書の控えと受信通知を顧問先に渡し、次期の中間申告の期限を期限管理表に入れます。
- 確かめること
- 預かった原本資料の返却を受領・返却簿に記録する。
- できあがるもの
- 返却記録・更新済みの期限管理表
締めのチェックリスト
- 申告期限と納付期限を確かめた
- 決算資料をすべて回収した
- 棚卸表と会計の残高が一致している
- 固定資産台帳を更新した
- 消費税の計算方法(本則・簡易・2割特例)を確かめた
- 別表と決算書の数字がつながっている
- 税理士が論点ごとに審査した
- 代表者の確認日を記録した
- 電子申告の受信通知を期限内に受け取った
- 預かった資料を返却し、記録した
よくあるミスと防ぎ方
延長の特例と納付期限の混同
申告期限を延長していても、法人税の納付期限は原則どおりです。見込み納付を忘れると利子税がかかります。期限管理表に申告期限と納付期限を分けて入れます。
棚卸の計上漏れ
棚卸表の到着が遅れ、仮の数字で申告してしまうことがあります。回収チェック表で棚卸表を必須にします。
内訳書の記載漏れ
売掛金・借入金などの内訳書の合計が決算書と合わないことがあります。作成後に科目ごとの合計を照合します。
測っておきたい指標
- 決算月末から申告書完成までの日数
- 期限内申告率(100%が基準)
- 申告後の修正申告件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
法人税法
確定申告の期限(事業年度終了の日の翌日から2か月)と、申告期限の延長の特例に関わります。
消費税法
消費税の確定申告、簡易課税、インボイス制度の経過措置に関わります。
地方税法
法人住民税・法人事業税の申告に関わります。
税理士法
書面添付制度、税理士業務の処理簿、守秘義務に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(士業・10業務)
- 「法人決算・申告」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
12手順のうち6つは、自動化の候補です
ジンベイ GenApp
台帳・申請・承認の仕組み化
- 手順1:申告期限を確かめて日程を組む
- 手順2:決算資料の提出を依頼して回収する
- 手順12:控えを返却し、業務処理簿と期限管理表を更新する
よくある質問
- 申告期限の延長はどうすれば受けられますか。
- 定款の定めなどで決算日から2か月以内に株主総会が開かれない常況にある場合、届出をして延長の特例を受けられます。消費税も法人税の延長を受けていれば届出で1か月延長できます。
- 電子申告が義務の法人は。
- 事業年度開始時に資本金が1億円を超える法人などは、法人税・消費税・地方税の申告を電子で行う必要があります。
- 書面添付をするとどうなりますか。
- 税務署が調査の前に、税理士に意見を聴く機会が設けられます。添付書面には、計算・整理した事項や相談に応じた事項を具体的に書きます。