労働保険の年度更新・算定基礎届の業務手順書テンプレート(士業事務所)
毎年6月から7月にかけて、顧問先の賃金データを集め、労働保険の年度更新と社会保険の算定基礎届を出す流れです。手順書にすると、7月10日の期限切れや、賃金の集計漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 年に1度の集中業務を、顧問先ごとに同じ日程と確認項目で進められるようにします。
- 範囲
- 5月の資料依頼から、7月10日までの届出と、労働保険料の納付の案内までです。
- 始まるきっかけ
- 毎年5月中旬(申告書が届く前の準備)
- 頻度・量の目安
- 年1回・顧問先1件あたり従業員5〜300名
- 使う書類・システム
- 賃金台帳(前年4月〜当年3月、当年4〜6月)、労働保険の申告書(労働局から届く)、算定基礎届の対象者一覧、前年度の申告書の控え
担当と役割
担当者
資料の回収、保険料と報酬月額の計算
事務スタッフ
電子申請の送信、控えの整理
社会保険労務士
対象者の判定、計算結果の確認
手順(11ステップ)
1. 顧問先に賃金台帳の提出を依頼する
年度更新用に前年4月〜当年3月、算定基礎届用に当年4〜6月の賃金台帳を依頼します。
- 確かめること
- 役員・パート・日雇いなどを含め、全員分の台帳をもらう。
- できあがるもの
- 提出依頼の記録
2. 労働保険の対象賃金を集計する
労災保険と雇用保険で対象者が違うため、それぞれの賃金総額を集計します。
- 確かめること
- 役員報酬は労災・雇用保険の対象外(兼務役員の労働者部分を除く)。
- できあがるもの
- 賃金集計表
- 集計担当者・目安 20分
3. 雇用保険の対象外の人を確かめる
週20時間未満の人、適用除外の人を一覧にします。
- 確かめること
- 前年度に加入要件を満たすようになった人を見落としていない。
- できあがるもの
- 対象者の一覧
4. 確定保険料と概算保険料を計算する
前年度の確定保険料と、当年度の概算保険料を、当年度の保険料率で計算します。
- 確かめること
- 業種ごとの労災保険率と、当年度の雇用保険料率を確かめる。
- できあがるもの
- 保険料の計算表
- 計算担当者・目安 5分
5. 一般拠出金を計算する
労災保険の対象賃金に一般拠出金の率を掛けます。
- 確かめること
- 前年度の確定賃金で計算する。
- できあがるもの
- 一般拠出金の計算
- 算定担当者・目安 20分
6. 算定基礎届の対象者を確かめる
7月1日時点の被保険者が対象です。6月1日以降に資格を取った人や、7〜9月に随時改定・月額変更の予定がある人は除きます。
- 確かめること
- 除いた人と理由を一覧に書く。
- できあがるもの
- 算定対象者の一覧
7. 4〜6月の報酬から報酬月額を出す
支払基礎日数が17日以上(短時間労働者は11日以上など)の月の報酬を平均します。
- 確かめること
- 通勤手当・残業代を含め、賞与は含めない。遡って昇給した差額があれば修正平均を検討する。
- できあがるもの
- 報酬月額の計算表
- 確認社会保険労務士・目安 30分
8. 計算結果を確かめる
前年より保険料が大きく増減した顧問先、報酬月額が2等級以上変わった人を確かめます。
- 確かめること
- 年間平均での算定(保険者算定)に当たるケースがないか確かめる。
- できあがるもの
- 確認済みの計算
- 説明担当者・目安 15分
9. 顧問先に保険料と分割納付を説明する
概算保険料の額、延納(3回分割)の可否、納付期限を説明します。
- 確かめること
- 延納の要件(概算保険料が40万円以上など)を確かめる。
- できあがるもの
- 説明記録
10. 年度更新と算定基礎届を電子申請する
期間は6月1日〜7月10日。電子申請で送信し、到達番号を記録します。
- 確かめること
- 期限の7月10日を土日祝で確かめ、余裕をもって7月5日までに送る運用にする。
- できあがるもの
- 到達番号の記録
11. 決定通知書を顧問先に送り、台帳を更新する
算定基礎届の決定通知書を送り、9月分の保険料から反映されることを伝えます。
- 確かめること
- 給与計算の担当者に、反映する月を伝える。
- できあがるもの
- 送付記録
締めのチェックリスト
- 全従業員分の賃金台帳を受け取った
- 労災・雇用保険の対象賃金を分けて集計した
- 役員報酬を除いた
- 当年度の保険料率を使った
- 一般拠出金を計算した
- 算定基礎届の対象者から除く人を確かめた
- 支払基礎日数17日以上の月で平均した
- 延納の可否と期限を説明した
- 7月10日までに提出した
- 9月分から反映されることを給与担当に伝えた
よくあるミスと防ぎ方
前年度の保険料率で計算する
雇用保険料率は年度ごとに変わることがあります。毎年、厚生労働省の発表で当年度の料率を確かめます。
算定の対象から除く人を入れる
6月1日以降の入社者や、7〜9月に月額変更届を出す人は算定基礎届の対象外です。対象者一覧で除外の理由を書きます。
期限の直前に資料がそろわない
賃金台帳の回収が遅れると7月10日に間に合いません。5月中に依頼し、6月中旬に回収状況を確かめます。
測っておきたい指標
- 年度更新・算定基礎届の期限内提出率
- 賃金台帳の回収完了日
- 提出後の訂正件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
年度更新(確定保険料・概算保険料の申告と納付)、延納、一般拠出金の申告に関わります。
健康保険法・厚生年金保険法
算定基礎届(定時決定)、支払基礎日数、随時改定に関わります。
社会保険労務士法
申告書の作成と提出代行・事務代理に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(士業・10業務)
- 「労働保険の年度更新・算定基礎届」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち6つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順2:労働保険の対象賃金を集計する
- 手順4:確定保険料と概算保険料を計算する
- 手順7:4〜6月の報酬から報酬月額を出す
- 手順10:年度更新と算定基礎届を電子申請する
よくある質問
- 年度更新の期間はいつですか。
- 毎年6月1日から7月10日までです。この期間に前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付します。
- 算定基礎届の対象から外れる人は。
- 6月1日以降に資格を取得した人、7月から9月に随時改定(月額変更届)が行われる人などです。
- 労働保険料は分割で払えますか。
- 概算保険料が40万円以上(労災保険か雇用保険のどちらかのみの場合は20万円以上)などの要件を満たせば、3回に分けて納付できます。