クレーム対応の業務手順書テンプレート(製造業)
製造業のクレーム対応は、顧客から不良品や納入トラブルの連絡を受け、影響を止め、原因を調べて、対策を報告し、再発していないことを確かめる業務です。手順書にしておくと、初動の遅れによる顧客ラインの停止や、原因が曖昧なままの報告による再発を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 顧客への影響をすぐに止め、事実にもとづく原因と対策を期限内に報告し、同じクレームを繰り返さないようにします。
- 範囲
- 顧客からの連絡の受付から、暫定処置・原因調査・是正処置報告・効果確認・完了まで。一般消費者からの問い合わせ窓口は対象外です。
- 始まるきっかけ
- 顧客から不良品・数量違い・異品混入・納期遅れなどの連絡を受けたとき。
- 頻度・量の目安
- 随時。月1〜10件
- 使う書類・システム
- クレーム受付票、問い合わせ・クレーム管理表、不具合品の現品・写真、製造記録(作業日報・検査記録・ロット)、是正処置報告書(8D形式など顧客指定の様式)
担当と役割
営業
顧客との窓口、第一報の受付、報告書の提出
品質保証
調査の取りまとめ、原因究明、是正処置報告書の作成
製造・生産技術
現場の調査、対策の実施
工場長
重大クレームの判断、対策の承認
手順(14ステップ)
1. 顧客から内容を聞き取り、クレーム受付票に書く
品番・ロット番号・数量・不具合の内容・発見場所・顧客の要望(交換・選別・報告期限)を聞きます。
- 確かめること
- ロット番号と不具合の数量を聞き取ったか
- できあがるもの
- クレーム受付票
- 受付営業・目安 10分
2. 当日中に品質保証と上長に知らせる
受付票を品質保証に回し、管理番号を振ってもらいます。
- 確かめること
- 顧客のラインが止まるおそれがあるか
- できあがるもの
- 社内への第一報
- 初動品質保証・目安 30分
3. 対象ロットの社内在庫と出荷済み数量を調べる
出荷記録からロットの出荷先・数量、社内在庫・仕掛品の数量を調べます。
- 確かめること
- 他の顧客に同じロットが出ていないか
- できあがるもの
- 影響範囲の一覧
- 初動品質保証・目安 15分
4. 社内在庫と仕掛品を保留する
該当ロットに保留の表示をし、出荷を止めます。
- 確かめること
- 出荷予定から外したか
- できあがるもの
- 保留の記録
- 暫定処置品質保証・目安 半日〜
5. 顧客先の在庫の選別・交換を手配する
社内の良品で代品を出すか、選別の人員を顧客先に派遣します。
- 確かめること
- 代品が良品であることを全数検査で確かめたか
- できあがるもの
- 暫定処置の記録
- 第一報営業・目安 30分
6. 24時間以内に顧客に第一報を出す
分かっている事実、影響範囲、暫定処置、次の報告の予定日を伝えます。
- 確かめること
- 推測を事実として書いていないか
- できあがるもの
- 第一報(初期報告書)
- 現品調査品質保証・目安 1日〜
7. 不具合品の現品を回収して調べる
寸法・外観・材質を測り、図面の規格と比べます。
- 確かめること
- 不具合が自社の工程で起きたものか、輸送や顧客の取り扱いによるものか
- できあがるもの
- 現品調査の結果
- 記録調査品質保証・目安 半日
8. 製造記録から当時の条件を調べる
作業日報・検査記録・設備の記録・材料ロット・4M変更の有無を確かめます。
- 確かめること
- 同じ時期に4M変更や設備の異常がなかったか
- できあがるもの
- 製造条件の調査結果
- 原因究明品質保証・目安 1〜3日
9. 発生原因と流出原因を特定する
なぜなぜ分析で、不良が作られた理由と、検査で見つけられなかった理由をそれぞれ調べ、再現試験で確かめます。
- 確かめること
- 原因を再現して確かめたか
- できあがるもの
- 原因の分析
