退去立会いと敷金精算の業務手順書テンプレート(不動産・賃貸管理)
解約日が決まった部屋で、借主と退去立会いを行い、損耗を記録して原状回復の負担区分を決め、見積から精算書を作って敷金を返すまでの流れです。手順書にしておくと、通常損耗を借主に請求するトラブルや、精算の遅れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 国のガイドラインに沿って負担区分を説明し、納得を得て敷金を精算するための手順です。
- 範囲
- 退去立会いの日程調整から、損耗の確認、精算書の作成、敷金の返還、次の募集への引継ぎまで。
- 始まるきっかけ
- 借主から解約の通知を受け、退去日が決まったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・繁忙期(2〜4月)は週10件以上
- 使う書類・システム
- 賃貸借契約書(特約)、入居時の物件状況チェック表・写真、退去立会いチェックリスト、原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)、内装業者の見積書
担当と役割
管理担当
立会いの実施、損耗の記録、負担区分の説明
内装業者
原状回復工事の見積・施工
経理担当
精算書の作成、敷金の返還、オーナーへの報告
借主
立会いへの同席、精算内容の確認
手順(11ステップ)
- 準備管理担当・目安 10分
1. 契約書の特約と入居時の記録を確認する
クリーニング費用の特約、入居年月、入居時の傷の記録を見ます。
- 確かめること
- 特約の金額・範囲が契約書に明記されているか
- できあがるもの
- 立会い準備メモ
- 日程管理担当・目安 5分
2. 退去日に立会いの日時を決め、鍵の返却方法を伝える
荷物の搬出後に、借主同席で行います。
- 確かめること
- 全ての鍵(複製を含む)の返却を伝えたか
- できあがるもの
- 立会い予定
- 立会い管理担当・目安 30〜60分
3. 部屋ごとに損耗を確認し、写真を撮る
床・壁・建具・水回り・設備を順に見て、傷の位置と大きさを記録します。
- 確かめること
- 入居時からあった傷かどうかを記録と照合したか
- できあがるもの
- 退去立会いチェックリスト・写真
- 区分管理担当・目安 15分
4. 損耗ごとに貸主負担か借主負担かを判断する
通常の使用による損耗・経年変化(日焼け・家具の設置跡など)は貸主負担、故意・過失や手入れ不足による損傷(タバコのヤニ・ペットの傷・結露の放置によるカビなど)は借主負担とします。
- 確かめること
- ガイドラインの例と照らして説明できるか
- できあがるもの
- 負担区分の記入
- 説明管理担当・目安 10分
5. 借主に負担区分を説明し、確認の署名をもらう
その場で金額は確定させず、見積後に精算書を送ることを伝えます。
- 確かめること
- 借主が納得していない項目を記録したか
- できあがるもの
- 借主の確認署名
6. 鍵を受け取り、本数を照合する
鍵台帳の本数と照合し、不足があれば記録します。
- 確かめること
- 鍵の本数が台帳と一致するか
- できあがるもの
- 鍵台帳の返却記録
7. 原状回復の見積を出す
部位ごとに数量と単価を書き、借主負担と貸主負担を分けた見積にしてもらいます。
- 確かめること
- 施工単位(クロスは原則m²単位、毀損箇所を含む1面まで等)が妥当か
- できあがるもの
- 原状回復見積書
- 精算経理担当・目安 20分
8. 経過年数を考慮して借主負担額を計算する
クロス・カーペット等は耐用年数(例: 6年)で残存価値を考え、入居年数に応じて借主の負担割合を下げます。
- 確かめること
- 経過年数の計算を明細に示したか
- できあがるもの
- 敷金精算書
9. 精算書をオーナーに報告し、借主に送る
借主負担の根拠(写真・ガイドラインの考え方)を添えます。
- 確かめること
- 借主からの問い合わせ窓口と回答期限を書いたか
- できあがるもの
- 送付済み精算書
10. 合意後、敷金から差し引いた残額を返還する
借主の口座に振り込み、日付を記録します。不足する場合は請求します。
- 確かめること
- 明渡し後、速やかに返還したか
- できあがるもの
- 返還記録
- 引継ぎ管理担当・目安 10分
11. 原状回復工事を発注し、募集担当に完了予定日を伝える
工事完了日から募集・内見の予定を立てます。
- 確かめること
- 工事完了の写真を受け取ったか
- できあがるもの
- 工事発注・募集への連絡
締めのチェックリスト
- 特約の範囲を確認したか
- 入居時の記録と照合したか
- 全室の写真を撮ったか
- 通常損耗を借主負担にしていないか
- 借主の確認署名をもらったか
- 鍵の本数を照合したか
- 見積を借主・貸主負担に分けたか
- 経過年数を考慮したか
- 根拠を添えて精算書を送ったか
- 敷金を速やかに返還したか
よくあるミスと防ぎ方
通常損耗の請求
日焼けや画鋲の穴など通常の使用による損耗は、特約がない限り貸主負担です。ガイドラインの区分表で確認します。
全面張替えの全額請求
一部の傷でも全面張替えの費用を全額請求するとトラブルになります。施工単位と経過年数を考慮します。
入居時の記録がない
入居時からの傷かどうか分からず、話し合いが長引きます。入居時チェック表と写真を必ず残します。
測っておきたい指標
- 退去から敷金返還までの日数
- 精算への異議の件数
- 原状回復工事の期間
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
民法621条(賃借人の原状回復義務)
借主は損傷を原状に戻す義務を負いますが、通常の使用による損耗と経年変化は除かれます(2020年4月施行)。
民法622条の2(敷金)
賃貸借が終了し明渡しを受けたときは、未払賃料などを差し引いた残額を返還します。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)
負担区分の考え方、経過年数の考慮、施工単位などの目安が示されています。
東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例
東京都内の居住用物件では、宅建業者が契約前に原状回復の負担区分などを書面で説明する必要があります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(不動産・12業務)
- 「退去立会いと敷金精算」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- クリーニング費用は借主に請求できますか
- 通常は貸主負担ですが、契約書に金額と範囲を明確に定めた特約があり、借主が合意していれば請求できるとされています。
- 経過年数はどう計算しますか
- ガイドラインでは、クロスやカーペットなどは耐用年数(例: 6年)で価値が下がると考え、入居年数が長いほど借主の負担割合が小さくなります。
- 立会いの記録を楽にするには
- タブレットで写真とチェックリストを一緒に記録し、精算書まで自動で作れるようにすると、精算までの日数を短くできます。ジンベイ GenAppで仕組み化できます。