庫内棚卸の業務手順書テンプレート(物流業)
倉庫の棚卸は、荷主から預かっている在庫を棚ごとに数え、WMSの在庫と荷主の帳簿の在庫に合わせる業務です。手順書にしておくと、荷主との在庫の食い違い、数え漏れや二重カウント、原因の分からない差異の放置を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 預かり在庫の数を、ロケーション・ロットの単位まで正確に荷主と合わせます。
- 範囲
- 棚卸の計画から、カウント・差異の調査・在庫の訂正・荷主への報告まで。循環棚卸も含みます。
- 始まるきっかけ
- 荷主の決算・月末の一斉棚卸、または循環棚卸の予定日。
- 頻度・量の目安
- 一斉棚卸は年1〜2回(荷主ごと)、循環棚卸は毎日〜毎週
- 使う書類・システム
- WMS・ハンディ端末、棚卸リスト(ロケーション順・帳簿数は表示しない)、荷主の帳簿の在庫一覧、入出庫の記録、棚卸表
担当と役割
センター長
棚卸計画、荷主との調整、結果の報告
棚卸リーダー
エリアの割り振り、差異の調査
カウント担当
棚ごとのカウントとハンディでの登録
WMS担当
棚卸データの作成、在庫の訂正
手順(13ステップ)
- 計画センター長・目安 1時間
1. 荷主と棚卸の日時と範囲を決める
棚卸の日時、入出庫を止める時間、荷主の立ち会いの有無、報告の期限を決めます。
- 確かめること
- 荷主の出荷を止める時間について合意したか
- できあがるもの
- 棚卸計画
- 準備棚卸リーダー・目安 30分
2. エリアと担当を割り振る
ロケーションの範囲ごとに、カウント担当と再カウント担当を決めます。
- 確かめること
- 全てのロケーション(保留エリア・返品エリア・仮置き場を含む)に担当がいるか
- できあがるもの
- 割り振り表
- 準備カウント担当・目安 1〜2時間
3. 前日までに仮置きの商品を格納する
通路や出荷場の仮置きを片付け、格納の登録を済ませます。
- 確かめること
- 格納待ちの商品が残っていないか
- できあがるもの
- 整理の完了
4. 入出庫を止め、棚卸データを作る
止める時刻の在庫を固定し、ロケーション順の棚卸リストを作ります。
- 確かめること
- 止める時刻以降の入出庫が登録されていないか
- できあがるもの
- 棚卸データ
- カウントカウント担当・目安 エリアにより
5. ロケーションごとに商品とロットを数える
棚番をスキャンし、商品・ロット・数量をハンディで登録します。帳簿の数は見ません。
- 確かめること
- 空の棚も「0」として登録したか
- できあがるもの
- カウント結果
- 再カウント棚卸リーダー・目安 エリアにより
6. 差異のあるロケーションを別の人が数え直す
WMSが帳簿と違う棚を出し、別の担当者が数え直します。
- 確かめること
- 再カウントの結果が1回目と同じか
- できあがるもの
- 再カウント結果
- 調査棚卸リーダー・目安 1〜3時間
7. 残った差異の原因を調べる
入出庫の記録、格納・補充の登録漏れ、隣の棚への入れ間違い、ロットの登録誤りを確かめます。
- 確かめること
- 同じ品目の差異が別の棚で相殺されていないか
- できあがるもの
- 差異の原因一覧
- 保留品棚卸リーダー・目安 30分
8. 保留品・破損品の数を荷主と確かめる
保留エリアの商品の状態と数を一覧にします。
- 確かめること
- 保留品を良品の在庫に数えていないか
- できあがるもの
- 保留品の一覧
- 報告センター長・目安 1時間
9. 荷主に棚卸の結果と差異を報告する
品目別の帳簿数・実数・差異・原因を報告し、在庫の訂正の承認をもらいます。
- 確かめること
- 原因の分からない差異も隠さず報告したか
- できあがるもの
- 棚卸結果の報告
- 訂正WMS担当・目安 30分
10. 承認を受けて在庫を訂正する
荷主の承認を受けた差異を訂正し、理由を記録します。
- 確かめること
- 訂正の承認の記録があるか
- できあがるもの
- 在庫の訂正
- 再開WMS担当・目安 10分
11. 入出庫を再開する
在庫の訂正を終えてから入出庫を再開します。
- 確かめること
- 止めていた間の出荷指示の処理を確かめたか
- できあがるもの
- 再開
- 循環棚卸棚卸リーダー・目安 毎日30分
12. 日々の循環棚卸の対象を決めて数える
出荷の多い品目は月1回、少ない品目は四半期に1回など、品目ごとの頻度で数えます。
- 確かめること
- 差異の多い品目の頻度を上げたか
- できあがるもの
- 循環棚卸の記録
- 振り返りセンター長・目安 30分
13. 差異の原因の再発防止策を決める
格納の登録漏れ・ピッキングの誤りなど、原因ごとの対策を決めます。
- 確かめること
- 対策の担当と期限が決まっているか
- できあがるもの
- 再発防止の記録
締めのチェックリスト
- 荷主と日時・範囲・報告期限を合意した
- 保留・返品・仮置きのエリアも範囲に入れた
- 仮置きを片付け格納の登録を済ませた
- 入出庫を止める時刻を守った
- 帳簿の数を見ずに数えた
- 空の棚を0として登録した
- 差異のある棚を別の人が数え直した
- 差異の原因を調べた
- 荷主の承認を受けて在庫を訂正した
- 再発防止策を決めた
よくあるミスと防ぎ方
帳簿の数を見ながら数える
帳簿に合わせた数字を書いてしまいます。リストに帳簿数を出さないようにします。
仮置きの商品を数え漏らす
通路や出荷場に置かれた商品が漏れます。前日までに格納し、仮置き場もエリアに入れます。
差異を相殺して報告する
棚ごとの差異が品目の合計で消えると、ロケーションのずれが残ります。棚の単位で直します。
測っておきたい指標
- 棚卸差異の件数と金額
- 再カウントの件数
- 棚卸にかかった時間
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
倉庫業法
営業倉庫では、受寄物の在庫を正確に管理することが求められます。棚卸の結果は荷主との契約(寄託約款)に沿って報告します。
法人税法(棚卸資産)
預かり在庫の所有者は荷主で、荷主の決算の棚卸の基礎になります。荷主の求めに応じて在庫証明を出します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(物流・運輸・12業務)
- 「庫内棚卸」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 循環棚卸だけで一斉棚卸をやめられますか。
- 全ての品目を決まった頻度で数え、差異が小さいことを示せれば、荷主や監査人と相談して一斉棚卸を減らせる場合があります。
- 荷主への在庫報告の作成が大変です。
- WMSのデータから荷主の様式で在庫報告を作る作業は ジンベイ GenRPA で自動化できます。
- 差異の原因が分からない場合はどうしますか。
- 入出庫の記録と防犯カメラなどで追える範囲を調べ、分からない差異として荷主に報告します。原因不明の差異が多い品目は循環棚卸の頻度を上げます。