- 対策製造・生産技術・目安 数日〜
10. 是正処置を決めて実施する
ポカヨケ・治具・作業標準の改訂・検査方法の追加などを決め、実施日を記録します。
- 確かめること
- 発生と流出の両方に対策があるか
- できあがるもの
- 対策の実施記録
- 報告品質保証・目安 2時間
11. 是正処置報告書をまとめ、承認を受ける
顧客指定の様式(8Dなど)で、現象・原因・暫定処置・恒久対策・効果確認の予定を書きます。
- 確かめること
- 顧客の回答期限に間に合うか
- できあがるもの
- 是正処置報告書
- 報告営業・目安 1時間〜
12. 顧客に報告書を出し、説明する
重大なクレームは品質保証と一緒に訪問して説明します。
- 確かめること
- 顧客の追加の質問を記録したか
- できあがるもの
- 提出記録
- 効果確認品質保証・目安 15分
13. 対策後のロットで再発していないことを確かめる
対策後の一定期間(例: 3か月・3ロット)の検査結果とクレームの有無を確かめ、顧客に報告します。
- 確かめること
- 再発がないことをデータで示せるか
- できあがるもの
- 効果確認の報告
- 完了品質保証・目安 30分
14. 水平展開を確かめ、クレームを完了にする
同じ原因が起こりうる他の製品・工程への展開を確かめ、管理表を完了にします。月次で件数と損失を集計します。
- 確かめること
- 水平展開の記録があるか
- できあがるもの
- 完了記録・月次集計
締めのチェックリスト
- 受付票にロット番号と不具合数量がある
- 当日中に品質保証へ知らせた
- 対象ロットの出荷先と在庫を特定した
- 社内在庫を保留した
- 代品を全数検査した
- 24時間以内に第一報を出した
- 発生原因と流出原因を特定した
- 原因を再現試験で確かめた
- 回答期限内に報告書を出した
- 効果確認と水平展開を終えた
よくあるミスと防ぎ方
第一報が遅れる
原因が分かるまで待つと顧客の不信が強まります。分かっている事実と次の報告日だけでも24時間以内に伝えます。
対策が「教育の徹底」だけになる
人の注意に頼る対策は再発します。作業の仕組み(治具・検査・表示)で防ぐ対策を入れます。
流出原因を調べない
発生原因だけ直しても、別の原因の不良が同じように流れます。検査で見つけられなかった理由にも対策します。
測っておきたい指標
- クレーム件数(月)
- 第一報までの時間
- 報告書の期限内提出率
- 再発件数
関係する法令・規格
製造物責任法(PL法)
製品の欠陥で人の生命・身体・財産に被害が出た場合、製造業者が損害賠償の責任を負います。調査記録と対策の記録を残します。
消費生活用製品安全法
一般消費者が使う製品の製造・輸入事業者は、重大製品事故を知った日から10日以内に消費者庁に報告する義務があります。
ISO 9001
10.2(不適合及び是正処置)に関わり、原因の究明と是正処置の有効性のレビューが求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(製造・14業務)
- 「クレーム対応」を含む14業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 8Dレポートとは何ですか。
- クレームの対応を8つの段階(チーム編成、現象の把握、暫定処置、原因究明、恒久対策の選定、実施、再発防止、完了)で整理する報告書の形式です。自動車業界などで顧客から指定されることがあります。
- 原因が自社か顧客側か分からない場合はどうしますか。
- 現品調査と製造記録の結果を事実として伝え、顧客の使用条件の確認を依頼します。推測で自社の責任を否定したり認めたりしないようにします。
- クレームの管理を一元化したいです。
- 受付から完了までの段階と期限を台帳で管理します。ジンベイ GenApp でクレーム台帳を作ると、回答期限が近い案件を自動で知らせられます。