事業性融資の申込受付の業務手順書テンプレート(金融機関)
事業者から融資の相談を受け、資金使途と返済原資を聞き取り、決算書などの書類を集めて確認し、取引時確認と反社チェックを経て、審査部に稟議を上げるまでの流れです。手順書にしておくと、書類の不足による審査の遅れや、経営者保証の説明漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 融資の申込みを、必要な情報と書類がそろった状態で、早く審査に回すための手順です。
- 範囲
- 融資の相談から、聞き取り、書類の回収と確認、本人確認・反社チェック、稟議書の作成、結果の連絡まで。
- 始まるきっかけ
- 取引先から運転資金・設備資金の借入れの相談があったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・担当者1人あたり月5〜20件
- 使う書類・システム
- 融資申込書、決算書(3期分)・税務申告書・試算表、資金繰り表・事業計画書、見積書(設備資金)、登記事項証明書・納税証明書
担当と役割
融資担当(渉外・窓口)
相談の受付、聞き取り、書類の回収、稟議書の作成
融資役席
内容の確認、支店決裁の判断
審査部
本部決裁の案件の審査
事務担当
取引時確認・反社チェック・システム登録
手順(10ステップ)
- 相談融資担当(渉外・窓口)・目安 30〜60分
1. 資金使途・金額・期間・返済方法を聞き取る
運転資金なら売上と仕入の時期のずれ、設備資金なら設備の内容と効果を聞きます。
- 確かめること
- 資金使途と金額の根拠が説明できるか
- できあがるもの
- 面談記録
- 書類融資担当(渉外・窓口)・目安 10分
2. 必要書類の一覧を渡し、回収する
決算書3期分、直近の試算表、資金繰り表、設備資金なら見積書を依頼します。
- 確かめること
- 書類の期日(試算表が直近か、納税証明書の発行日)を確認したか
- できあがるもの
- 提出書類チェックリスト
3. 取引時確認と反社チェックを行う
法人は登記事項証明書で本人特定事項を、実質的支配者を申告で確認し、代表者・実質的支配者・保証人を反社データベースで照会します。
- 確かめること
- 照会結果を記録したか
- できあがるもの
- 取引時確認記録・反社チェック記録
4. 決算書を分析し、返済能力を確かめる
売上・利益の推移、自己資本、借入の残高と年間返済額、キャッシュフローを見ます。
- 確かめること
- 年間返済額がキャッシュフローの範囲内か
- できあがるもの
- 財務分析シート
- 確認融資担当(渉外・窓口)・目安 30分
5. 資金使途を裏づける資料を確認する
設備資金は見積書・契約書、運転資金は受注書・入金予定などを確認します。
- 確かめること
- 融資金が説明どおりに使われる見込みか
- できあがるもの
- 資金使途の確認記録
- 保全融資担当(渉外・窓口)・目安 30分
6. 保証・担保の方針を決め、経営者保証の必要性を検討する
信用保証協会の利用や、経営者保証に頼らない融資の可能性を検討します。
- 確かめること
- 経営者保証を求める場合、どの部分が十分でないか・どうすれば外せるかを説明し、記録したか
- できあがるもの
- 保全方針・説明記録
7. 稟議書を作る
案件の概要、資金使途、返済財源、財務の評価、保全、リスクと対応を書きます。
- 確かめること
- 結論と根拠が書かれているか
- できあがるもの
- 稟議書
8. 稟議書を確認し、決裁または本部へ回付する
支店の決裁権限を超える場合は審査部に回付します。
- 確かめること
- 決裁権限の判断が正しいか
- できあがるもの
- 決裁・回付の記録
- 審査審査部・目安 数日
9. 本部決裁の案件を審査する
支店への照会と回答を経て結論を出します。
- 確かめること
- 照会の回答期限を管理しているか
- できあがるもの
- 審査結果
- 連絡融資担当(渉外・窓口)・目安 15分
10. 結果を伝え、承認なら契約手続きに進む
金利・期間・返済方法・保証の条件を説明します。否決の場合も丁寧に伝えます。
- 確かめること
- 条件の説明を記録したか
- できあがるもの
- 結果連絡の記録
締めのチェックリスト
- 資金使途と金額の根拠を聞いたか
- 決算書3期分と試算表がそろったか
- 取引時確認をしたか
- 反社チェックをしたか
- 返済能力を確かめたか
- 資金使途の裏づけ資料があるか
- 経営者保証の説明を記録したか
- 稟議書に結論と根拠があるか
- 決裁権限を確認したか
- 条件を説明したか
よくあるミスと防ぎ方
書類の後出しで審査が遅れる
最初に一覧を渡さないと、何度も依頼することになります。チェックリストで一度に依頼します。
資金使途の確認不足
説明と違う使い方をされると、返済が滞る原因になります。見積書や受注書で裏づけます。
経営者保証の説明漏れ
2023年4月から、保証を求める場合の説明と記録が監督指針で求められています。説明の内容を面談記録に残します。
測っておきたい指標
- 相談から結果連絡までの日数
- 書類の再依頼の回数
- 経営者保証に頼らない融資の割合
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
犯罪収益移転防止法(取引時確認)
融資取引の際は、顧客の本人特定事項・取引目的・事業内容、法人の実質的支配者などを確認し、確認記録を7年間保存します。
経営者保証に関するガイドライン・監督指針(2023年4月改正)
金融機関が経営者保証を求める場合は、どの部分が十分でないために保証が必要か、どうすれば変わるかを具体的に説明し、その内容を記録します。
銀行法12条の2(情報の提供等)
預金者等の保護のため、商品の内容など重要な事項の説明が求められます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(金融・保険・12業務)
- 「事業性融資の申込受付」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 必要書類は何ですか
- 一般に、決算書・税務申告書(3期分)、直近の試算表、資金繰り表、登記事項証明書、納税証明書です。設備資金では見積書なども必要です。
- 経営者保証は必ず必要ですか
- 経営者保証に関するガイドラインで、法人と個人の資産の分離、財務基盤、適時の情報開示などの条件を満たせば、保証を求めないことが検討されます。
- 決算書の入力を減らすには
- 決算書をジンベイ GenOCRで読み取り、財務分析シートに自動で入れると、分析までの時間を短くできます。