修繕依頼の受付と手配の業務手順書テンプレート(不動産・賃貸管理)
入居者から設備の故障や不具合の連絡を受け、緊急度と負担区分を判断して業者を手配し、オーナーの承認・工事・完了確認を経て修繕履歴に残すまでの流れです。手順書にしておくと、漏水などの緊急対応の遅れや、費用負担のもめごとを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 入居者の生活への影響を小さくし、費用負担を正しく決めて修繕するための手順です。
- 範囲
- 修繕依頼の受付から、一次対応、業者手配、費用承認、完了確認、請求、記録まで。
- 始まるきっかけ
- 入居者から電話・メール・アプリで「水が漏れている」「エアコンが動かない」などの連絡が来たとき
- 頻度・量の目安
- 毎日・管理戸数1,000戸あたり月30〜80件
- 使う書類・システム
- 修繕受付票、賃貸借契約書(設備・特約)、物件台帳(設備の型番・設置年)、管理受託契約書(オーナー承認不要の金額)、修繕履歴の管理表
担当と役割
受付担当
連絡の受付、状況の聞き取り、緊急度の判断
管理担当
負担区分の判断、業者手配、オーナーへの報告
協力業者
現地確認、見積、修繕工事
オーナー(貸主)
修繕費用の承認
手順(11ステップ)
1. 連絡を受け、修繕受付票に記録する
物件・号室・氏名・連絡先・症状・発生日時・在宅可能な日時を聞きます。
- 確かめること
- 写真を送ってもらえるか聞いたか
- できあがるもの
- 修繕受付票
- 判断受付担当・目安 2分
2. 緊急度を判断する
漏水・ガス臭・停電・鍵の故障・給湯の停止は緊急、その他は通常として扱います。
- 確かめること
- 二次被害(階下への漏水など)のおそれがあるか
- できあがるもの
- 緊急度の記入
- 一次対応受付担当・目安 5分
3. 緊急時は応急処置を案内する
止水栓を閉める、ブレーカーを確認する、ガス会社に連絡するなどを伝えます。
- 確かめること
- 安全に関わる場合は先に専門機関(ガス会社・消防)への連絡を案内したか
- できあがるもの
- 一次対応の記録
- 負担区分管理担当・目安 5分
4. 貸主負担か借主負担かを判断する
設備の経年劣化や自然故障は貸主負担、借主の故意・過失による破損は借主負担とします。契約書で設備として扱っていない残置物は対象外です。
- 確かめること
- 契約書の設備一覧・特約を確認したか
- できあがるもの
- 負担区分の判断
- 手配管理担当・目安 10分
5. 協力業者に現地確認を依頼する
受付票と写真を送り、訪問日時を入居者と調整します。
- 確かめること
- 入居者の不在時に入室する場合、書面で同意を得たか
- できあがるもの
- 業者への依頼
6. 現地確認をして見積と写真を送る
原因、修繕方法、部品の有無、費用を報告します。
- 確かめること
- 交換か修理か、部品の供給状況を書いたか
- できあがるもの
- 見積書・現地写真
7. 承認が必要な金額はオーナーの承認を取る
管理受託契約で定めた金額を超える場合に承認を得ます。設備の交換は型番の選択肢も示します。
- 確かめること
- 承認の日時と方法を記録したか
- できあがるもの
- オーナー承認
- 工事協力業者・目安 作業日
8. 修繕を行い、完了写真を送る
入居者の立会いのもとで作業し、動作確認をします。
- 確かめること
- 作業後に動作を入居者と確認したか
- できあがるもの
- 完了報告・写真
- 確認管理担当・目安 5分
9. 入居者に完了を確認し、受付票を閉じる
不具合が直ったか、作業の対応に問題がなかったかを聞きます。
- 確かめること
- 再発の連絡先を伝えたか
- できあがるもの
- 完了の記録
10. 業者の請求を確認し、オーナーまたは借主に請求する
オーナー負担分は送金時に差し引き、借主負担分は借主に請求します。
- 確かめること
- 見積と請求の金額が一致するか
- できあがるもの
- 請求・精算の記録
11. 修繕履歴に記録する
部位・内容・費用・業者・次回の交換目安を記録します。
- 確かめること
- 同じ部位の修繕が繰り返されていないか
- できあがるもの
- 修繕履歴の1行
締めのチェックリスト
- 受付票に症状と連絡先を書いたか
- 緊急度を判断したか
- 安全に関わる一次対応を案内したか
- 契約書の設備一覧を確認したか
- 入室の同意を得たか
- 承認が必要な金額でオーナー承認を取ったか
- 完了時に動作を確認したか
- 入居者に完了を確認したか
- 請求先が正しいか
- 修繕履歴に記録したか
よくあるミスと防ぎ方
緊急案件の後回し
漏水を通常案件として扱うと階下に被害が広がります。緊急の基準を決め、受付時に判断します。
費用負担の判断をあいまいにする
借主の過失かどうかを確かめずに貸主負担にすると、オーナーとの信頼を損ねます。原因を業者の報告で確認します。
修繕履歴を残さない
同じ設備の故障が繰り返されても気づけません。履歴に部位と次回の目安を残します。
測っておきたい指標
- 受付から業者訪問までの日数
- 緊急案件の初動時間
- 同一設備の再修繕率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
民法606条(賃貸人の修繕義務)
貸主は使用・収益に必要な修繕をする義務を負います。借主の責めに帰すべき事由による場合は除かれます。
民法607条の2(賃借人による修繕)
借主が修繕が必要と通知したのに貸主が相当期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときは、借主が自ら修繕できます。
民法611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額)
借主の責任でなく部屋の一部が使えなくなったときは、使えない割合に応じて賃料が減額されます。
賃貸住宅管理業法
管理業者は、管理受託契約に基づく維持保全の実施状況をオーナーに定期報告します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(不動産・12業務)
- 「修繕依頼の受付と手配」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- エアコンの故障は誰が負担しますか
- 契約書でエアコンが設備とされていれば、自然故障は貸主負担です。前の入居者の残置物として扱っている場合は、契約書の定めに従います。
- 借主が勝手に修理した費用は払う必要がありますか
- 貸主に通知したのに相当期間内に修繕しない場合や急迫の事情がある場合は、借主が修繕でき、必要費として貸主に請求できます。
- 修繕受付の管理を楽にするには
- 受付から完了までをジンベイ GenAppの台帳で管理し、業者やオーナーへの連絡を自動化すると、対応漏れを防げます。