傭車(協力会社への委託)の業務手順書テンプレート(物流業)
傭車は、自社の車両やドライバーで足りない運送を、協力会社に委託する業務です。手順書にしておくと、口頭の依頼による運賃の行き違い、実運送体制管理簿の記録漏れ、取適法で禁止される支払の遅れや買いたたきを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 協力会社に、書面で条件を示して委託し、管理簿と支払を法令どおりに処理します。
- 範囲
- 協力会社の選定から、依頼・書面の交付・管理簿の記録・運行の確認・支払まで。
- 始まるきっかけ
- 配車計画で自社の車両が足りないとき、自社で対応できない車種・地域の運送を引き受けたとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。1日数件〜数十件
- 使う書類・システム
- 協力会社の一覧(許可番号・保険・車種・運賃)、傭車の依頼書(運送の内容・運賃を記載)、実運送体制管理簿、荷主からの運送引受書、協力会社の請求書
担当と役割
配車担当
協力会社への依頼、運行の確認
運行管理者
協力会社の安全面の確認
経理
協力会社への支払
営業所長
新しい協力会社の承認、運賃の決定
手順(13ステップ)
- 選定営業所長・目安 1日
1. 新しい協力会社を確かめて登録する
一般貨物自動車運送事業の許可、貨物保険・自動車保険の加入、Gマーク(安全性優良事業所)の有無、事故の履歴を確かめます。
- 確かめること
- 許可番号を確かめたか
- できあがるもの
- 協力会社の登録
- 選定配車担当・目安 10分
2. 依頼する協力会社を選ぶ
車種・地域・空き状況・運賃で選びます。
- 確かめること
- 荷主が再委託を認めているか、再委託の段数に制限がないか
- できあがるもの
- 依頼先の決定
- 運賃配車担当・目安 10分
3. 運賃を決める
協力会社の運賃表と、荷主から受け取る運賃を比べて決めます。
- 確かめること
- 協力会社の原価を下回る運賃を一方的に決めていないか
- できあがるもの
- 運賃の合意
4. 依頼書を書面で送る
集荷先・届け先・日時・荷物・附帯作業・運賃・待機料・支払期日を書きます。
- 確かめること
- 運送の内容と運賃、附帯業務の料金が書かれているか
- できあがるもの
- 傭車の依頼書
5. 実運送体制管理簿に記録する
荷主から元請として引き受けた運送のうち対象の貨物について、実際に運ぶ会社の名称、貨物の内容と区間、請負の階層を記録します。
- 確かめること
- 協力会社がさらに再委託していないか確かめたか
- できあがるもの
- 管理簿の記録
- 連絡配車担当・目安 5分
6. 協力会社のドライバーに注意事項を伝える
届け先の入構方法・荷下ろしの注意・荷主の決まりを伝えます。
- 確かめること
- 荷主のルール(服装・入構手続き)を伝えたか
- できあがるもの
- 注意事項の連絡
- 確認配車担当・目安 5分
7. 集荷と到着の連絡を受ける
集荷完了・到着・荷下ろし完了の連絡を受け、時刻を記録します。
- 確かめること
- 荷待ちの時間を記録したか
- できあがるもの
- 運行の記録
- トラブル配車担当・目安 随時
8. 遅延・事故・破損に対応する
協力会社から連絡を受け、荷主に知らせ、代わりの手配を検討します。
- 確かめること
- 事故の場合、協力会社の保険の手続きを確かめたか
- できあがるもの
- トラブルの記録
- 完了配車担当・目安 3分
9. 運送の完了を確かめ、受領日を記録する
届け先の受領の記録を確かめ、運送の完了日を記録します。
- 確かめること
- 完了日を支払期日の起点として記録したか
- できあがるもの
- 完了の記録
10. 協力会社の請求書を確かめる
依頼書の運賃・附帯作業料・待機料と照らし合わせ、登録番号を確かめます。
- 確かめること
- 依頼書にない差し引きをしていないか
- できあがるもの
- 請求の確認
- 支払経理・目安 10分
11. 支払期日までに支払う
取適法の対象取引は、運送の完了から60日以内に、手形を使わず振込で支払います。振込手数料は自社で負担します。
- 確かめること
- 支払期日を過ぎていないか
- できあがるもの
- 支払の記録
- 保存配車担当・目安 5分
12. 管理簿と依頼書を保存する
実運送体制管理簿は運送の完了から1年間、取適法の取引記録は2年間保存します。
- 確かめること
- 保存期間と場所が決まっているか
- できあがるもの
- 保存の記録
- 評価営業所長・目安 1時間
13. 半年ごとに協力会社を評価する
事故・遅延・破損の件数、対応の早さを評価し、依頼の配分を見直します。
- 確かめること
- 安全面の問題がある会社への依頼を止めたか
- できあがるもの
- 協力会社の評価
締めのチェックリスト
- 協力会社の許可と保険を確かめた
- 荷主が再委託を認めている
- 運賃を一方的に決めていない
- 依頼書に運送の内容・運賃・附帯業務の料金がある
- 実運送体制管理簿に記録した
- 荷主のルールを協力会社に伝えた
- 荷待ちの時間を記録した
- 運送の完了日を記録した
- 完了から60日以内に支払った
- 管理簿を1年間、取引記録を2年間保存している
よくあるミスと防ぎ方
電話だけで依頼する
運賃や附帯作業の行き違いが起き、書面交付の義務にも反します。急ぎでも依頼書を送ります。
再委託の階層を把握しない
協力会社がさらに別の会社に運ばせていることがあります。管理簿に請負の階層を記録するため、依頼時に実際に運ぶ会社を確かめます。
請求書の受け取りを待って支払を遅らせる
取適法では運送の完了から60日以内が期限です。完了日を記録し、期日を管理します。
測っておきたい指標
- 傭車の比率
- 協力会社の事故・遅延の件数
- 支払期日の超過件数
- 管理簿の記録漏れ件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
貨物自動車運送事業法
2025年4月から、運送契約の書面交付と、元請事業者による実運送体制管理簿の作成(1年間保存)が義務づけられています。下請の運送会社にも再委託の段数を減らす努力が求められます。
取適法(中小受託取引適正化法)
運送会社が引き受けた運送を他の運送会社に委託する取引は対象になりえます。発注内容の明示、取引記録の2年保存、60日以内の支払、手形払いの禁止、買いたたきの禁止などが関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(物流・運輸・12業務)
- 「傭車(協力会社への委託)」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- 実運送体制管理簿はどの運送で必要ですか。
- 荷主から元請として引き受けた運送のうち、一定の重さ以上の貨物を他の運送会社に委託する場合が対象です。対象の範囲と記載事項は国土交通省の資料で確かめてください。
- 協力会社への依頼書の作成を楽にできますか。
- 配車表から依頼書を作って送る作業は ジンベイ GenRPA で自動化できます。管理簿を配車の記録とつなげる仕組みは ジンベイ GenApp で作れます。
- 協力会社から運賃の値上げを求められました。
- 取適法の対象取引では、協議を求められたのに応じず一方的に運賃を決めることは禁止されています。原価の資料を見せてもらい、協議の結果を記録します。