求人受付の業務手順書テンプレート(人材紹介・派遣)
求人企業から依頼を受け、条件を聞き取り、求人票と求人管理簿を整えるまでの流れです。手順書にしておくと、労働条件の明示漏れや、受理してはいけない求人を受けてしまうミスを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 担当者が替わっても、同じ聞き取り項目と同じ判断基準で求人を受け付けられるようにします。
- 範囲
- 求人企業から依頼の連絡を受けてから、求人票の確定・求人管理簿への記録・求職者への公開までです。推薦や面接調整は含みません。
- 始まるきっかけ
- 求人企業から電話・メール・Web フォームで求人の依頼があったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・1人あたり月5〜15件
- 使う書類・システム
- 求人依頼の連絡(電話メモ・メール・Web フォーム)、求人票テンプレート、人材紹介の基本契約書(手数料率・返金規定)、求人管理簿(求人管理システム)
担当と役割
リクルーティングアドバイザー(RA)
求人企業へのヒアリング、求人票の作成、条件の確認
営業事務
求人管理簿への登録、契約書類の回収確認
事業所長(職業紹介責任者)
受理の可否に迷う求人の判断、法令面の確認
手順(12ステップ)
1. 求人依頼を受け付け、受付番号を振る
連絡手段・企業名・担当者名・受付日時を求人管理簿の仮登録欄に入れます。
- 確かめること
- 同じ企業の同じ職種で、すでに受付済みの求人がないか検索して確かめる。
- できあがるもの
- 求人管理簿の仮登録1行
- 契約確認営業事務・目安 5分
2. 基本契約の締結状況を確かめる
契約管理台帳で、手数料率・返金規定・契約期間が入った基本契約があるかを見ます。
- 確かめること
- 未締結なら、求人の受付と並行して契約書を送る。契約前に推薦しない。
- できあがるもの
- 契約状況のメモ
- ヒアリングRA・目安 30〜60分
3. 求人企業に職務内容と条件を聞き取る
業務内容、配属部署、必須・歓迎の経験、人数、採用背景、選考の流れを聞きます。
- 確かめること
- 「経験者歓迎」など曖昧な言葉は、年数や担当業務の範囲まで具体化する。
- できあがるもの
- ヒアリングメモ
- ヒアリングRA・目安 15分
4. 労働条件を明示事項の順に確かめる
業務内容と変更の範囲、就業場所と変更の範囲、契約期間(有期なら更新上限の有無)、試用期間、就業時間・休憩・休日、時間外労働、賃金、社会保険・労働保険の加入、受動喫煙対策を順に聞きます。
- 確かめること
- 1項目でも空欄があれば、求人票を確定しない。
- できあがるもの
- 労働条件の聞き取り欄が埋まったメモ
- 受理判断RA・目安 5分
5. 受理できない求人に当たらないか確かめる
年齢の制限(例外事由に当たらないもの)、性別による募集、最低賃金を下回る賃金、労働関係法令違反で公表されている企業などに当たらないかを見ます。
- 確かめること
- 迷う場合は事業所長に回す。年齢制限は労働施策総合推進法の例外事由に当たるかで判断する。
- できあがるもの
- 受理判断のチェック欄
- 受理判断事業所長(職業紹介責任者)・目安 10分
6. 判断に迷う求人の可否を決める
例外事由の根拠、企業への修正依頼の要否を決め、理由を記録します。
- 確かめること
- 修正後の条件で受理するなら、修正内容を企業から書面またはメールで受け取る。
- できあがるもの
- 受理・修正依頼・不受理の判断記録
- 求人票作成RA・目安 30分
7. 求人票を作成する
求人票テンプレートに聞き取り内容を転記し、仕事内容は1日の流れや使う道具まで書きます。
- 確かめること
- 給与は「月給25万円(うち固定残業代20時間分3万円を含む)」のように内訳と超過分の扱いまで書く。
- できあがるもの
- 求人票の下書き
- 求人票作成RA・目安 1〜3日(待ち時間)
8. 求人企業に求人票の内容確認を依頼する
下書きを PDF で送り、条件に誤りがないか確認してもらいます。
- 確かめること
- 確認済みの返信メールを保存する。電話だけの了承にしない。
- できあがるもの
- 企業確認済みの求人票
9. 求人管理簿に本登録する
