感染症発生時の対応の業務手順書テンプレート(介護事業所)
施設で感染症の疑いのある利用者・職員が出たときに、早く把握して拡大を防ぎ、医師と相談し、報告の基準に当たる場合は市町村と保健所に報告し、終息まで記録するまでの流れです。手順書にしておくと、初動の遅れや報告漏れ、ゾーニングの不徹底を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 感染症の発生を早く見つけ、広げず、決められた報告を行うための手順です。
- 範囲
- 発生の把握から、隔離・ゾーニング、医師への連絡、家族への連絡、行政への報告、終息の判断、振り返りまで。平時の対策(委員会・研修・訓練)は感染対策ラウンドで扱います。
- 始まるきっかけ
- 発熱・嘔吐・下痢などの症状のある利用者・職員が出たとき、または同じ症状の人が続いたとき
- 頻度・量の目安
- 随時(流行期の冬季に多い)
- 使う書類・システム
- 感染症対策の指針・マニュアル、健康観察表(利用者・職員)、発生状況の一覧(ラインリスト)、業務継続計画(BCP)、個人防護具(マスク・手袋・ガウン)
担当と役割
介護職員・看護職員
症状の発見と報告、ケア時の感染対策
感染対策担当者
発生状況の把握、ゾーニング、消毒の指示
施設長(管理者)
行政への報告、家族・関係者への連絡、事業継続の判断
配置医師・協力医療機関
診断と治療、対策の助言
手順(11ステップ)
- 把握介護職員・看護職員・目安 即時
1. 症状のある人に気づいたら、看護職員と感染対策担当者に報告する
発症日時・症状・体温・食事・同室者を報告します。
- 確かめること
- 同じ症状の人が他にいないか
- できあがるもの
- 報告
- 初動看護職員・目安 30分
2. 居室で個別ケアにし、標準予防策と経路別対策を始める
嘔吐物は使い捨ての手袋・マスク・エプロンで処理し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
- 確かめること
- 嘔吐物処理セットを使い、手順どおりに処理したか
- できあがるもの
- 初動の記録
- 医師看護職員・目安 15分
3. 配置医師・協力医療機関に連絡し、指示を受ける
症状・経過を伝え、検査・受診の要否を相談します。
- 確かめること
- 医師の指示を記録したか
- できあがるもの
- 医師の指示記録
4. 発生状況の一覧を作り、毎日更新する
利用者・職員ごとの発症日・症状・検査結果・居室・回復日を一覧にします。
- 確かめること
- 職員の発症も含めたか
- できあがるもの
- 発生状況の一覧
- ゾーニング感染対策担当者・目安 1時間
5. 感染者の区域と、それ以外の区域を分ける
担当職員を分け、物品・動線を区別します。
- 確かめること
- 担当職員が区域をまたいでいないか
- できあがるもの
- ゾーニング図
- 報告施設長(管理者)・目安 30分
6. 報告の基準に当たる場合、市町村と保健所に報告する
同じ感染症による死亡者・重篤患者が1週間内に2名以上、患者が10名以上または全利用者の半数以上、などの場合に報告します。
- 確かめること
- 報告の基準に当たるか毎日確認したか
- できあがるもの
- 市町村・保健所への報告
- 届出配置医師・協力医療機関・目安 ―
7. 感染症法の届出が必要な疾患の場合、医師が保健所に届け出る
全数届出の疾患(腸管出血性大腸菌感染症など)は医師が届け出ます。
- 確かめること
- 施設として医師の届出の有無を確認したか
- できあがるもの
- 届出の確認
- 連絡施設長(管理者)・目安 1時間
8. 家族とケアマネジャー・関係事業所に知らせる
発生状況と面会の制限、サービスの変更を伝えます。
- 確かめること
- 面会制限の期間と理由を伝えたか
- できあがるもの
- 連絡記録
- 継続施設長(管理者)・目安 随時
9. 職員の欠勤が増えた場合、業務継続計画に沿って体制を組み直す
優先する業務(食事・排泄・服薬)を決め、応援の要請を検討します。
- 確かめること
- 最低限の人員を確保できているか
- できあがるもの
- 勤務体制の変更記録
- 終息感染対策担当者・目安 15分
10. 最後の発症から潜伏期間の2倍程度など、医師と相談して終息を判断する
終息を行政・家族に伝え、通常の運営に戻します。
- 確かめること
- 終息の判断の根拠を記録したか
- できあがるもの
- 終息の記録
- 振り返り感染対策担当者・目安 1時間
11. 感染対策委員会で発生の経過と対応を振り返る
初動・報告・ゾーニングで良かった点と改善点を話し合い、マニュアルを改訂します。
- 確かめること
- マニュアルを改訂したか
- できあがるもの
- 委員会議事録
締めのチェックリスト
- 症状のある人をすぐ報告したか
- 嘔吐物を手順どおり処理したか
- 医師の指示を記録したか
- 発生状況の一覧を毎日更新したか
- ゾーニングで担当職員を分けたか
- 行政への報告の基準を毎日確認したか
- 医師の届出の有無を確認したか
- 家族・関係者に連絡したか
- 業務継続の体制を確認したか
- 委員会で振り返ったか
よくあるミスと防ぎ方
初動の遅れ
「様子を見よう」と隔離が遅れると、一気に広がります。症状があればまず個別ケアにします。
報告の基準の見落とし
人数を数えていないと、報告の基準を超えたことに気づけません。一覧で毎日数えます。
嘔吐物の不適切な処理
アルコールはノロウイルスに効きにくいです。次亜塩素酸ナトリウムで処理します。
測っておきたい指標
- 発症から隔離開始までの時間
- 発生から終息までの日数
- 二次感染の人数
関係する法令・規格
社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について(厚生労働省通知)
同一の感染症等による死亡者・重篤患者が1週間内に2名以上、患者が10名以上または全利用者の半数以上、通常の発生動向を上回る場合などは、施設長が市町村等と保健所に報告します。
介護保険施設の運営基準(感染症の予防及びまん延の防止)
施設系サービスでは、感染対策委員会(おおむね3月に1回以上)・指針・研修・訓練が求められます。2024年度からは全サービスで感染症対策と業務継続計画の策定が義務になりました。
感染症法
医師は、全数届出の疾患を診断したときなどに保健所へ届け出ます。新型コロナウイルス感染症は2023年5月8日から5類感染症です。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(医療・介護・12業務)
- 「感染症発生時の対応」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- どんなときに保健所へ報告しますか
- 厚生労働省の通知で、同じ感染症による死亡者・重篤患者が1週間内に2名以上、患者が10名以上または全利用者の半数以上などの場合とされています。
- 職員が感染したときの出勤の目安は
- 疾患ごとに医師の判断や施設の基準で決めます。インフルエンザなどは学校保健安全法の出席停止期間を参考にする施設が多くあります。
- 発生状況の一覧を楽に作るには
- 健康観察の記録をジンベイ GenAppに集め、発症者の一覧と報告の基準の判定を自動で出すと、担当者の負担が減ります。