介護事故の報告の業務手順書テンプレート(介護事業所)
転倒・誤嚥・誤薬などの事故が起きたときに、利用者の安全を確保し、家族と市町村に連絡・報告し、原因を分析して再発防止策を決め、職員に共有するまでの流れです。手順書にしておくと、連絡の遅れや報告漏れ、同じ事故の繰り返しを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 事故の発生時に迷わず動き、報告と再発防止を確実に行うための手順です。
- 範囲
- 事故の発生から、応急対応、受診、家族・市町村への連絡と報告、原因分析、再発防止、委員会での共有まで。
- 始まるきっかけ
- 利用者の転倒・転落、誤嚥、誤薬、外傷、行方不明などの事故が起きたとき
- 頻度・量の目安
- 随時(施設の規模により月数件)
- 使う書類・システム
- 事故報告書(施設内)、市町村への事故報告書(厚生労働省の標準様式)、介護記録・バイタル記録、ヒヤリハット報告
担当と役割
発見した職員
安全の確保、応援の要請、状況の記録
看護職員
状態の観察、受診の判断
管理者・安全対策担当者
家族・市町村への連絡と報告、原因分析の取りまとめ
事故防止検討委員会
再発防止策の決定と評価
手順(11ステップ)
- 初動発見した職員・目安 即時
1. 利用者の安全を確保し、応援を呼ぶ
動かさずに声をかけ、意識・呼吸・出血を確認し、看護職員・他の職員を呼びます。
- 確かめること
- 意識がない・呼吸がおかしい場合に救急車を呼んだか
- できあがるもの
- 初動の実施
- 観察看護職員・目安 10分
2. 状態を観察し、受診の要否を判断する
痛みの部位、腫れ、可動域、バイタルを確認します。頭を打った場合は時間をおいて観察を続けます。
- 確かめること
- 医師への連絡や受診の基準に当たるか
- できあがるもの
- 観察記録
- 記録発見した職員・目安 15分
3. 発生時刻・場所・状況・対応を記録する
発見時の姿勢、周囲の状況、直前の様子を書き、可能なら現場の写真を撮ります。
- 確かめること
- 推測ではなく見た事実を書いたか
- できあがるもの
- 事故の初期記録
- 家族管理者・安全対策担当者・目安 10分
4. 家族に連絡する
状況、けがの程度、受診の有無と結果、今後の対応を伝えます。
- 確かめること
- 連絡した日時と相手、伝えた内容を記録したか
- できあがるもの
- 家族連絡の記録
5. 市町村への報告の要否を判断し、第1報を出す
市町村が定める報告の範囲(受診・入院を要したけが、誤薬、死亡など)に当たれば、標準様式で第1報を出します(事故発生から5日以内が目安)。
- 確かめること
- 市町村の報告基準と様式を確認したか
- できあがるもの
- 市町村への事故報告書(第1報)
- 分析管理者・安全対策担当者・目安 1時間
6. 職員から聞き取り、原因を分析する
利用者の状態・環境・職員の動き・手順の4つの面から原因を整理します。
- 確かめること
- 個人の不注意だけで終わらせていないか
- できあがるもの
- 原因分析シート
- 対策事故防止検討委員会・目安 30分
7. 再発防止策を決め、ケアプランに反映する
環境の改善(ベッドの高さ・センサー)、手順の見直し、見守りの方法を決めます。
- 確かめること
- 対策が誰が・いつ・何をするかで書かれているか
- できあがるもの
- 再発防止策
- 報告管理者・安全対策担当者・目安 30分
8. 市町村に続報・最終報告を出す
原因分析と再発防止策を書いて報告します。
- 確かめること
- 報告漏れがないか
- できあがるもの
- 最終報告
- 共有管理者・安全対策担当者・目安 15分
9. 職員に事故と対策を共有する
会議や研修で伝え、同じ状況の利用者がいないか確認します。
- 確かめること
- 全職員に伝わったか(参加記録)
- できあがるもの
- 共有の記録
- 評価事故防止検討委員会・目安 15分
10. 1か月後に対策の効果を評価する
同じ事故・ヒヤリハットが起きていないかを確認します。
- 確かめること
- 対策を見直す必要があるか
- できあがるもの
- 評価記録
11. 事故の状況と処置の記録を保存する
基準の保存期間(2年、条例で5年の例)保存し、損害賠償保険の手続きも確認します。
- 確かめること
- 保険会社への連絡が必要か確認したか
- できあがるもの
- 保存記録
締めのチェックリスト
- 安全を確保し応援を呼んだか
- 救急要請の基準を確認したか
- 発生時の状況を事実で記録したか
- 家族への連絡を記録したか
- 市町村の報告基準に当たるか判断したか
- 第1報を期限内に出したか
- 4つの面から原因を分析したか
- 対策を具体的に決めたか
- 職員に共有したか
- 1か月後に評価したか
よくあるミスと防ぎ方
家族への連絡の遅れ
受診の結果を待ってから連絡すると、不信感につながります。発生後すぐに第一報を入れ、結果は後で伝えます。
「職員の不注意」で終わる分析
個人の問題にすると対策が「気をつける」だけになります。環境や手順の面から原因を探します。
市町村への報告漏れ
報告の基準は市町村ごとに違います。基準を手順書に書き、判断に迷ったら報告します。
測っておきたい指標
- 事故件数(種類別)
- 第1報の提出までの日数
- 再発件数
関係する法令・規格
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準ほか(事故発生の防止及び発生時の対応)
事故が起きたときは市町村・家族等に連絡し、必要な措置をとり、状況と処置を記録します。施設系では事故防止の指針・委員会・研修と安全対策担当者の配置が求められます。
介護保険施設等における事故の報告様式(厚生労働省、2021年3月通知)
市町村への報告の標準様式が示され、第1報は事故発生後少なくとも5日以内を目安とされています。
損害賠償
基準で、賠償すべき事故は速やかに損害賠償を行うことが定められています。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(医療・介護・12業務)
- 「介護事故の報告」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち2つは、自動化の候補です
よくある質問
- どんな事故を市町村に報告しますか
- 市町村が基準を定めています。一般には、医療機関の受診や入院を要したけが、誤薬、死亡、行方不明などです。事業所のある市町村の基準を確認します。
- ヒヤリハットも記録すべきですか
- 事故にならなかった事例を集めると、事故の前ぶれに気づけます。事故報告と同じように集計し、委員会で共有します。
- 事故報告書の作成を楽にするには
- 事故報告から市町村への報告書の作成までをジンベイ GenAppで仕組み化すると、記入漏れと提出漏れを防げます。