加熱調理と冷却の温度管理の業務手順書テンプレート(小売・飲食)
加熱調理と冷却の温度管理は、肉・魚・卵などを使う料理の中心まで十分に火が通ったかを温度計で確かめ、作り置きは速やかに冷やし、記録する業務です。手順書にしておくと、加熱不足や冷却の遅れによる食中毒(カンピロバクター・ウエルシュ菌など)のリスクを下げられます。
この手順書の範囲
- 目的
- 加熱と冷却の温度と時間を基準どおりに守り、記録で確かめられるようにします。
- 範囲
- 加熱調理の中心温度の確認から、冷却・冷蔵保管・再加熱・保温・提供までの温度管理と記録まで。
- 始まるきっかけ
- 加熱が必要なメニューを調理するとき、仕込みで大量に作り置きするとき。
- 頻度・量の目安
- 毎日。メニューごと・ロットごと
- 使う書類・システム
- 中心温度記録表、芯温計(中心温度計)、メニュー別の加熱方法と基準、冷却の設備(急速冷却機・氷水・浅い容器)、衛生管理計画
担当と役割
調理担当
中心温度の測定と記録、冷却、再加熱
店長(衛生責任者)
温度の基準の決定、記録の確認、温度計の管理
手順(13ステップ)
- 準備店長・目安 1時間
1. メニューごとに加熱の基準を決める
肉・魚・卵を使うメニューは中心温度75℃で1分以上、ノロウイルスのおそれがある二枚貝などは85〜90℃で90秒以上を目安とします。
- 確かめること
- 全ての加熱メニューに基準が決まっているか
- できあがるもの
- メニュー別の加熱基準
- 準備調理担当・目安 3分
2. 芯温計を点検する
電池の残量と、氷水(0℃付近)や沸騰したお湯(100℃付近)で値がずれていないか確かめます。
- 確かめること
- 値が大きくずれていないか
- できあがるもの
- 芯温計の点検記録
- 加熱調理担当・目安 メニューにより
3. 決められた方法で加熱する
火力・時間・量をメニューの方法どおりにします。
- 確かめること
- 一度に入れる量が多すぎないか
- できあがるもの
- 加熱
- 測定調理担当・目安 1分
4. 一番厚い部分の中心温度を測る
芯温計を一番厚い部分の中心に刺し、温度が上がりきるまで待って読みます。
- 確かめること
- 基準の温度に達し、その温度を決められた時間保ったか
- できあがるもの
- 中心温度
- 判断調理担当・目安 数分
5. 基準に届かなければ加熱を続ける
基準に届かない場合は加熱を続け、もう一度測ります。
- 確かめること
- 再度の測定で基準を満たしたか
- できあがるもの
- 再測定の結果
6. 中心温度記録表に記入する
メニュー名・測定時刻・温度・担当者を書きます。大量調理では1回ごと(ロットごと)に記録します。
- 確かめること
- ロットごとに記録したか
- できあがるもの
- 中心温度の記録
- 冷却調理担当・目安 30〜60分
7. 作り置きする料理を速やかに冷やす
浅い容器に小分けし、氷水や急速冷却機で冷やします。30分以内に中心温度20℃付近(または60分以内に10℃付近)を目安にします。
- 確かめること
- 常温で長く放置していないか
- できあがるもの
- 冷却の記録
- 保管調理担当・目安 2分
8. 冷やした料理を冷蔵庫に入れ、ラベルを貼る
調理日・時刻・料理名を書いたラベルを貼ります。
- 確かめること
- 店で決めた使用期限を書いたか
- できあがるもの
- 保管ラベル
- 再加熱調理担当・目安 作業により
9. 作り置きを再加熱するときも中心温度を確かめる
再加熱でも中心温度75℃で1分以上を目安にし、記録します。
- 確かめること
- 再加熱を何度も繰り返していないか
- できあがるもの
- 再加熱の記録
- 保温調理担当・目安 1分
10. 温かいまま提供する料理は65℃以上で保つ
スープ・カレーなどは保温機で65℃以上を保ち、時々温度を確かめます。
- 確かめること
- 保温の温度が下がっていないか
- できあがるもの
- 保温の温度記録
- 廃棄調理担当・目安 3分
11. 基準を外れた料理や期限を過ぎた料理を廃棄する
冷却が遅れた料理、使用期限を過ぎた作り置きは廃棄し、記録します。
- 確かめること
- 廃棄の理由を書いたか
- できあがるもの
- 廃棄の記録
- 確認店長・目安 10分
12. 毎日、記録を確かめる
記録の抜け、基準に届かなかった記録と対応を確かめて署名します。
- 確かめること
- 記録のないロットがないか
- できあがるもの
- 確認済みの記録
- 見直し店長・目安 30分
13. メニューを変えたら基準を見直す
新しいメニューは、加熱の方法と中心温度の基準を決めてから提供します。
- 確かめること
- 試作で中心温度を確かめたか
- できあがるもの
- 基準の見直し
締めのチェックリスト
- 全ての加熱メニューに中心温度の基準がある
- 芯温計の値を点検した
- 一番厚い部分の中心を測った
- 基準の温度と時間を満たした
- ロットごとに記録した
- 作り置きを浅い容器で速やかに冷やした
- 保管ラベルに調理日時と使用期限を書いた
- 再加熱でも中心温度を確かめた
- 保温は65℃以上を保った
- 店長が毎日記録を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
表面の色で火が通ったと判断する
鶏肉などは表面が焼けていても中が加熱不足のことがあります。芯温計で中心を測ります。
大鍋のまま冷ます
カレーやシチューを鍋のまま常温で冷ますと、ウエルシュ菌が増えます。浅い容器に小分けして速やかに冷やします。
再加熱を繰り返す
温度の上げ下げを繰り返すと菌が増えやすくなります。必要な量だけ再加熱します。
測っておきたい指標
- 中心温度の記録の記入率
- 基準に届かなかった件数
- 冷却の遅れによる廃棄の件数
関係する法令・規格
食品衛生法(HACCPに沿った衛生管理)
2021年6月から、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。小規模な飲食店・小売店は、業界団体の手引書に沿った「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」で、計画・実施・記録を行います。
大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省)
大量調理施設向けの指針で、中心温度75℃で1分以上(二枚貝等は85〜90℃で90秒以上)の加熱や、30分以内に20℃付近(または60分以内に10℃付近)までの冷却などが示されています。小規模な店でも目安として使われています。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(小売・飲食・12業務)
- 「加熱調理と冷却の温度管理」を含む12業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 全ての料理で中心温度を測る必要がありますか。
- 業界団体の手引書では、メニューを加熱の方法でグループに分け、グループごとに火の通りを確かめる方法も示されています。大量に作る料理や、肉・魚・卵を使う料理は温度計で測ると確実です。
- 中心温度の記録を楽にできますか。
- 測った温度をタブレットで記録し、基準に届かない場合に知らせる仕組みを ジンベイ GenApp で作れます。
- 冷却に時間がかかります。
- 浅い容器に小分けする、氷水で冷やす、かき混ぜて熱を逃がす、などで早く冷やせます。量が多い店は急速冷却機の導入も検討します。