重要事項説明(賃貸)の業務手順書テンプレート(不動産・賃貸管理)
賃貸借契約の前に、物件の調査を行って重要事項説明書を作り、宅地建物取引士が借主に書面を交付して説明し、記録を残すまでの流れです。手順書にしておくと、ハザードマップや石綿調査など説明事項の漏れ、宅建士証の提示忘れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 宅建業法35条の説明事項を漏れなく調べ、契約前に正しく説明するための手順です。
- 範囲
- 物件調査から、重要事項説明書の作成・確認、説明の実施、記録の保管まで。
- 始まるきっかけ
- 入居審査が通り、契約日が決まったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・繁忙期は1日5〜15件
- 使う書類・システム
- 登記事項証明書、物件台帳・設備表、ハザードマップ(水害)、石綿使用調査・耐震診断の記録の有無、賃貸借契約書案・管理規約(区分所有の場合)
担当と役割
契約担当
物件調査、重要事項説明書の作成
宅地建物取引士
内容の確認、書面への記名、説明
管理担当
設備・管理委託先・修繕の情報提供
借主
説明を受け、書面を受け取る
手順(11ステップ)
1. 登記事項証明書を取り、所有者と権利関係を確かめる
所有者が貸主と一致するか、抵当権・差押えなどの登記を確認します。
- 確かめること
- 貸主と所有者が違う場合、転貸・管理の権限を書類で確かめたか
- できあがるもの
- 登記の調査メモ
- 調査契約担当・目安 15分
2. ハザードマップで所在地を確認する
市町村の水害ハザードマップ(洪水・内水・高潮)に物件の位置を示します。
- 確かめること
- 3種類のマップを確認し、マップがない場合もその旨を書いたか
- できあがるもの
- ハザードマップの写し
- 調査契約担当・目安 10分
3. 土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域・造成宅地防災区域の内外を確認する
自治体の公表図で区域を確かめます。
- 確かめること
- 区域内の場合、区域名を正しく書いたか
- できあがるもの
- 区域の調査メモ
- 調査管理担当・目安 10分
4. 石綿使用調査と耐震診断の記録の有無を確かめる
記録があれば内容を、なければ「記録なし」を書きます。耐震診断は1981年5月31日以前に新築工事に着手した建物が対象です。
- 確かめること
- 記録の有無を貸主・管理会社に確認したか
- できあがるもの
- 建物調査メモ
- 調査管理担当・目安 10分
5. 設備(飲用水・電気・ガス・排水)と管理委託先を確かめる
設備表と照合し、管理会社の名称・所在地を書きます。
- 確かめること
- ガスの種類(都市ガス・プロパン)を確認したか
- できあがるもの
- 設備の調査メモ
- 作成契約担当・目安 30分
6. 重要事項説明書を作る
契約期間と更新、定期借家か否か、賃料以外の金銭(敷金・礼金・更新料)とその精算方法、用途・利用の制限、損害賠償額の予定・違約金を書きます。
- 確かめること
- 契約書案と金額・期間が一致しているか
- できあがるもの
- 重要事項説明書案
- 確認宅地建物取引士・目安 15分
7. 調査資料と照合し、記名する
説明事項ごとに根拠資料を確認してから記名します。
- 確かめること
- 空欄・該当なしの書き方が正しいか
- できあがるもの
- 記名済み重要事項説明書
- 事前送付契約担当・目安 10分
8. IT重説や電子交付の場合は、借主の承諾を得て事前に送る
電子交付は借主の承諾(書面または電磁的方法)を取り、説明の前に書面を届けます。
- 確かめること
- 承諾の記録があるか、借主の通信環境を確認したか
- できあがるもの
- 承諾書・送付記録
- 説明宅地建物取引士・目安 30〜60分
9. 宅建士証を提示し、契約前に説明する
対面またはIT重説で、書面を読み合わせ、借主の質問に答えます。
- 確かめること
- 宅建士証を提示したか、契約締結より前か
- できあがるもの
- 説明の実施
- 説明宅地建物取引士・目安 5分
10. 借主から受領の署名(または電子の受領記録)をもらう
説明を受け書面を受け取った旨を記録します。
- 確かめること
- 受領日時が記録されているか
- できあがるもの
- 受領記録
11. 重要事項説明書の控えと調査資料を保管する
物件・契約ごとに保管し、契約台帳に説明日と説明者を記録します。
- 確かめること
- 説明者の宅建士番号を記録したか
- できあがるもの
- 保管記録
締めのチェックリスト
- 所有者と貸主の関係を確認したか
- 抵当権などの登記を確認したか
- 水害ハザードマップ3種を確認したか
- 土砂災害・津波の区域を確認したか
- 石綿調査・耐震診断の記録の有無を書いたか
- 設備と管理委託先を書いたか
- 金銭とその精算方法を書いたか
- 定期借家かどうかを書いたか
- 宅建士証を提示したか
- 契約前に説明したか
よくあるミスと防ぎ方
ハザードマップの説明漏れ
2020年8月から、水害ハザードマップでの所在地の説明が必要です。洪水・内水・高潮のマップをそれぞれ確認します。
契約当日に重説と契約を同時に済ませる
重説は契約前に行い、借主が内容を考える時間をとるのが望ましいです。電子交付なら事前送付が楽です。
前の物件の書面の使い回し
設備・管理会社・区域の記載が残ったままになります。調査メモから毎回作り直します。
測っておきたい指標
- 重説の差し戻し・訂正件数
- 重説から契約までの日数
- IT重説・電子交付の利用率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
宅地建物取引業法35条(重要事項の説明等)
宅建業者は契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士に書面(相手方の承諾があれば電磁的方法も可)を交付して説明させます。宅建士は説明時に宅建士証を提示し、書面に記名します。
宅地建物取引業法施行規則
水害ハザードマップにおける所在地、石綿使用調査の記録、耐震診断の内容など、建物の賃貸借で説明する事項が定められています。
IT重説(国土交通省のマニュアル)
賃貸のIT重説は2017年から本格運用されています。映像と音声を双方向でやりとりできる環境と、事前の書面送付が必要です。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(不動産・12業務)
- 「重要事項説明(賃貸)」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち2つは、自動化の候補です
よくある質問
- 重要事項説明は宅建士でないとできませんか
- はい。宅建業法35条で、宅地建物取引士が説明し、書面に記名することになっています。
- オンライン(IT重説)でもよいですか
- 賃貸ではIT重説が認められています。借主の同意と、映像・音声で双方向にやりとりできる環境、事前の書面送付が必要です。
- 物件の調査を早くするには
- 物件台帳にハザードマップや石綿調査の有無を登録しておくと、毎回の調査が確認だけで済みます。ジンベイ GenAppで物件台帳と重説の作成を仕組み化できます。