労働者派遣契約の締結の業務手順書テンプレート(人材紹介・派遣)
派遣先から依頼を受け、抵触日の通知を受け取り、法定の事項を定めた労働者派遣契約を結ぶまでの流れです。手順書にすると、定めるべき事項の漏れや、抵触日の通知を受け取らないまま契約するミスを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 労働者派遣法で定められた契約事項と事前の手続きを、毎回同じ順番で漏れなく行えるようにします。
- 範囲
- 派遣先から派遣の依頼を受けてから、労働者派遣契約を締結して保管するまでです。派遣スタッフの選定と就業条件明示は「派遣開始の手続き」で扱います。
- 始まるきっかけ
- 派遣先から新規の派遣依頼、または契約の更新の依頼があったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・1拠点あたり月5〜20件
- 使う書類・システム
- 派遣依頼の内容(業務・人数・期間・場所)、抵触日の通知(派遣先から受け取る書面)、労働者派遣基本契約書、個別契約書の書式
担当と役割
派遣営業
派遣先へのヒアリング、契約事項の確認、契約書の取り交わし
派遣元責任者
期間制限・派遣禁止業務などの法令確認
営業事務
契約書の作成、契約管理台帳への登録
手順(11ステップ)
- ヒアリング派遣営業・目安 30分
1. 業務内容と就業条件を聞き取る
業務内容、組織単位(課など)、就業場所、指揮命令者、就業日・時間、休憩、時間外・休日労働の有無と上限、人数、期間を聞きます。
- 確かめること
- 業務内容は「一般事務」ではなく、使うシステムや作業の範囲まで具体的にする。
- できあがるもの
- ヒアリングシート
- 法令確認派遣元責任者・目安 10分
2. 派遣禁止業務や日雇派遣に当たらないか確かめる
港湾運送、建設、警備、医療関係(例外あり)などの業務でないか、契約期間が30日以内の日雇派遣でないかを見ます。
- 確かめること
- 日雇派遣になる場合は、例外の業務・例外の対象者に当たるかを確かめる。
- できあがるもの
- 法令確認の記録
- 法令確認派遣元責任者・目安 5分
3. 派遣先の元社員でないかの確認方法を決める
派遣先を離職して1年以内の人は、その派遣先に派遣できません(60歳以上の定年退職者を除く)。
- 確かめること
- スタッフ選定のときに確かめる項目として、契約時点で派遣先に伝えておく。
- できあがるもの
- 確認事項のメモ
4. 派遣先から抵触日の通知を受け取る
派遣先の事業所で派遣を受け入れられる期限(抵触日)を書面・FAX・メールで受け取ります。
- 確かめること
- 通知がなければ契約を結ばない。新規の事業所なら初めて受け入れる日から3年後の日を確かめる。
- できあがるもの
- 抵触日の通知書
- 待遇派遣営業・目安 15分
5. 待遇決定の方式と派遣先からの情報提供を確かめる
労使協定方式か派遣先均等・均衡方式かを確かめ、方式に応じて派遣先から必要な待遇情報を受け取ります。
- 確かめること
- 派遣先均等・均衡方式の場合、比較対象労働者の待遇情報を書面などで受け取るまで契約しない。
- できあがるもの
- 待遇情報の受領記録
- 料金派遣営業・目安 20分
6. 派遣料金を決めて見積を出す
時給単価、時間外・深夜・休日の割増、交通費の扱いを見積書に入れます。
- 確かめること
- 労使協定方式の場合、協定で定めた賃金を支払える料金になっているか確かめる。
- できあがるもの
- 見積書
- 契約作成営業事務・目安 30分
7. 個別契約書(労働者派遣契約)を作成する
業務内容、組織単位、就業場所、指揮命令者、派遣期間・就業日、就業時間・休憩、安全衛生、苦情処理、契約解除時の措置、派遣元・派遣先の責任者、時間外労働、福利厚生施設の利用、無期雇用・60歳以上に限るかどうかなどを入れます。
- 確かめること
- 法定の契約事項の一覧と1項目ずつ照合する。
