運賃請求の業務手順書テンプレート(物流業)
運賃請求は、締め日までの運行実績から、荷主ごとに運賃・附帯作業料・待機料・高速道路料金などを計算して請求書を作り、入金まで確かめる業務です。手順書にしておくと、附帯作業や待機の請求漏れ、運行実績の計上漏れ、インボイスの記載の不備を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 運んだ分と行った作業を漏れなく、取り決めどおりの料金で請求し、期日どおりに入金を受けます。
- 範囲
- 締め日の運行実績の確定から、運賃の計算・請求書の作成と送付・入金の確認まで。
- 始まるきっかけ
- 荷主ごとの締め日(月末・20日など)が来たとき。
- 頻度・量の目安
- 月1回(締め日ごと)。荷主は数社〜数百社
- 使う書類・システム
- 運行実績(配車表・運転日報)、荷主別の運賃表・附帯作業料・待機料の取り決め、高速道路の利用明細、運送引受書(運送契約の書面)、請求書の様式(インボイスの記載事項つき)
担当と役割
請求担当(営業所事務・経理)
運行実績の締め、運賃の計算、請求書の作成と送付
配車担当
運行実績・待機時間・附帯作業の記録の確認
営業担当
荷主との料金の取り決め、請求の問い合わせ対応
経理
入金の確認と未入金の督促
手順(13ステップ)
1. 締め日までの運行実績を集める
配車表と運転日報から、荷主別の運行を一覧にします。
- 確かめること
- 運転日報が全てそろっているか
- できあがるもの
- 荷主別の運行一覧
- 確認配車担当・目安 30分
2. 運行の取消・追加・変更を反映する
当日の追加便・取消・車種の変更を運行一覧に反映します。
- 確かめること
- 取消料の対象になる直前の取消がないか
- できあがるもの
- 確定した運行一覧
3. 運賃表で運賃を計算する
距離制・時間制・個建てなど、荷主との取り決めの方法で計算します。
- 確かめること
- 運賃表の改定日以降の運行に新しい運賃を使ったか
- できあがるもの
- 運賃の計算
- 附帯請求担当・目安 30分
4. 附帯作業料を加える
積み込み・荷下ろし・棚入れ・ラベル貼りなど、書面で取り決めた附帯作業の料金を加えます。
- 確かめること
- 運転日報に記録された作業が全て請求されているか
- できあがるもの
- 附帯作業料
- 待機請求担当・目安 30分
5. 待機料を加える
運転日報の荷待ち時間から、取り決めた時間を超えた分の待機料を計算します。
- 確かめること
- 荷待ち時間の記録と請求が一致するか
- できあがるもの
- 待機料
6. 高速道路料金・燃料サーチャージを加える
高速道路の利用明細と、燃料価格に応じたサーチャージを、取り決めどおりに加えます。
- 確かめること
- 荷主負担と取り決めた高速代だけを請求しているか
- できあがるもの
- 実費の計算
7. 請求書を作成する
運行ごとの明細と合計、消費税を出します。
- 確かめること
- 明細の合計と請求額が一致するか
- できあがるもの
- 請求書(案)
- インボイス請求担当・目安 5分
8. インボイスの記載事項を確かめる
登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとの合計額と消費税額・宛名を確かめます。
- 確かめること
- 登録番号が記載されているか
- できあがるもの
- 記載事項の確認
- 承認営業担当・目安 30分
9. 前月と大きく違う請求を確かめる
運行の増減・料金の改定で大きく変わった荷主の請求を確かめます。
- 確かめること
- 増減の理由が説明できるか
- できあがるもの
- 確認印
10. 請求書を送る
荷主の指定の方法(郵送・メール・荷主のシステム)で送ります。
- 確かめること
- 送付期限に間に合ったか
- できあがるもの
- 送付記録
11. 入金予定日に入金を確かめる
入金額と請求額を照らし合わせ、差額があれば理由を確かめます。
- 確かめること
- 振込手数料や一方的な差し引きがないか
- できあがるもの
- 入金の確認
- 督促営業担当・目安 15分
12. 未入金の荷主に連絡する
期日の翌営業日に電話で確かめ、支払予定を記録します。
- 確かめること
- 取適法の対象取引で支払期日を過ぎていないか
- できあがるもの
- 督促の記録
- 見直し営業担当・目安 1時間
13. 附帯作業・待機の実績をもとに料金を見直す
荷主別に、料金をもらっていない作業や長い待機を集計し、料金の改定を相談します。
- 確かめること
- 標準的な運賃を参考に原価を回収できているか
- できあがるもの
- 料金見直しの資料
締めのチェックリスト
- 運転日報が全てそろっている
- 取消・追加の運行を反映した
- 運賃の改定日を確かめた
- 記録された附帯作業を全て請求した
- 待機料を荷待ちの記録どおりに計算した
- 高速代は荷主負担の分だけ請求した
- 明細の合計と請求額が一致する
- 登録番号と税率ごとの消費税額がある
- 送付期限に間に合った
- 入金の差額と未入金を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
附帯作業の請求が漏れる
運転日報に書かれていても請求の段階で拾われないことがあります。日報に附帯作業の欄を設け、請求の計算で必ず集計します。
待機料を請求しない
取り決めがないと請求できません。運送の書面に待機料を入れ、荷待ちの記録を残します。
運転日報の回収が遅れる
締めに間に合わず翌月の請求に回ります。日報の提出期限を決め、締めの前日に未提出を確かめます。
測っておきたい指標
- 請求の締めから送付までの日数
- 附帯作業料・待機料の請求率
- 未入金の件数と金額
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
インボイス制度
運賃の請求書に適格請求書の記載事項(登録番号など)を記載し、控えを7年間保存します。
取適法(中小受託取引適正化法)
発荷主から運送を受託する取引(特定運送委託)や、元請の運送会社から受託する取引が対象になる場合、委託する側には受領(運送の完了)から60日以内の支払が求められます。
貨物自動車運送事業法
運送契約の締結時の書面交付(2025年4月から)で、運賃・附帯業務の料金などを書面に記載します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(物流・運輸・12業務)
- 「運賃請求」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち6つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順3:運賃表で運賃を計算する
- 手順6:高速道路料金・燃料サーチャージを加える
- 手順7:請求書を作成する
- 手順10:請求書を送る
- 手順11:入金予定日に入金を確かめる
よくある質問
- 待機料はどのように計算しますか。
- 荷主と取り決めた時間(例: 30分)を超えた荷待ち時間について、時間あたりの料金を掛けます。国が示す標準的な運賃の考え方を参考に、書面で取り決めます。
- 運転日報からの集計を楽にできますか。
- 手書きの運転日報は ジンベイ GenOCR で読み取り、運行・待機・附帯作業をデータにできます。請求書の作成と送付は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 荷主が振込手数料を差し引いてきます。
- 取適法の対象取引であれば、振込手数料を受託側に負担させることは原則として認められていません。取引の区分を確かめ、荷主に相談します。