求人番号、受付日、企業名、職種、就業場所、賃金、雇用形態、手数料率、有効期限を入れます。
- 確かめること
- 求人票と管理簿の賃金・就業場所が一致しているか照合する。
- できあがるもの
- 求人管理簿の本登録
10. 求人を社内データベースと求職者向けに公開する
社内の求人データベース・求人サイトに掲載し、非公開求人は社内共有に限ります。
- 確かめること
- 企業が非公開を希望した項目(社名など)が外に出ていないか、公開画面で確かめる。
- できあがるもの
- 公開済みの求人
- 共有RA・目安 10分
11. キャリアアドバイザー(CA)に求人の要点を共有する
求める人物像、選考で重視する点、NG 条件を社内チャットや朝会で伝えます。
- 確かめること
- 企業から口頭で聞いた非公開の事情は、求職者に伝えてよい範囲を明記して共有する。
- できあがるもの
- 社内共有の記録
12. 求人の条件変更・充足・取り下げを反映する
企業から変更連絡があれば、求人票と管理簿を同じ日に更新し、変更履歴を残します。
- 確かめること
- 充足・取り下げの求人を公開したままにしていないか、毎週末に一覧で確かめる。
- できあがるもの
- 更新済みの求人管理簿
締めのチェックリスト
- 求人管理簿の全項目(求人番号・受付日・条件・手数料率)が埋まっている
- 基本契約(手数料率・返金規定)を締結済み
- 業務内容・就業場所の「変更の範囲」を明示した
- 有期契約の場合、更新上限の有無と内容を明示した
- 固定残業代は時間数・金額・超過分の支払いを書いた
- 年齢・性別の制限がない、または例外事由を記録した
- 賃金が就業地の最低賃金以上である
- 求人企業の確認済みメールを保存した
- 非公開項目が公開画面に出ていない
- 充足・取り下げ求人を非公開にした
よくあるミスと防ぎ方
「変更の範囲」の明示漏れ
2024年4月から、求人の時点で業務内容と就業場所の変更の範囲を明示する必要があります。ヒアリング用紙に専用欄を作り、空欄なら確定できない形にします。
口頭の条件変更が求人票に反映されない
電話で聞いた変更を担当者のメモだけに残すと、CA が古い条件で求職者に伝えてしまいます。変更は必ず管理簿と求人票を同時に直します。
年齢制限つきの求人をそのまま受ける
「30歳くらいまで」は原則として受理できません。長期勤続のためのキャリア形成など例外事由に当たるかを確かめ、当たる場合は理由を求人票に書きます。
基本契約前に推薦してしまう
手数料率が決まらないまま推薦すると、入社後に請求でもめます。契約状況の確認を受付直後の手順に入れます。
測っておきたい指標
- 求人受付から公開までの日数
- 求人票の差し戻し(企業確認での修正)件数
- 明示事項の記載漏れ件数(月次点検)
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
職業安定法
求人者・求職者への労働条件等の明示、求人の申込みの受理、求人管理簿などの帳簿の作成と保存に関わります。
職業安定法施行規則(2024年4月改正)
業務内容・就業場所の変更の範囲、有期契約の更新上限などを明示事項に加えました。
労働施策総合推進法
募集・採用での年齢制限の禁止と、その例外事由に関わります。
男女雇用機会均等法
性別を理由とした募集・採用の差別の禁止に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(人材サービス・10業務)
- 「求人受付」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
12手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 求人票は企業の募集要項をそのまま使ってよいですか。
- 使ってかまいませんが、変更の範囲や更新上限など明示事項が抜けていることが多いです。紹介会社として明示する責任があるため、不足分は聞き取って補います。
- 固定残業代はどう書けばよいですか。
- 固定残業代を除いた基本給、固定残業代の時間数と金額、時間を超えた分は追加で支払うことの3点を書きます。
- 求人管理簿はいつまで保存しますか。
- 職業紹介事業者の帳簿は、完結の日から2年間の保存が必要です。求人が充足・取り下げになった日を完結日として管理簿に入れておくと探しやすくなります。