- できあがるもの
- 個別契約書の案
- 契約作成派遣元責任者・目安 10分
8. 契約書の案を確認する
期間が抵触日を超えていないか、業務内容と組織単位が具体的かを見ます。
- 確かめること
- 派遣期間の終わりが抵触日の前日までになっている。
- できあがるもの
- 確認済みの契約書案
- 締結派遣営業・目安 1〜3日
9. 派遣先と契約書を取り交わす
電子契約または書面で双方の記名押印(電子署名)を行います。
- 確かめること
- 派遣開始日より前に締結が完了している。
- できあがるもの
- 締結済みの個別契約書
10. 契約管理台帳に登録する
契約番号、派遣先、事業所、組織単位、期間、抵触日、料金、更新期限を入れます。
- 確かめること
- 更新の打診をする日(期間満了の1か月前など)を入れる。
- できあがるもの
- 契約管理台帳の1行
- 通知営業事務・目安 10分
11. 派遣スタッフ決定後に派遣先へ通知する書類を準備する
派遣する人の氏名、性別(年齢により)、無期雇用か有期か、60歳以上か、社会保険・雇用保険の加入状況などを通知する準備をします。
- 確かめること
- 通知の時期は派遣開始前。書式を契約と一緒に用意しておく。
- できあがるもの
- 派遣先通知書の書式
締めのチェックリスト
- 業務内容と組織単位を具体的に定めた
- 派遣禁止業務・日雇派遣に当たらないことを確かめた
- 派遣先から抵触日の通知を受け取った
- 派遣期間の終わりが抵触日より前である
- 待遇決定の方式と、派遣先からの待遇情報を確かめた
- 時間外・休日労働の有無と上限を定めた
- 苦情処理と契約解除時の措置を定めた
- 派遣元責任者・派遣先責任者の氏名を入れた
- 派遣開始日より前に締結した
- 契約管理台帳に更新の打診日を入れた
よくあるミスと防ぎ方
抵触日の通知を受け取らずに契約する
派遣先からの通知がないまま派遣すると、期間制限を管理できません。法律上も通知がなければ契約を結んではいけません。受領を契約作成の前提にします。
業務内容が「事務全般」
業務の範囲が曖昧だと、契約外の仕事をさせられたという苦情につながります。使うシステムや作業内容まで書きます。
待遇情報を受け取る前に契約する
派遣先均等・均衡方式では、比較対象の待遇情報がないと賃金を決められません。受領の記録を残してから契約します。
測っておきたい指標
- 依頼から契約締結までの日数
- 契約事項の記載漏れによる差し戻し件数
- 抵触日の通知の受領率(100%が基準)
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
労働者派遣法
労働者派遣契約で定める事項、派遣先からの抵触日の通知、事業所単位・個人単位の期間制限、待遇決定の方式、日雇派遣・派遣禁止業務、離職後1年以内の派遣の禁止に関わります。
労働者派遣法施行規則
契約に定める事項の細目や、派遣先への通知事項を定めています。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(人材サービス・10業務)
- 「労働者派遣契約の締結」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち2つは、自動化の候補です
よくある質問
- 基本契約があれば個別契約は不要ですか。
- 必要です。基本契約は取引の共通ルールで、労働者派遣法で定める事項(業務内容・期間・就業場所など)は個別の労働者派遣契約に定めます。
- 抵触日の通知はメールでよいですか。
- 書面の交付のほか、FAX や電子メールなどでも通知できます。受け取った通知は契約と一緒に保管します。
- 派遣期間は何年まで決められますか。
- 事業所単位・個人単位とも原則3年が上限です。事業所単位は派遣先が過半数労働組合などの意見を聞いて延長できますが、個人単位の同じ組織単位での上限は延長できません。