労働保険の年度更新の業務手順書テンプレート(業種共通)
毎年6月1日〜7月10日に、前年度に払った賃金で労災保険・雇用保険の保険料を確定し、今年度の概算保険料とあわせて申告・納付します。手順書にしておくと、賃金の集計漏れや対象者の区分の誤りを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 労働保険料を正しく計算し、期限内に申告・納付することを目的にします。
- 範囲
- 前年度(4月〜翌3月)の賃金の集計から、申告書の作成、申告・納付、延納の管理まで。
- 始まるきっかけ
- 毎年6月上旬(労働局から申告書が届いたとき)
- 頻度・量の目安
- 年1回(延納の場合は年3回納付)
- 使う書類・システム
- 年度更新申告書(労働局から届くもの)、賃金台帳(前年4月〜当年3月)、雇用保険の被保険者の一覧、役員・出向者の一覧
担当と役割
給与担当
賃金の集計、対象者の区分
人事担当
申告書の作成・提出
経理担当
納付と記帳
手順(10ステップ)
- 準備人事担当・目安 15分
1. 届いた申告書の労働保険番号・料率・事業の種類を確認する
今年度の保険料率は厚生労働省の発表で確認する。
- 確かめること
- 料率が今年度のものか
- できあがるもの
- 確認記録
2. 前年4月〜当年3月に支払が確定した賃金を月ごとに集計する
賞与・通勤手当・残業代を含める。役員報酬・退職金・祝金などは含めない。
- 確かめること
- 含める・含めないの区分どおりか
- できあがるもの
- 賃金の集計表
3. 労災保険の対象(全従業員)と雇用保険の対象(被保険者)を分けて集計する
雇用保険の被保険者でないパート、兼務役員の役員報酬部分などに注意する。
- 確かめること
- 雇用保険の対象者が被保険者の一覧と一致するか
- できあがるもの
- 区分別の集計
- 区分給与担当・目安 30分
4. 出向者がいる場合は、労災は出向先、雇用保険は主に賃金を払う側で計上する
出向契約の内容を確認する。
- 確かめること
- 出向者の扱いを確認したか
- できあがるもの
- 出向者の扱いの記録
5. 前年度の確定保険料と、今年度の概算保険料を計算する
概算保険料は、今年度の賃金見込みが前年度の半分〜2倍の範囲なら前年度の賃金額で計算できる。
- 確かめること
- 申告済みの概算保険料との差額を出したか
- できあがるもの
- 計算結果
- 計算人事担当・目安 10分
6. 一般拠出金(石綿健康被害救済のため)を計算する
労災保険の対象賃金に一般拠出金率をかける。
- 確かめること
- 一般拠出金を含めたか
- できあがるもの
- 一般拠出金の額
- 延納人事担当・目安 10分
7. 延納(3回分割)ができるか確認する
概算保険料が40万円以上(労災か雇用のどちらかのみの場合は20万円以上)などの要件がある。
- 確かめること
- 延納の要件を満たすか
- できあがるもの
- 延納の判断
8. 6月1日〜7月10日に電子申請または労働基準監督署・金融機関で申告・納付する
電子申請(e-Gov)なら口座振替も使える。
- 確かめること
- 7月10日までに申告したか
- できあがるもの
- 申告書の控え
- 納付経理担当・目安 20分
9. 保険料を納付し、従業員負担分(雇用保険)と会社負担分を記帳する
延納の場合は2回目・3回目の期限をカレンダーに入れる。
- 確かめること
- 次回の納付期限を登録したか
- できあがるもの
- 納付記録・仕訳
- 保存人事担当・目安 10分
10. 申告書の控えと集計資料を保存する
労働保険の書類は3年(雇用保険の被保険者に関する書類は4年)保存する。
- 確かめること
- 保存期限を記録したか
- できあがるもの
- 保存記録
締めのチェックリスト
- 今年度の料率を確認した
- 前年度の賃金を月ごとに集計した
- 賃金に含めるもの・含めないものを区分した
- 労災と雇用保険の対象を分けた
- 出向者の扱いを確認した
- 確定と概算の差額を出した
- 一般拠出金を含めた
- 延納の要否を判断した
- 7月10日までに申告・納付した
よくあるミスと防ぎ方
役員報酬を雇用保険の賃金に含める
役員は原則として対象外です。兼務役員は労働者としての賃金部分だけを含めます。
雇用保険の対象外のパートを含める
週20時間未満など被保険者でない人の賃金は、雇用保険の集計から外します(労災には含めます)。
支払日ではなく対象期間で集計してずれる
賃金の締め日・支払日の扱いを決め、毎年同じ基準で集計します。
測っておきたい指標
- 申告の期限内完了
- 申告後の訂正件数
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
毎年6月1日〜7月10日に確定保険料と概算保険料を申告・納付
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「労働保険の年度更新」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち4つは、自動化の候補です
ジンベイ GenRPA
システムへの転記や画面操作の自動化
- 手順2:前年4月〜当年3月に支払が確定した賃金を月ごとに集計する
- 手順5:前年度の確定保険料と、今年度の概算保険料を計算する
- 手順8:6月1日〜7月10日に電子申請または労働基準監督署・金融機関で申告・納付する
よくある質問
- 年度更新を忘れるとどうなりますか?
- 労働局が保険料を決定し、追徴金がかかる場合があります。期限を年間カレンダーに入れておきます。
- 通勤手当は賃金に含めますか?
- 含めます。所得税で非課税の通勤手当も労働保険の賃金に入ります。
- 建設業など事業の種類で違いはありますか?
- 建設業の元請工事などは、労災保険を工事ごとに扱うなど計算方法が異なります。労働局の案内で確認します。