給与計算の業務手順書テンプレート(業種共通)
確定した勤怠をもとに、残業代・手当・社会保険料・税金を計算し、明細を配り、振り込みます。手順書にしておくと、残業代や保険料の計算ミス、支給日の遅れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 毎月の給与を、正しい額で決まった支給日に払うことを目的にします。
- 範囲
- 勤怠の確定から、支給・控除の計算、チェック、振込、明細の配布、源泉税・住民税の納付準備まで。
- 始まるきっかけ
- 毎月の勤怠締め日の翌日
- 頻度・量の目安
- 月1回・従業員10〜300名
- 使う書類・システム
- 確定した勤怠データ、給与マスタ(基本給・手当・扶養)、健康保険・厚生年金の保険料額表、源泉徴収税額表、住民税の特別徴収税額通知、賃金台帳
担当と役割
給与担当
計算・チェック・振込データの作成
人事担当
入退社・昇給・異動・扶養の変更の連絡
経理責任者
給与総額の確認、振込の承認
手順(10ステップ)
- 変更人事担当・目安 15分
1. 締め日までに入退社・昇給・手当・扶養・住所の変更を給与担当に連絡する
変更は書面かシステムで受け、口頭だけにしない。
- 確かめること
- 当月の変更連絡がすべて届いたか
- できあがるもの
- 変更連絡の一覧
2. 給与マスタに変更を反映する
標準報酬月額の改定(4月・9月など)や保険料率の改定(健康保険は3月分から)も反映する。
- 確かめること
- 改定月の料率になっているか
- できあがるもの
- 更新した給与マスタ
3. 確定した勤怠データ(出勤日数・残業時間・深夜・休日・欠勤)を取り込む
勤怠締めが終わっていないデータは取り込まない。
- 確かめること
- 取り込んだ人数が在籍者数と一致するか
- できあがるもの
- 勤怠データ
- 計算給与担当・目安 30分
4. 支給額(基本給・手当・残業代)を計算する
割増率は時間外25%以上、月60時間を超える部分は50%以上、深夜25%以上、休日35%以上。
- 確かめること
- 月60時間超の残業がある人の割増率を確認したか
- できあがるもの
- 支給額
- 計算給与担当・目安 20分
5. 社会保険料・雇用保険料・源泉所得税・住民税を控除する
社会保険料は標準報酬月額から、所得税は扶養人数と税額表(甲欄・乙欄)から求める。
- 確かめること
- 扶養控除等申告書を出していない人を乙欄にしたか
- できあがるもの
- 控除額
- チェック給与担当・目安 30分
6. 前月と比べて支給額・控除額が大きく変わった人を確認する
差が一定(例: 1割以上)の人の理由を変更連絡と照らす。
- 確かめること
- 増減の理由がすべて説明できるか
- できあがるもの
- 前月比較表
7. 給与総額・人数・振込額を確認する
計算した人とは別の人が確認する。
- 確かめること
- 総額が前月から説明できる範囲か
- できあがるもの
- 承認記録
8. 振込データを作り、支給日の2〜3営業日前までに銀行へ送る
賃金は全額を直接本人に支払う。口座振込は本人の同意が必要。
- 確かめること
- 振込件数と金額が支給一覧と一致するか
- できあがるもの
- 振込データ
9. 給与明細を配布する(紙またはWeb)
Web明細は本人の同意を得て配る。
- 確かめること
- 全員に配布したか
- できあがるもの
- 配布記録
- 記録給与担当・目安 15分
10. 賃金台帳を更新し、源泉所得税・住民税の納付額を集計して経理に渡す
納付期限は翌月10日。
- 確かめること
- 賃金台帳と支給一覧が一致するか
- できあがるもの
- 賃金台帳・納付額の集計
締めのチェックリスト
- 当月の変更連絡をすべて反映した
- 保険料率・標準報酬月額の改定を反映した
- 勤怠データの人数が在籍者数と一致した
- 月60時間超の割増率を確認した
- 乙欄の対象者を確認した
- 前月比で大きく変わった人の理由を確認した
- 計算者と別の人が確認した
- 振込額が支給一覧と一致した
- 明細を全員に配布した
- 賃金台帳を更新した
よくあるミスと防ぎ方
保険料率の改定を反映し忘れる
健康保険料率は毎年3月分から、介護保険料は40歳になった月から変わります。年間の改定カレンダーを作っておきます。
月60時間超の割増率を間違える
中小企業も2023年4月から50%以上です。給与システムの設定を一度確認します。
締め後の変更を手で直して台帳とずれる
手修正は賃金台帳と合わなくなります。変更はマスタで行い、計算し直します。
測っておきたい指標
- 計算ミスによる再計算の件数
- 勤怠確定から振込データ送信までの日数
- 前月比チェックで見つかった誤りの件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
賃金支払の5原則、時間外・深夜・休日の割増、賃金台帳の作成と保存
給与から所得税を源泉徴収し、翌月10日までに納付
給与から住民税を差し引き、翌月10日までに納入
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「給与計算」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち5つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順2:給与マスタに変更を反映する
- 手順3:確定した勤怠データ(出勤日数・残業時間・深夜・休日・欠勤)を取り込む
- 手順8:振込データを作り、支給日の2〜3営業日前までに銀行へ送る
- 手順9:給与明細を配布する(紙またはWeb)
よくある質問
- 給与は手渡しでもよいですか?
- 原則は通貨で直接本人に払うことです。口座振込は本人の同意があれば可能です。
- 給与明細は電子でもよいですか?
- 本人の同意があれば電子で交付できます。同意を得ていない人には紙で渡します。
- 残業代は1分単位で計算しますか?
- 原則は1分単位です。1か月の合計で30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は認められています。