衛生管理の日次点検(HACCP)の業務手順書テンプレート(小売・飲食)
衛生管理の日次点検は、飲食店や惣菜売場で、業界団体の手引書をもとにした衛生管理の計画に沿って、毎日の体調確認・手洗い・温度管理・清掃を行い、記録する業務です。手順書にしておくと、記録の付け忘れや、問題があったときの対応のばらつきを防ぎ、食中毒のリスクを下げられます。
この手順書の範囲
- 目的
- 毎日の衛生管理を計画どおりに行い、問題があったときの対応と記録を残します。
- 範囲
- 始業前から閉店までの一般的な衛生管理(体調・手洗い・温度・交差汚染・清掃)と、記録の確認まで。加熱・冷却の温度管理は「加熱調理と冷却の温度管理」の手順書で扱います。
- 始まるきっかけ
- 毎日の始業時、作業の切り替え時、閉店時。
- 頻度・量の目安
- 毎日。記録は1日5〜10分、確認は週1回
- 使う書類・システム
- 衛生管理計画(業界団体の手引書をもとに作成)、HACCPの記録表(温度・清掃・手洗い・体調)、温度計、洗剤・消毒剤(アルコール・次亜塩素酸ナトリウム)、清掃の手順
担当と役割
店長(衛生責任者)
衛生管理の計画の作成、記録の確認、問題の対応
調理担当
体調申告、手洗い、温度確認、清掃
ホール・売場担当
手洗い、客席・売場の清掃
手順(13ステップ)
- 計画店長・目安 2時間
1. 衛生管理計画を作る
業界団体の手引書をもとに、原材料の受け入れ・冷蔵庫の温度・交差汚染の防止・器具の洗浄消毒・トイレの清掃・体調管理・手洗いの方法と頻度を決めます。
- 確かめること
- 店のメニューと設備に合っているか
- できあがるもの
- 衛生管理計画
- 体調店長・目安 1人1分
2. 始業時に従業員の体調を確かめる
下痢・嘔吐・発熱・手指の傷の有無を確かめ、記録します。
- 確かめること
- 症状がある人を調理や盛り付けに入れていないか
- できあがるもの
- 体調確認の記録
- 手洗い調理担当・目安 1回30秒以上
3. 決められた手順で手を洗う
調理前、トイレの後、生肉・生魚・卵を触った後、清掃の後に、石けんで洗い、消毒します。
- 確かめること
- 手洗いの場所に石けん・ペーパータオル・消毒剤があるか
- できあがるもの
- 手洗いの実施
4. 冷蔵庫・冷凍庫の温度を記録する
開店前と閉店前など1日2回以上、温度を読んで記録します。
- 確かめること
- 冷蔵10℃以下・冷凍−15℃以下(計画で決めた基準)か
- できあがるもの
- 温度の記録
- 温度店長・目安 15分
5. 温度が基準を外れたときに対応する
扉の閉め忘れ・詰め込みすぎ・故障を確かめ、食材の状態を見て使用・廃棄を判断し、修理を手配します。
- 確かめること
- 対応の内容を記録したか
- できあがるもの
- 対応の記録
- 交差汚染調理担当・目安 2分
6. 生の肉・魚と、そのまま食べる食材を分ける
保管は生肉を下段にし、まな板・包丁を色分けして使い分けます。
- 確かめること
- 生肉の汁がサラダ用の食材に付く置き方をしていないか
- できあがるもの
- 交差汚染の確認
- 器具調理担当・目安 作業により
7. まな板・包丁・ふきんを洗浄・消毒する
使用後に洗剤で洗い、熱湯や消毒剤で消毒し、乾かします。
- 確かめること
- 生肉に使った器具をそのまま他の食材に使っていないか
- できあがるもの
- 器具の洗浄
- 清掃ホール担当・目安 10分
8. トイレを清掃・消毒する
便座・ドアノブ・水栓などを決められた頻度で清掃し、消毒します。
- 確かめること
- 清掃の記録をつけたか
- できあがるもの
- トイレの清掃記録
- 清掃調理担当・目安 20〜30分
9. 閉店時に厨房を清掃する
調理台・床・排水口・冷蔵庫の取っ手を清掃します。
- 確かめること
- 排水口のごみを取り除いたか
- できあがるもの
- 厨房の清掃記録
- ごみ調理担当・目安 5分
10. ごみを決められた場所に出す
ふた付きの容器に入れ、厨房の外の決められた場所に出します。
- 確かめること
- 生ごみを厨房に一晩置いていないか
- できあがるもの
- ごみの処理
11. 記録表の全ての欄を記入する
温度・清掃・手洗い・体調の欄に、実施した内容と担当者名を書きます。
- 確かめること
- 空欄がないか
- できあがるもの
- 記録表
- 確認店長・目安 15分
12. 週1回、記録を確かめる
記録の空欄、基準を外れた日の対応を確かめて署名します。
- 確かめること
- 問題が繰り返されていないか
- できあがるもの
- 確認済みの記録表
- 見直し店長・目安 30分
13. 問題があれば計画を見直す
同じ問題が繰り返される場合やメニューを変えた場合に、計画を見直します。保健所の指導があれば反映します。
- 確かめること
- 見直した内容を従業員に伝えたか
- できあがるもの
- 計画の見直し
締めのチェックリスト
- 衛生管理計画が店のメニューと設備に合っている
- 従業員の体調を確かめて記録した
- 症状のある人を調理に入れていない
- 手洗いの場所に石けん・ペーパータオル・消毒剤がある
- 冷蔵・冷凍の温度を1日2回以上記録した
- 温度の異常に対応し記録した
- 生の肉・魚と生食用の食材を分けた
- 器具を洗浄・消毒した
- トイレと厨房を清掃した
- 記録表に空欄がなく、店長が週1回確かめた
よくあるミスと防ぎ方
記録をまとめて後から書く
実際の温度や清掃の状態が分からなくなります。作業のその場で記入します。
体調の悪い従業員が無理に出勤する
ノロウイルスなどの食中毒の原因になります。症状があれば申告しやすい雰囲気をつくり、調理に入れない決まりにします。
基準を外れても記録だけする
温度が基準を外れたら、原因の確認・食材の判断・修理まで行い、対応を記録します。
測っておきたい指標
- 記録の記入率
- 温度の基準外の件数
- 保健所の指摘件数
関係する法令・規格
食品衛生法(HACCPに沿った衛生管理)
2021年6月から、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。小規模な飲食店・小売店は、業界団体の手引書に沿った「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」で、計画・実施・記録を行います。
食品衛生法(営業許可・食品衛生責任者)
飲食店などの営業には保健所の許可が必要で、施設ごとに食品衛生責任者を置きます。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(小売・飲食・12業務)
- 「衛生管理の日次点検(HACCP)」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち2つは、自動化の候補です
よくある質問
- 記録はどのくらいの期間保存すればよいですか。
- 業界団体の手引書では、1年程度の保存を目安としているものが多くあります。店の計画で保存期間を決めておきます。
- 記録の付け忘れを減らしたいです。
- タブレットで記録し、決まった時刻に入力がなければ知らせる仕組みを ジンベイ GenApp で作れます。手書きの記録表は ジンベイ GenOCR で読み取れます。
- どの手引書を使えばよいですか。
- 厚生労働省のウェブサイトに、業種ごとに業界団体が作った手引書が公開されています。自店の業種(一般飲食店・惣菜製造など)に合うものを使います。