派遣開始の手続きの業務手順書テンプレート(人材紹介・派遣)
労働者派遣契約を結んだあと、派遣スタッフを選び、待遇の説明と就業条件の明示を行い、派遣先に通知して就業を始めるまでの流れです。手順書にすると、明示や通知の漏れ、事前面接と受け取られる行為を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 派遣スタッフが安心して就業を始められるよう、法定の説明・明示・通知を漏れなく行えるようにします。
- 範囲
- 労働者派遣契約の締結後、スタッフの選定から就業初日のフォローまでです。
- 始まるきっかけ
- 労働者派遣契約が締結され、派遣するスタッフを決めるとき
- 頻度・量の目安
- 随時・1拠点あたり月5〜30名
- 使う書類・システム
- 労働者派遣契約書、派遣スタッフの登録情報(スキル・希望条件)、就業条件明示書の書式、派遣先通知書の書式
担当と役割
コーディネーター
スタッフの選定、仕事の紹介、就業条件の明示
派遣営業
派遣先への通知、職場見学の調整、初日のフォロー
派遣元責任者
待遇の説明内容の確認、苦情対応
手順(12ステップ)
- 選定コーディネーター・目安 20分
1. 契約の業務内容に合うスタッフを選ぶ
スキル、経験、希望条件、通勤時間で候補を絞ります。
- 確かめること
- 派遣先を離職して1年以内でないか、本人に確かめる。
- できあがるもの
- 候補者リスト
- 紹介コーディネーター・目安 15分
2. スタッフに仕事を紹介し、意思を確かめる
業務内容、就業場所、期間、時給、就業時間を伝えます。
- 確かめること
- 時給や業務内容を、契約と違う形で伝えていないか確かめる。
- できあがるもの
- 就業意思の記録
- 待遇説明コーディネーター・目安 15分
3. 雇入れ時の待遇の説明を行う
賃金の決定方法(労使協定方式など)、教育訓練、福利厚生、雇用安定措置などを説明します。
- 確かめること
- 説明した内容と日付を記録する。
- できあがるもの
- 待遇説明の記録
- 見学派遣営業・目安 30分
4. 希望があれば職場見学を調整する
スタッフが自分の意思で職場を見ることを目的に、派遣先と日程を決めます。
- 確かめること
- 派遣先がスタッフを選ぶための面接・履歴書の提出にならないようにする。
- できあがるもの
- 職場見学の記録
- 雇用契約コーディネーター・目安 15分
5. 雇用契約を結び、労働条件を通知する
契約期間、更新の有無と基準、賃金、就業時間、休日などを労働条件通知書で示します。
- 確かめること
- 有期の場合、更新上限の有無と内容、無期転換の申込みの機会を書く。
- できあがるもの
- 雇用契約書・労働条件通知書
6. 就業条件明示書を交付する
派遣契約の内容(業務、組織単位、就業場所、指揮命令者、期間、抵触日、苦情の申出先など)と、派遣料金の額を示します。
- 確かめること
- 事業所単位と個人単位の両方の抵触日を書く。
- できあがるもの
- 就業条件明示書
- 通知派遣営業・目安 10分
7. 派遣先に派遣スタッフの情報を通知する
氏名、性別、45歳以上ならその旨、18歳未満なら年齢、無期雇用か有期か、60歳以上か、協定対象かどうか、社会保険・雇用保険の加入状況を書面で通知します。
- 確かめること
- 未加入の保険がある場合は、その理由を書く。
- できあがるもの
- 派遣先通知書
8. 派遣元管理台帳を作成する
派遣スタッフごとに台帳を作り、契約内容と派遣先を入れます。
- 確かめること
- 就業開始までに作成する。
- できあがるもの
- 派遣元管理台帳
9. 社会保険・雇用保険の加入手続きをする
加入要件を満たす場合は、資格取得届を期限内に出します。
- 確かめること
- 健康保険・厚生年金は資格取得から5日以内、雇用保険は翌月10日までに届け出る。
- できあがるもの
- 資格取得届の控え
- 初日前コーディネーター・目安 5分
10. 初日の集合場所・時間・持ち物を伝える
集合時間、場所、迎えに来る人、服装、持ち物、緊急連絡先を伝えます。
- 確かめること
- 前日に再確認の連絡を入れる。
- できあがるもの
- 初日案内の記録
- 初日派遣営業・目安 10分
11. 初日に就業開始を確かめる
派遣先とスタッフの双方に、出勤できたか、説明を受けたかを確かめます。
- 確かめること
- 契約と違う業務の指示がないかを聞く。
- できあがるもの
- 初日フォロー記録
12. 1週間後に就業状況を確かめる
業務内容、人間関係、時間外労働の状況を聞きます。
- 確かめること
- 苦情があれば派遣元責任者に共有し、対応を記録する。
- できあがるもの
- フォロー記録
締めのチェックリスト
- スタッフが派遣先の離職後1年以内でない
- 雇入れ時の待遇の説明を記録した
- 職場見学が事前面接になっていない
- 労働条件通知書に更新上限と無期転換の機会を書いた
- 就業条件明示書に両方の抵触日と派遣料金を書いた
- 派遣先に通知書を送った
- 派遣元管理台帳を作成した
- 社会保険・雇用保険の資格取得を期限内に届け出た
- 初日の就業開始を確かめた
- 1週間後のフォローを行った
よくあるミスと防ぎ方
職場見学が選考になってしまう
派遣先が履歴書を求めたり、見学後に断ったりすると、派遣労働者を特定する行為と受け取られます。見学はスタッフの意思で行い、派遣先に事前にルールを伝えます。
就業条件明示書に抵触日が1つしかない
事業所単位と個人単位の抵触日は別に管理します。両方を明示書に書きます。
保険の加入状況の通知漏れ
派遣先への通知には社会保険・雇用保険の加入状況を入れる必要があります。資格取得の手続きと通知を同じ日に行います。
測っておきたい指標
- 契約締結から就業開始までの日数
- 初週の離職・辞退率
- 明示書・通知書の交付漏れ件数
関係する法令・規格
労働者派遣法
就業条件の明示、待遇の説明、派遣先への通知、派遣元管理台帳、派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないよう努めること、に関わります。
労働基準法
雇用契約を結ぶときの労働条件の明示に関わります(2024年4月から更新上限・無期転換の機会の明示を追加)。
健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法
加入要件を満たすスタッフの資格取得届に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(人材サービス・10業務)
- 「派遣開始の手続き」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
12手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 職場見学はしてはいけないのですか。
- スタッフ本人が希望して職場を見ることは問題ありません。派遣先が面接や書類の提出を求めて人を選ぶことは避けるよう求められています。
- 就業条件明示書はメールで渡せますか。
- 本人が希望すれば、電子メールなどで明示できます。送った日時を記録しておきます。
- 派遣料金の額も明示が必要ですか。
- 必要です。雇入れ時・派遣開始時・料金を変えたときに、その派遣スタッフに関する派遣料金の額(または事業所の平均額)を明示します。