賃貸借契約の締結の業務手順書テンプレート(不動産・賃貸管理)
審査と重要事項説明が済んだあと、契約書を作り、初期費用の入金を確かめ、署名・交付して鍵を渡すまでの流れです。手順書にしておくと、契約書と重説の内容の食い違い、入金前の鍵渡し、37条書面の交付漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 契約内容を正しく書面にし、入金を確かめてから入居できる状態にするための手順です。
- 範囲
- 契約書の作成から、初期費用の精算、署名・交付、鍵渡し、台帳登録まで。
- 始まるきっかけ
- 入居審査が通り、重要事項説明の日程が決まったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・繁忙期は1日5〜20件
- 使う書類・システム
- 賃貸借契約書(国土交通省の賃貸住宅標準契約書など)、重要事項説明書、保証会社の保証委託契約書、火災保険(家財)の申込書、初期費用の精算書
担当と役割
契約担当
契約書の作成、初期費用の請求、署名の取りまとめ
宅地建物取引士
契約書(37条書面)の確認と記名
経理担当
入金の確認、オーナーへの送金
管理担当
鍵の準備、入居時の物件状況の確認
手順(11ステップ)
- 作成契約担当・目安 30分
1. 契約書を作る
賃料・共益費・敷金・礼金・契約期間・更新の条件・解約予告期間・特約を書きます。
- 確かめること
- 重要事項説明書と金額・期間・特約が一致しているか
- できあがるもの
- 契約書案
- 作成契約担当・目安 10分
2. 特約の内容を確かめる
原状回復の特約(クリーニング費用など)は、借主が負担する範囲と金額が明確かを見ます。
- 確かめること
- 通常損耗を借主負担にする特約が、明確な合意の要件を満たすか
- できあがるもの
- 特約の確認メモ
- 請求契約担当・目安 15分
3. 初期費用の精算書を作り、借主に請求する
日割賃料・敷金・礼金・仲介手数料・保証料・火災保険料・鍵交換費を明細にします。
- 確かめること
- 仲介手数料が報酬の上限を超えていないか
- できあがるもの
- 初期費用の精算書
4. 入金を確認し、入金日を記録する
振込名義と金額を精算書と照合します。
- 確かめること
- 全額が入金されたか
- できあがるもの
- 入金記録
- 署名契約担当・目安 1〜3日
5. 契約書に貸主・借主の署名を集める
紙なら2通作成、電子契約なら双方の承諾を得てシステムで締結します。
- 確かめること
- 連帯保証人がいる場合、極度額が書かれているか
- できあがるもの
- 締結済み契約書
- 確認宅地建物取引士・目安 10分
6. 37条書面の記載事項を確認し、記名する
当事者・物件・賃料と支払方法・引渡し時期・契約の解除・損害賠償額の予定などを確認します。
- 確かめること
- 契約書を37条書面として使う場合、記載事項がそろっているか
- できあがるもの
- 記名済み37条書面
- 交付契約担当・目安 5分
7. 37条書面を遅滞なく貸主・借主に交付する
電子交付の場合は相手方の承諾を得て行います。
- 確かめること
- 交付日と方法を記録したか
- できあがるもの
- 交付記録
8. 鍵を交換し、本数を確認する
鍵交換の実施を確認し、鍵の本数と番号を鍵台帳に記録します。
- 確かめること
- 入金確認前に鍵を渡していないか
- できあがるもの
- 鍵台帳の記録
- 引渡し管理担当・目安 30分
9. 入居時の物件状況を借主と確認する
傷・汚れ・設備の不具合を写真つきのチェック表に記録し、双方で控えを持ちます。
- 確かめること
- 退去時に比べられるよう日付入り写真を残したか
- できあがるもの
- 入居時チェック表
10. 契約台帳に登録する
契約期間・更新日・解約予告期間・保証会社・火災保険の満期を登録します。
- 確かめること
- 更新通知の期限が台帳に出るか
- できあがるもの
- 契約台帳の1行
11. 礼金・賃料などをオーナーに送金し、明細を送る
管理受託契約の条件で手数料を差し引いて送金します。
- 確かめること
- 預り金(敷金)を分別して管理しているか
- できあがるもの
- 送金明細
締めのチェックリスト
- 重説と契約書の内容が一致しているか
- 特約の負担範囲が明確か
- 仲介手数料が上限内か
- 全額の入金を確認したか
- 連帯保証人の極度額を書いたか
- 37条書面の記載事項がそろっているか
- 37条書面を交付したか
- 入金確認後に鍵を渡したか
- 入居時の状況を記録したか
- 契約台帳に更新日を登録したか
よくあるミスと防ぎ方
連帯保証の極度額の書き漏れ
2020年4月以降、個人の根保証契約は極度額を書かないと無効です。契約書の欄を必ず埋めます。
入金前の鍵渡し
入居を急ぐ借主に押されて鍵を渡すと、未入金のまま入居されます。入金確認を鍵渡しの条件にします。
入居時の状態を記録しない
退去時の原状回復でもめる原因になります。写真つきのチェック表を双方で持ちます。
測っておきたい指標
- 申込から契約締結までの日数
- 契約書の訂正件数
- 電子契約の利用率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
宅地建物取引業法37条(書面の交付)
契約が成立したら遅滞なく、宅建士が記名した書面を当事者に交付します(相手方の承諾があれば電磁的方法も可)。
民法465条の2(個人根保証契約)
個人が連帯保証人になる賃貸借の保証は、極度額を定めないと無効です。
国土交通大臣告示(宅建業者の報酬)
居住用建物の賃貸の媒介では、借主・貸主から受け取る報酬の合計は賃料の1か月分(税別)以内で、依頼者の一方からは承諾がない限り0.5か月分以内です。
賃貸住宅管理業法16条(分別管理)
管理業者は、受け取った家賃・敷金等を自己の財産と分けて管理します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(不動産・12業務)
- 「賃貸借契約の締結」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 契約書と37条書面は別に作る必要がありますか
- 契約書に37条の記載事項がそろい、宅建士が記名していれば、契約書を37条書面として交付できます。
- 賃貸借契約は電子契約にできますか
- 2022年5月の宅建業法改正で、重要事項説明書・37条書面の電子交付が可能になりました。相手方の承諾が必要です。
- 契約台帳の登録を楽にするには
- 契約書の内容をジンベイ GenOCRで読み取り、契約台帳に自動で登録すると、更新日や保険の満期の入力漏れを防げます。