外部講師の手配と謝金の支払の業務手順書テンプレート(学校・研修・塾)
研修の外部講師を選んで依頼し、取引条件を明示して登壇してもらい、源泉徴収をして謝金を支払うまでの流れです。手順書にすると、条件の明示漏れ、源泉徴収の誤り、支払の遅れを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 外部講師への依頼と支払を、フリーランス法・源泉徴収のルールどおりに同じ手順で行えるようにします。
- 範囲
- 講師の選定と依頼から、謝金の支払、支払調書の作成までです。
- 始まるきっかけ
- 研修の開催が決まり、外部講師に依頼するとき
- 頻度・量の目安
- 随時・月5〜50件
- 使う書類・システム
- 講師の一覧(専門分野・実績・単価)、依頼書(取引条件の明示)、講師のスケジュール・稼働表、講師からの請求書
担当と役割
研修企画担当
講師の選定、依頼内容の決定、日程調整
事務担当
依頼書の発行、講師のスケジュール管理
経理担当
源泉徴収、謝金の支払、支払調書の作成
手順(12ステップ)
1. 研修の内容に合う講師を選ぶ
テーマ、受講者の層、形式(集合・オンライン)、過去の評価で選びます。
- 確かめること
- 講師のスケジュール表で、同じ日時の予定がないか確かめる。
- できあがるもの
- 講師の候補
- 打診研修企画担当・目安 15分
2. 講師に日程と内容を打診する
テーマ、日時、時間数、受講者数、会場、謝金、交通費の扱いを伝えます。
- 確かめること
- 謝金は講師と協議して決める。
- できあがるもの
- 打診の記録
- 判定事務担当・目安 5分
3. 講師が個人か法人か、従業員を使うかを確かめる
個人で従業員を使わない講師は、フリーランス法の特定受託事業者に当たります。
- 確かめること
- 判定結果を講師の一覧に入れる。
- できあがるもの
- 判定の記録
4. 依頼書で取引条件を明示する
業務の内容、報酬の額、支払期日、登壇日、教材の作成と著作権の扱い、交通費を書いて、直ちに渡します。
- 確かめること
- フリーランス法の対象なら、明示事項をすべて書く。メールでの明示もできる。
- できあがるもの
- 依頼書
- 教材研修企画担当・目安 15分
5. 教材の提出期限と内容を確かめる
教材の提出期限、印刷の要否、受講者への配布の範囲を決めます。
- 確かめること
- 教材の二次利用(録画の配信など)をする場合は、事前に講師の承諾を得る。
- できあがるもの
- 教材の受領記録
- 前日事務担当・目安 5分
6. 前日に当日の段取りを講師に伝える
集合時間、会場、機材、担当者の連絡先を送ります。
- 確かめること
- オンラインの場合は接続テストの時間を決める。
- できあがるもの
- 前日連絡
- 当日研修企画担当・目安 5分
7. 登壇の実績を記録する
開始・終了の時刻、受講者数、トラブルを記録します。
- 確かめること
- 時間の延長があれば、謝金への影響を講師と確かめる。
- できあがるもの
- 実施記録
8. 講師から請求書を受け取り、内容を照合する
依頼書の謝金・交通費と請求の金額を照合します。
- 確かめること
- 講師が適格請求書発行事業者かどうかを確かめる。
- できあがるもの
- 照合済みの請求書
9. 源泉徴収税額を計算する
個人の講師への謝金は、100万円以下の部分は10.21%、超える部分は20.42%を源泉徴収します。
- 確かめること
- 法人の講師には源泉徴収しない。交通費を謝金に含めて払う場合は源泉の対象になる(会社が直接払う交通費などは除く)。
- できあがるもの
- 源泉徴収税額
10. 支払期日までに支払う
源泉徴収税額を差し引いた額を振り込みます。
- 確かめること
- フリーランス法の対象なら、登壇日(役務の提供を受けた日)から60日以内の支払期日を守る。
- できあがるもの
- 支払の記録
- 納付経理担当・目安 10分
11. 源泉所得税を納付する
支払った月の翌月10日までに納付します。
- 確かめること
- 納期の特例を受けている場合は、半年分をまとめて納付する。
- できあがるもの
- 納付の記録
12. 年末に支払調書を作る
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を作り、提出の基準に当たるものを税務署に出します。
- 確かめること
- 講師ごとの年間の支払額を集計する。
- できあがるもの
- 支払調書
締めのチェックリスト
- スケジュール表で講師の予定の重なりを確かめた
- 謝金を講師と協議して決めた
- フリーランス法の対象か判定した
- 依頼書に明示事項をすべて書き、直ちに渡した
- 教材の二次利用の承諾を得た
- 請求の金額を依頼書と照合した
- 源泉徴収税額を正しく計算した
- 支払期日が登壇日から60日以内である
- 源泉所得税を期限内に納付した
- 支払調書を作成した
よくあるミスと防ぎ方
依頼を口頭やチャットだけで済ませる
フリーランス法の対象の講師には、取引条件を直ちに書面やメールで明示する必要があります。依頼書の型を用意して、打診が決まったらすぐ送ります。
交通費の源泉徴収を誤る
講師に謝金と一緒に交通費を払う場合、原則として交通費も源泉徴収の対象になります。会社が交通機関に直接払う場合などは対象外です。
録画を講師に断りなく配信する
講師の話や教材には著作権があります。録画の配信や教材の再利用は、依頼書で事前に取り決めます。
測っておきたい指標
- 依頼書の発行率(100%が基準)
- 支払期日の遵守率
- 講師の満足度・再依頼率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
フリーランス・事業者間取引適正化等法
従業員を使わない個人の講師への取引条件の明示、60日以内の支払、ハラスメント対策などに関わります。
所得税法
講演料・謝金の源泉徴収(10.21%、100万円を超える部分は20.42%)と、支払調書の提出に関わります。
中小受託取引適正化法(取適法)
顧客から受けた研修を外部の講師や研修会社に委託する場合、資本金・従業員数の基準によっては役務提供委託として対象になります。
著作権法
講師が作った教材や講演の録画の利用に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(教育・研修・10業務)
- 「外部講師の手配と謝金の支払」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
12手順のうち6つは、自動化の候補です
よくある質問
- 講師が法人の場合も源泉徴収は必要ですか。
- 法人への講演料などの支払には、原則として源泉徴収は不要です。個人の講師への支払で源泉徴収します。
- フリーランス法の対象になる講師は。
- 従業員を使わずに個人で活動している講師(一人社長の法人を含む)です。依頼する側が事業者であれば、取引条件の明示が必要になります。
- 謝金の支払期日はいつまでにすればよいですか。
- フリーランス法の対象なら、役務の提供を受けた日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決めて支払います。