お客様からの苦情対応の業務手順書テンプレート(小売・飲食)
お客様からの苦情対応は、商品の不良・異物混入・体調不良・接客などの苦情を受けたときに、事実を聞き取り、現品を確保し、必要な連絡をして、原因を調べて回答し、再発を防ぐ業務です。手順書にしておくと、初動の誤りで食中毒の被害が広がることや、担当者ごとに対応が違うことによる問題の拡大を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 苦情に誠実に、同じ手順で対応し、健康被害の拡大を防ぎ、同じ苦情を繰り返さないようにします。
- 範囲
- 店頭・電話・メールでの苦情の受付から、初動・連絡・原因調査・回答・再発防止まで。
- 始まるきっかけ
- お客様から店頭・電話・メール・口コミサイトなどで苦情が寄せられたとき。
- 頻度・量の目安
- 随時。月数件〜数十件
- 使う書類・システム
- 苦情の受付記録(問い合わせ・クレーム管理表)、現品・レシート、製造・仕込み・温度の記録(HACCPの記録)、仕入先・製造元の連絡先、本部への報告様式
担当と役割
受付担当(店頭の従業員)
苦情の受付と聞き取り、店長への引き継ぎ
店長
初動の判断、お客様への回答、本部・保健所への連絡
本部(品質管理・お客様相談)
重大な苦情の対応、仕入先・製造元との調整
調理担当・売場担当
原因の調査への協力
手順(14ステップ)
- 受付受付担当・目安 5〜15分
1. お客様の話を最後まで聞く
さえぎらずに聞き、ご不便をおかけしたことにお詫びします(事実を確かめる前に原因を認めたり否定したりしません)。
- 確かめること
- 話をさえぎっていないか
- できあがるもの
- 受付
2. 事実を聞き取って記録する
購入日時・商品・状態・何が起きたか・お客様の連絡先と希望を記録します。
- 確かめること
- いつ・どこで・何が・どうなったかを聞いたか
- できあがるもの
- 苦情の受付記録
- 引き継ぎ受付担当・目安 即時
3. すぐに店長に引き継ぐ
異物混入・体調不良・けがは特に、すぐに店長に伝えます。
- 確かめること
- 重大な苦情を店長が当日中に把握したか
- できあがるもの
- 店長への報告
- 現品店長・目安 5分
4. 現品とレシートを確保する
異物や商品を預かり、袋に入れて保管します(洗ったり捨てたりしません)。預かり証を渡します。
- 確かめること
- 現品を変化させずに保管したか
- できあがるもの
- 預かった現品
- 体調不良店長・目安 10分
5. 体調不良の場合は医療機関の受診を勧める
症状・発症の時刻・一緒に食べた人・食べたものを聞き、受診を勧めます。
- 確かめること
- 同じ日に同じ料理を食べた他のお客様の苦情がないか
- できあがるもの
- 体調不良の記録
- 初動店長・目安 即時
6. 食中毒の疑いがあれば保健所と本部に連絡する
複数のお客様が同じ症状を訴えている場合など、食中毒の疑いがあればすぐに保健所に相談し、指示に従います。
- 確かめること
- 該当の料理・商品の提供・販売を止めたか
- できあがるもの
- 保健所・本部への連絡
- 販売停止店長・目安 10分
7. 同じロットの商品を売場から下げる
異物・不良の苦情は、同じ商品・同じロットを売場から下げ、在庫を確かめます。
- 確かめること
- 同じロットの在庫を確かめたか
- できあがるもの
- 販売停止の記録
- 調査調理担当・売場担当・目安 1時間
8. 製造・仕込み・保管の記録を確かめる
その日の仕込みの記録、温度の記録、従業員の体調の記録、作業の状況を確かめます。
- 確かめること
- 記録に問題がないか
- できあがるもの
- 調査の結果
- 製造元本部・目安 30分
9. 仕入れた商品は製造元に調査を依頼する
現品と情報を製造元に送り、調査と回答を依頼します。
- 確かめること
- 回答の期限を決めたか
- できあがるもの
- 調査の依頼
- 回答店長・目安 30分
10. お客様に調査の結果と対応を伝える
分かった事実・原因・今後の対策を伝え、返金・交換など必要な対応をします。
- 確かめること
- 約束した期限までに連絡したか
- できあがるもの
- 回答の記録
- 回収本部・目安 随時
11. 健康被害のおそれがあれば商品を回収する
食品衛生法の違反などで自主回収をする場合は、行政への届出を行い、店頭やウェブで告知します。
- 確かめること
- 届出が必要な回収か確かめたか
- できあがるもの
- 回収の記録
- 再発防止店長・目安 30分
12. 再発防止策を決める
原因に合わせて、作業手順・点検・検収・接客の方法を見直します。
- 確かめること
- 対策の担当と期限が決まっているか
- できあがるもの
- 再発防止策
- 共有店長・目安 5分
13. 従業員に苦情の内容と対策を共有する
朝礼などで、何が起き、何を変えるかを伝えます。
- 確かめること
- 全員に伝わったか
- できあがるもの
- 共有の記録
- 集計本部・目安 30分
14. 月次で苦情を分類して集計する
商品・接客・衛生・設備などに分け、店舗ごとの件数と傾向を見ます。
- 確かめること
- 同じ苦情が繰り返されていないか
- できあがるもの
- 月次の集計
締めのチェックリスト
- お客様の話を最後まで聞いた
- いつ・どこで・何が・どうなったかを記録した
- 重大な苦情を当日中に店長が把握した
- 現品を変化させずに保管し、預かり証を渡した
- 体調不良の場合に受診を勧めた
- 食中毒の疑いがあれば保健所と本部に連絡した
- 同じロットの商品を売場から下げた
- 製造・温度・体調の記録を確かめた
- 約束した期限までに回答した
- 再発防止策を決めて共有した
よくあるミスと防ぎ方
現品を捨ててしまう
原因が調べられなくなります。異物や商品はそのまま袋に入れて保管します。
その場で原因を決めつける
「当店のものではない」「必ず当店のミスです」と言うと、後で事実と違った場合に問題が大きくなります。調べてから回答すると伝えます。
食中毒の疑いを店だけで判断する
被害が広がるおそれがあります。疑いがあれば保健所に相談し、指示に従います。
測っておきたい指標
- 苦情件数(月・分類別)
- 初回回答までの時間
- 同じ原因の再発件数
関係する法令・規格
食品衛生法
食中毒の疑いがあるときは保健所に相談し、調査に協力します。食品衛生法の違反などで食品を自主回収する場合は、行政への届出が義務づけられています(2021年6月から)。
製造物責任法(PL法)
店で製造・加工した食品の欠陥で被害が出た場合、製造業者として責任を負うことがあります。
消費者契約法
苦情への対応や返金の条件で、消費者の権利を一方的に制限する扱いをしないようにします。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(小売・飲食・12業務)
- 「お客様からの苦情対応」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
14手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- お客様が強く怒っている場合はどうしますか。
- 1人で対応せず、店長や他の従業員と一緒に対応します。お客様を別の場所に案内し、落ち着いて話を聞きます。不当な要求には応じず、本部と相談します。
- 口コミサイトに書かれた苦情にも対応すべきですか。
- 事実を確かめ、店として改善すべき点があれば対策をとります。返信できるサイトでは、お詫びと対策を簡潔に書きます。
- 苦情の記録を管理したいです。
- 受付から回答・再発防止までを1つの台帳で管理し、回答期限を知らせる仕組みを ジンベイ GenApp で作れます。