家賃の督促の業務手順書テンプレート(不動産・賃貸管理)
毎月の入金を確認して滞納を把握し、段階に応じて電話・書面で督促し、保証会社への代位弁済請求や、長期滞納の場合の法的手続きの判断につなげるまでの流れです。手順書にしておくと、督促の遅れや、違法な取り立てにあたる行為を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 滞納を早く見つけ、法令に沿った方法で回収するための手順です。
- 範囲
- 入金確認から、初期の督促、保証会社への請求、オーナーへの報告、法的手続きへの引継ぎまで。
- 始まるきっかけ
- 家賃の支払期日(例: 前月27日)の翌営業日に、入金のない借主がいたとき
- 頻度・量の目安
- 毎月・管理戸数の1〜3%程度
- 使う書類・システム
- 家賃の入金データ(口座・収納代行)、家賃の入金・滞納管理表、賃貸借契約書、保証委託契約書、督促状・内容証明郵便の文例
担当と役割
経理担当
入金の消込、滞納一覧の作成
督促担当
借主への連絡、督促状の送付、記録
管理責任者
保証会社への請求判断、オーナーへの報告
オーナー(貸主)
法的手続きの判断
手順(11ステップ)
1. 入金データと請求を照合し、消込する
入金名義と金額で契約と照合し、一部入金や名義違いを確かめます。
- 確かめること
- 振込名義が契約者と違う入金を確認したか
- できあがるもの
- 入金消込の結果
2. 滞納一覧を作る
滞納者・滞納額・滞納月数・保証会社の有無を一覧にします。
- 確かめること
- 前月からの繰越滞納を含めたか
- できあがるもの
- 滞納一覧
- 初期督促督促担当・目安 5分/件
3. 支払期日の翌営業日から3日以内に電話・メールで連絡する
入金の確認と、支払予定日を聞きます。
- 確かめること
- 連絡の時間帯が社会通念上不適当でないか(目安として夜9時から朝8時は避ける)
- できあがるもの
- 督促記録
- 初期督促督促担当・目安 10分/件
4. 連絡がつかない場合、督促状を送る
滞納額・支払期限・振込先を書きます。
- 確かめること
- 第三者に滞納が分かる書き方(はがき・ドアへの貼り紙)になっていないか
- できあがるもの
- 督促状
5. 保証会社の規定に沿って滞納を報告し、代位弁済を請求する
保証委託契約で決められた報告期限(滞納発生から一定日数以内)を守ります。
- 確かめること
- 報告期限を過ぎていないか
- できあがるもの
- 代位弁済請求
6. 連絡日時・内容・約束を記録する
約束した支払日に入金がなければ再連絡します。
- 確かめること
- 約束日の翌日に入金を確認したか
- できあがるもの
- 督促記録の更新
- 連帯保証人督促担当・目安 10分
7. 滞納が続く場合、連帯保証人に連絡する
2020年4月以降の契約では、保証人から求められたら滞納状況などの情報を提供します。
- 確かめること
- 連帯保証人への連絡内容を記録したか
- できあがるもの
- 保証人への連絡記録
8. 毎月、オーナーに滞納状況を報告する
滞納額・督促の経過・今後の方針を書きます。
- 確かめること
- 2か月以上の滞納について方針を決めたか
- できあがるもの
- オーナー報告
- 催告管理責任者・目安 1時間
9. 長期滞納の場合、内容証明郵便で催告する
支払期限を定め、期限までに支払がなければ契約を解除する旨を書きます(貸主名義)。
- 確かめること
- 信頼関係が壊れたといえる程度の滞納か(実務上は3か月程度が目安)
- できあがるもの
- 内容証明郵便
- 引継ぎ管理責任者・目安 1時間
10. 法的手続きは弁護士に引き継ぐ
明渡し請求訴訟などは、貸主本人または弁護士が行います。
- 確かめること
- 管理会社が代理で交渉・訴訟をしていないか
- できあがるもの
- 弁護士への引継ぎ資料
- 禁止行為督促担当・目安 ―
11. 鍵の交換や荷物の撤去などの自力救済をしない
借主の同意なく部屋に入る、鍵を替える、荷物を出すことはしません。
- 確かめること
- 社内ルールで禁止を周知しているか
- できあがるもの
- 周知記録
締めのチェックリスト
- 当月の入金を消込したか
- 滞納一覧を作ったか
- 期日の翌営業日から3日以内に連絡したか
- 連絡の時間帯に配慮したか
- 第三者に分かる督促をしていないか
- 保証会社の報告期限を守ったか
- 約束日に入金を確認したか
- オーナーに報告したか
- 長期滞納の方針を決めたか
- 自力救済をしていないか
よくあるミスと防ぎ方
督促の開始が遅い
滞納が2〜3か月たまってからでは回収が難しくなります。期日の翌営業日に一覧を作り、すぐ連絡します。
保証会社への報告漏れ
報告期限を過ぎると保証が受けられないことがあります。保証会社ごとの期限を一覧で管理します。
違法な取り立て
鍵の交換や張り紙は、損害賠償や刑事責任の対象になりえます。手順書で禁止行為を明記します。
測っておきたい指標
- 滞納率(滞納額÷月額賃料総額)
- 督促開始までの日数
- 2か月以上の長期滞納件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
自力救済の禁止(判例)
法的手続きによらずに鍵の交換や荷物の撤去で明渡しを実現することは違法とされています。家賃保証会社の明渡しを認める契約条項が消費者契約法に反するとした最高裁判決(2022年12月12日)もあります。
弁護士法72条
弁護士でない者が報酬を得て他人の法律事件の代理などをすることは禁止されています。訴訟・法的交渉は貸主本人か弁護士が行います。
民法458条の2(保証人への情報提供)
委託を受けた保証人から請求があれば、貸主は主たる債務の履行状況を提供します。
個人情報保護法
滞納の情報を第三者に知られる方法で督促しないようにします。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(不動産・12業務)
- 「家賃の督促」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち5つは、自動化の候補です
よくある質問
- 何か月滞納したら契約を解除できますか
- 法律で月数は決まっていません。裁判では、貸主と借主の信頼関係が壊れたかどうかで判断され、実務上は3か月程度の滞納が一つの目安とされています。
- 管理会社が督促してもよいですか
- 支払のお願いや督促状の送付は管理業務として行えます。訴訟や法的な交渉の代理は、弁護士でなければできません。
- 入金の消込を楽にするには
- 口座の入金データと契約台帳の照合をジンベイ GenRPAで自動化すると、滞納一覧を期日の翌朝に作れます。