取引時確認(本人確認)の業務手順書テンプレート(金融機関)
口座開設などの取引の際に、犯罪収益移転防止法に沿って本人特定事項・取引目的・職業(事業内容)・実質的支配者を確かめ、確認記録を作って7年間保存するまでの流れです。手順書にしておくと、確認書類の不備や、法人の実質的支配者の確認漏れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 法令で決められた事項を、決められた方法で確かめ、記録を残すための手順です。
- 範囲
- 取引時確認が必要な取引の受付から、確認、記録の作成、保存、継続的な顧客管理まで。
- 始まるきっかけ
- 口座開設、200万円を超える現金の取引、融資契約などの特定取引の申込みがあったとき
- 頻度・量の目安
- 毎日・窓口1か所あたり1日数件〜数十件
- 使う書類・システム
- 申込書、本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)、登記事項証明書(法人)、実質的支配者の申告書、確認記録
担当と役割
窓口担当
申込みの受付、本人確認書類の確認
役席者
確認内容の検証、高リスク取引の承認
事務担当
確認記録の作成と保存、システム登録
マネロン対策の統括部署
リスク評価、疑わしい取引の判断
手順(10ステップ)
- 判断窓口担当・目安 2分
1. 取引が取引時確認の対象(特定取引)かを判断する
口座開設、200万円を超える現金取引、10万円を超える現金送金などを確認します。
- 確かめること
- すでに確認済みの顧客か(確認記録の検索)
- できあがるもの
- 対象の判断
- 個人窓口担当・目安 3分
2. 本人確認書類で氏名・住居・生年月日を確かめる
顔写真付きの書類は提示を受け、本人と照合します。顔写真のない書類は、もう1種類の書類の提示や郵送での確認を組み合わせます。
- 確かめること
- 書類の有効期限と、申込書との一致を確かめたか
- できあがるもの
- 本人確認の結果
- 目的窓口担当・目安 2分
3. 取引の目的と職業を申告してもらう
生計費の決済、事業費の決済、給与受取などの選択肢から選んでもらいます。
- 確かめること
- 申告内容が取引の内容と矛盾していないか
- できあがるもの
- 申告の記録
- 法人窓口担当・目安 10分
4. 法人は登記事項証明書で名称・所在地を、事業内容を定款などで確かめる
来店した取引担当者についても本人確認と、法人のために取引する権限を確かめます。
- 確かめること
- 取引担当者の権限を委任状などで確認したか
- できあがるもの
- 法人の確認結果
- 法人窓口担当・目安 5分
5. 法人の実質的支配者を申告してもらう
議決権の25%を超えて持つ自然人などを、氏名・住居・生年月日で申告してもらいます。
- 確かめること
- 該当者がいない場合の判断(代表者など)が正しいか
- できあがるもの
- 実質的支配者の申告
- 非対面事務担当・目安 自動
6. オンラインの申込みでは、ICチップの読み取りなど認められた方法で確認する
公的個人認証やICチップの情報の読み取りで確認します。画像を送る方法は2027年4月に廃止される予定です。
- 確かめること
- 採用している方法が改正後も使えるか
- できあがるもの
- 非対面の確認結果
7. なりすましの疑い、外国PEPs、特定の国に関わる取引などは厳格な確認をする
追加の本人確認書類と、200万円を超える財産の移転を伴う取引では資産・収入の状況を確かめます。
- 確かめること
- 統括管理者の承認を得たか
- できあがるもの
- 厳格な確認の記録
8. 確認記録を作る
確認した事項、確認の方法、書類の名称と番号、確認日、担当者を記録します。
- 確かめること
- 記録の項目がすべて埋まったか
- できあがるもの
- 確認記録
- 保存事務担当・目安 ―
9. 確認記録を取引が終わった日から7年間保存する
取引記録もあわせて7年間保存します。
- 確かめること
- 保存期間の起算日を正しく管理しているか
- できあがるもの
- 保存記録
10. 顧客情報を定期的に更新し、リスクを見直す
リスクに応じた頻度で、住所・職業・取引目的の変更を確認します。
- 確かめること
- 取引の内容が申告と大きく違う顧客がいないか
- できあがるもの
- 顧客情報の更新記録
締めのチェックリスト
- 特定取引かを判断したか
- 確認済み顧客か検索したか
- 本人確認書類の有効期限を確かめたか
- 取引目的と職業を申告してもらったか
- 法人の取引担当者の権限を確かめたか
- 実質的支配者を申告してもらったか
- 非対面の確認方法が認められたものか
- 高リスク取引で厳格な確認をしたか
- 確認記録の項目が埋まったか
- 7年間保存しているか
よくあるミスと防ぎ方
実質的支配者の確認漏れ
法人の申込みで、議決権の多い個人を確認し忘れることがあります。申告書の欄を必須にします。
住所の不一致の見落とし
申込書と書類の住所が違うまま受け付けると、確認ができていないことになります。現住所が分かる補完書類を求めます。
改正への対応遅れ
2027年4月から、非対面の本人確認で画像を送る方法が使えなくなる予定です。ICチップの読み取りなどへの切替えを計画します。
測っておきたい指標
- 確認記録の不備件数
- 取引時確認にかかる時間
- 顧客情報の更新率
関係する法令・規格
犯罪収益移転防止法4条(取引時確認)
特定事業者は、特定取引の際に本人特定事項、取引の目的、職業・事業内容、法人の実質的支配者を確認します。ハイリスク取引ではより厳格な確認を行います。
犯罪収益移転防止法6条・7条(確認記録・取引記録)
確認記録と取引記録を作り、7年間保存します。
犯罪収益移転防止法施行規則の改正(2025年6月公布)
非対面の本人確認で、本人確認書類の画像と容貌の画像を送る方法などが2027年4月1日に廃止され、ICチップの読み取りや公的個人認証が中心になる予定です。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(金融・保険・12業務)
- 「取引時確認(本人確認)」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- 一度確認した顧客にも毎回確認が必要ですか
- 確認記録を検索し、本人であることを確かめられれば、取引時確認を省略できる場合があります(なりすましの疑いなどがある場合を除く)。
- 実質的支配者とは誰ですか
- 株式会社などでは、議決権の25%を超えて直接・間接に持つ自然人が基本です。いない場合は事業活動に支配的な影響力を持つ人、それもいない場合は代表者が該当します。
- 確認記録の作成を楽にするには
- 本人確認書類をジンベイ GenOCRで読み取り、確認記録の項目を自動で埋めると、記入漏れと時間を減らせます。