電子取引データの保存の業務手順書テンプレート(業種共通)
メールやWebで受け取った請求書・領収書・契約書などを、改ざん防止と検索の要件を満たして保存します。手順書にしておくと、印刷だけで済ませる・保存場所がばらばらになる、といった違反を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 電子で受け取った取引の書類を、電子帳簿保存法の要件どおりに漏れなく保存することを目的にします。
- 範囲
- 電子で受け取った(送った)取引書類の受領・保存・検索・保存期間の管理まで。紙のスキャナ保存は扱いません。
- 始まるきっかけ
- メール添付・Webダウンロード・電子契約・クラウドの請求書サービスなどで取引の書類を受け取ったとき
- 頻度・量の目安
- 毎日(月数十〜数百件)
- 使う書類・システム
- 電子取引データの訂正・削除の防止に関する事務処理規程、保存用のフォルダ・システム、索引簿(取引日・取引先・金額)
担当と役割
受領者(全社員)
受け取った書類を決められた場所に保存
経理担当
保存状況の確認、検索項目の付与
経理責任者
事務処理規程の管理、年1回の点検
手順(10ステップ)
- 規程経理責任者・目安 初回のみ2時間
1. 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を作り、社内に周知する
国税庁が規程のひな形を公開している。タイムスタンプやシステムを使わない場合の改ざん防止策になる。
- 確かめること
- 規程の作成日と周知日を記録したか
- できあがるもの
- 事務処理規程
2. 電子で受け取った取引の書類を、受け取った日のうちに保存フォルダに入れる
メール本文に金額などが書いてある場合はメール自体も保存する。
- 確かめること
- 印刷だけで済ませていないか
- できあがるもの
- 保存されたファイル
3. ファイル名を「取引日_取引先_金額」の形にする
例: 20261031_東和精工_55000.pdf。日付は8桁、金額はカンマなし。
- 確かめること
- 名前のルールどおりか
- できあがるもの
- 検索できるファイル名
4. ファイル名で検索できない場合は索引簿に取引日・取引先・金額を記録する
ファイル名ルールか索引簿のどちらかで、3項目の検索ができればよい。
- 確かめること
- 3項目で検索できるか
- できあがるもの
- 索引簿の1行
- 確認経理担当・目安 30分
5. 月次締めの前に、会計の仕訳と保存されたファイルを照合する
仕訳があるのにファイルがない取引を一覧にして受領者に確認する。
- 確かめること
- 保存漏れが0件か
- できあがるもの
- 照合結果
- 訂正経理担当・目安 1件5分
6. 保存したファイルを訂正・削除する必要がある場合は、規程に従い申請と記録を残す
元のファイルを上書きせず、理由・日付・承認者を記録する。
- 確かめること
- 訂正の記録があるか
- できあがるもの
- 訂正記録
- アクセス経理責任者・目安 30分
7. 保存フォルダのアクセス権を、閲覧と編集で分けて設定する
削除できる人を限定する。
- 確かめること
- 削除権限を持つ人が限定されているか
- できあがるもの
- アクセス権の設定
- 出力経理担当・目安 年1回15分
8. 税務調査などで求められたら、画面と印刷でき、データを提出できる状態を保つ
パソコン・モニター・プリンタと操作マニュアルを備えておく。
- 確かめること
- すぐに表示・印刷できるか
- できあがるもの
- 確認記録
- 期間経理担当・目安 年1回15分
9. 保存期間(原則7年、欠損金がある年は10年)を管理し、期間満了前に削除しない
年度ごとにフォルダを分けると管理しやすい。
- 確かめること
- 年度フォルダの保存期限を記録したか
- できあがるもの
- 保存期間の一覧
- 点検経理責任者・目安 1時間
10. 年1回、保存のルールが守られているか抜き取りで点検する
部署ごとに数件を選び、保存場所・名前・検索を確認する。
- 確かめること
- 点検結果を記録し改善したか
- できあがるもの
- 点検記録
締めのチェックリスト
- 事務処理規程を作り周知した
- 電子で受け取った書類を電子のまま保存した
- ファイル名のルールを守った
- 取引日・取引先・金額で検索できる
- 仕訳と保存ファイルを照合した
- 訂正・削除の記録がある
- 削除権限を限定した
- すぐに表示・印刷できる環境がある
- 保存期間を管理している
よくあるミスと防ぎ方
印刷して紙だけ残す
電子取引のデータは電子のまま保存が義務です(2024年1月から)。印刷した紙は保存の代わりになりません。
各自のメールボックスに置きっぱなしにする
退職や容量の削除で消えます。決められた共有フォルダに移す手順にします。
上書き保存してしまう
改ざん防止の要件に反します。訂正は別ファイルにし、記録を残す運用にします。
測っておきたい指標
- 保存漏れの件数(月次照合)
- 検索にかかる時間
- 点検での指摘件数
関係する法令・規格
メール・Web・電子契約で受け取った請求書等は電子データのまま検索できる形で保存(2024年1月から義務)
電子取引の取引情報の保存義務
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(管理部門(業種共通)・50業務)
- 「電子取引データの保存」を含む50業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- タイムスタンプは必ず必要ですか?
- 必須ではありません。訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用すれば、改ざん防止の要件を満たせます。
- 検索の要件が免除される場合はありますか?
- 基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際にデータの提出に応じられる場合などは、検索要件が不要になります。
- Amazonなどの購入履歴も保存対象ですか?
- Webで受け取った領収書・請求書は電子取引にあたります。ダウンロードして保存するか、サイト上で保存要件を満たしているかを確認します。