医療機器の保守点検の業務手順書テンプレート(医療機関)
医療機器を台帳で管理し、保守点検計画を作って日常点検・定期点検を行い、異常があれば使用を止めて修理し、記録を残すまでの流れです。手順書にしておくと、点検の漏れや、故障した機器を使ってしまう事故を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 医療機器を安全に使える状態に保ち、点検の記録を残すための手順です。
- 範囲
- 機器の台帳登録から、保守点検計画、日常点検、定期点検、故障時の対応、記録、研修まで。
- 始まるきっかけ
- 新しい医療機器を導入したとき、点検計画の時期が来たとき、毎回の使用前
- 頻度・量の目安
- 毎日(使用前点検)、機器ごとの周期(定期点検)
- 使う書類・システム
- 医療機器台帳、添付文書・取扱説明書(保守点検の事項)、保守点検計画表、点検記録表、修理依頼書
担当と役割
医療機器安全管理責任者
保守点検計画の策定、実施状況の管理、研修
臨床工学技士
定期点検・修理の実施、記録
使用する職員(看護師など)
使用前・使用中・使用後の日常点検
メーカー・保守業者
専門的な点検・修理
手順(11ステップ)
1. 医療機器を台帳に登録する
機器名・型式・製造番号・購入日・設置場所・管理番号・保守契約の有無を登録します。
- 確かめること
- 管理番号のシールを機器に貼ったか
- できあがるもの
- 医療機器台帳の1行
- 計画医療機器安全管理責任者・目安 機器ごと30分
2. 保守点検計画を作る
添付文書の保守点検の事項をもとに、機器ごとの点検項目と周期を決めます。人工呼吸器など特に計画が求められる機器を優先します。
- 確かめること
- 添付文書の点検周期と計画が一致しているか
- できあがるもの
- 保守点検計画表
- 日常点検使用する職員(看護師など)・目安 3分
3. 使用前に日常点検を行う
外観、電源、アラームの作動、付属品の有無をチェック表で確認します。
- 確かめること
- アラームが鳴ることを確認したか
- できあがるもの
- 日常点検の記録
- 日常点検使用する職員(看護師など)・目安 5分
4. 使用中・使用後に状態を確認し、清掃する
設定値と動作を確認し、使用後は清掃・消毒して定位置に戻します。
- 確かめること
- 異常があったときに「使用禁止」の表示をしたか
- できあがるもの
- 使用後の点検記録
- 定期点検臨床工学技士・目安 機器ごと30分〜2時間
5. 計画どおり定期点検を行う
性能(流量・出力など)を測定器で確認し、消耗部品を交換します。
- 確かめること
- 測定器が校正済みか
- できあがるもの
- 定期点検記録
6. メーカー・保守業者の点検を手配する
専門的な点検は保守契約に基づいて依頼し、報告書を受け取ります。
- 確かめること
- 報告書の指摘事項を確認したか
- できあがるもの
- 業者の点検報告書
- 故障使用する職員(看護師など)・目安 10分
7. 異常や故障に気づいたら使用を止め、臨床工学技士に連絡する
代わりの機器を用意し、故障の状況を修理依頼書に書きます。
- 確かめること
- 患者への影響を確認し、必要なら医師に報告したか
- できあがるもの
- 修理依頼書
- 修理臨床工学技士・目安 随時
8. 修理を行う、またはメーカーに依頼する
修理後は点検して性能を確認してから使用を再開します。
- 確かめること
- 修理後の点検をしたか
- できあがるもの
- 修理記録
- 情報医療機器安全管理責任者・目安 随時
9. メーカーの回収・安全情報を確認し、該当機器に対応する
回収(リコール)や添付文書の改訂情報を集め、該当する機器を台帳で探します。
- 確かめること
- 該当機器の対応を記録したか
- できあがるもの
- 安全情報の対応記録
- 研修医療機器安全管理責任者・目安 1時間
10. 新しい機器の導入時と定期的に、使う職員に研修を行う
操作方法、日常点検、トラブル時の対応を教えます。
- 確かめること
- 研修の受講者と日付を記録したか
- できあがるもの
- 研修記録
11. 点検・修理の記録を台帳で管理する
次回の点検予定日を更新し、点検の実施率を確認します。
- 確かめること
- 期限を過ぎた点検がないか
- できあがるもの
- 台帳の更新
締めのチェックリスト
- 全機器を台帳に登録したか
- 保守点検計画が添付文書に沿っているか
- 使用前にアラームを確認したか
- 使用後に清掃し定位置に戻したか
- 定期点検を計画どおり行ったか
- 測定器が校正済みか
- 業者の指摘事項を確認したか
- 故障時に使用を止めたか
- 修理後に点検したか
- 研修を記録したか
よくあるミスと防ぎ方
日常点検の形骸化
チェック表に印をつけるだけで、アラームの確認を省くことがあります。確認の方法を手順書に書きます。
故障機器の再使用
故障した機器が使用禁止の表示なしで置かれ、別の職員が使ってしまいます。すぐに表示して回収します。
点検期限の見落とし
機器の数が多いと期限切れに気づけません。台帳で次回の点検日を管理します。
測っておきたい指標
- 保守点検の実施率
- 故障件数(機器別)
- 研修の受講率
関係する法令・規格
医療法施行規則1条の11(医療機器に係る安全管理のための体制)
医療機関の管理者は、医療機器安全管理責任者を配置し、職員への研修、保守点検計画の策定と保守点検の適切な実施、安全使用のための情報収集などを行います。
医薬品医療機器等法(薬機法)
添付文書に記載された保守点検の事項に従って点検を行います。回収情報への対応も求められます。
医療法(業務委託)
保守点検を外部に委託する場合は、基準を満たす事業者に委託します。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(医療・介護・12業務)
- 「医療機器の保守点検」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- 保守点検計画が特に必要な機器は
- 人工呼吸器、人工心肺装置、除細動装置(AEDを除く)、閉鎖式保育器、CT、放射線治療装置などが厚生労働省の通知で示されています。最新の対象は通知で確認します。
- 診療所でも医療機器安全管理責任者は必要ですか
- はい。病院だけでなく、診療所・助産所でも配置が必要です。
- 点検の期限管理を楽にするには
- 医療機器台帳と点検記録をジンベイ GenAppで管理し、点検日が近い機器を担当者に自動で知らせると、点検漏れを防げます。